先日、月刊情報誌「日経トレンディ」から「2014年ヒット商品ベスト30」が発表されました。1位に選ばれた「アナと雪の女王」や2位の「妖怪ウォッチ」をはじめ、キャラクター関連商品が上位を占めています。もう1年を振り返る時期になったんですね。

しかし、えん食べ編集部が注目したのは、あわせて発表された「2015年ヒット予想ランキング」。同ランキングでは、食品の新たな機能性表示制度が2015年度中にスタートすることから、「グルメ“健効”系フーズ」が1位に選ばれています。これも気になるけれど、4位に「ライスミルク」なるものを発見。ライスミルクって一体ナニモノ!?


2015年はコレがヒットする?「ライスミルク」って何だ
2015年はコレがヒットする?「ライスミルク」って何だ

◆ライスミルク=米牛乳=お粥?

ライスミルクとは、その名のとおり、「米」を原料とする牛乳のようなものを指します。日本ではあまり見かけませんが、ベジタリアンが多いアメリカを中心に、豆乳やアーモンドミルクと同じように牛乳の植物性代替食品、すなわち“植物性ミルク”として利用されているようです。アーモンドミルクと並んで“第3のミルク”と呼ばれたりも。健康や美への意識が高い人は知っているのかもしれません。

そこで20代の女性スタッフに「ライスミルクって知ってる?」と聞いてみたところ、「あのお粥みたいなやつだよね」との返答が。え?お粥を牛乳の代替品として使っているってこと?

◆市販品を飲んでみる

いくら何でもお粥は牛乳と同じようには使えないと思うのですが…。ともかく、海外の人も飲んでいるだろうと思われる既成のライスミルクを飲んでみることにしました。

今回購入したのは、「VITARIZ(ビタリッツ)」というイタリア産の有機ライスミルク。「ライスドリンク」という商品名で販売されています。パッケージにはイタリア語以外の言語も表記してあるので、さまざまな国で飲まれているのでしょう。

今回は「ナチュラル」を購入。チョコレートなど味付きのものもある
今回は「ナチュラル」を購入。チョコレートなど味付きのものもある

グラスに注ぐと、カフェオレ色の液体が出て来ました。ミルク多めのカフェオレくらいの液色です。味もカフェオレっぽい…なんてことはなく、少し甘めの後味がすっきりした牛乳のようでした。後味にほんのりと、米の甘さを感じます。アーモンドミルクはアーモンド特有の香りがありますが、それよりもずっと飲みやすい。加えて、ヒマワリの種(おつまみにいいですよね!)の香りも感じられ、あまり米くさくはありません。お粥とは別物です。

米のほのかな甘みが絶妙
米のほのかな甘みが絶妙

成分表示を見てみると、原材料は水と米、ひまわり油、食塩だけで、砂糖は入っていません。ということは、ほのかに感じた甘みは米由来なのでしょう。商品説明を見てみると、単なる牛乳の代替品としてだけではなく、コーヒーや紅茶に合わせる甘味料としても利用されているみたい。

ライスミルクは砂糖が入っていなくても飲みやすく、アーモンドミルクよりもアレンジの幅が広そうです。これはヒットするかも…!

ただし、難点がひとつ。とても日常的に買える値段ではないのです。私が商品を購入した輸入食品を扱うスーパーマーケットでは、1リットルで税込626円…。毎日買っていたら生活が成り立ちません。

◆自分で作ってみる

しかし、ここは日本。材料となる米がすぐに手に入るじゃないか!さすがにひまわり油は常備していないけれど、水と米と食塩は目の前にあります。ということで、自分で作ってみることにしました。

レシピを検索してみたところ、牛乳アレルギーの方やベジタリアンの方を中心に、手作りしている方も多いようです。今回は、オーガニックな食生活を紹介している「マンガ家ゆきち先生のニッパチ!オーガニック教室」で掲載されていたレシピを参考にしました。

用意するものは、米(1合)、水(コップ半分)、そしてミキサー。米を炊いてミキサーに入れ、水を加えてスイッチオン。1~2分ほどかけて、なめらかになったら出来上がり。簡単すぎる…!

いざ!
いざ!

 
ご飯を入れて、
ご飯を入れて、

 
水を入れてスイッチオン
水を入れてスイッチオン

フタをあけると、もったりとした白い液体になっていました。確かにこれは、お粥みたい。柔らかく煮すぎたお粥のような、餅つきのときに杵につく水分をたっぷり含んだ餅の端っこのような。とにかく粘度が高いのです。グラスに注いでみるも、飲み物というよりはまだ食べ物。

これは食べ物だ…
これは食べ物だ…

飲んで…いや、食べてみると、やっぱりお粥でした。米の甘みは感じられて、米の味に慣れているおかげもあって不味いと思うほどではありませんが、積極的に食べる気にはなれないかも。

そこで、さらに200ml ほど水を足してみたところ、ようやく飲み物らしい見た目になりました。飲んでみると、見た目どおり飲み物らしいのどごしにはなったものの、今度はただの薄すぎるお粥みたいなものが出来上がりました。長時間ミキサーにかけたとはいえ、米粒のざらざらした舌ざわりも気になります。飲み物を飲んでいるというより、米を食べているような感覚はぬぐえません。

やっと飲み物らしくなったけど…
やっと飲み物らしくなったけど…

◆アレンジしてみる

米が色々な食材と合うことを考えると、この手作りライスミルクもアレンジしてみるとおいしいのかも。

まずは、ゆきち先生もおすすめしていた「ハチミツ」や「塩」を加えてみました。ハチミツを入れると、優しい甘さが加わって飲みやすくなりました。一方、塩を入れると、ぐっとひきしまった味に。トルコのアイラン(飲む塩ヨーグルト)を思い出します。私は塩の方が飲みやすくておすすめです。

でもやっぱり、どこか米に味をつけているような印象からは抜け出せません。次に、お湯で溶くタイプのプリンの素を使い、ミルクプリン風のスイーツにしてみました。

レンジでライスミルクを温め、プリンの素とよーく混ぜ、粗熱を取ったら冷蔵庫で冷やすだけ。完成したプリンを食べてみると、牛乳を使ったものよりもさっぱりとしていて、なかなかの出来栄え。食べたスタッフには「何を使ったのかは分からない」との感想をもらいました。

後味さっぱり
後味さっぱり

ライスミルクは、そのままで飲むよりも、料理に使う方が実力を発揮しそうです。料理に使う場合は、薄めに作ると使いやすいかもしれません。

ちなみに、手作りライスミルクは、冷たいままよりも温めた方が、甘い香りが際立っておいしく飲めました。寒くなるこれからの季節にいいかもしれません。

◆ライスミルクはヒットする?

根強い豆乳人気や、同じ“第3のミルク”であるアーモンドミルクが人気となったことを考えると、ライスミルクもヒットする可能性が高いといえるかも。なんと言っても、米は入手しやすい(それどころか、ほぼどの家庭にもあると考えられる)ので、アーモンドミルクを手作りすることに比べたら、驚くほど手間がかかりません。米粉や玄米、発酵玄米から作るレシピもあるようで、牛乳アレルギーに悩む人を中心に大きな救いの手となるかもしれません。

日本で手に入る市販品はまだまだ少ないものの、人気が出れば取扱いショップも増えるでしょう。2015年の今ごろは、ヒット商品の上位にライスミルクが入っているかもしれません。