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麺屋武蔵の“クジララーメン”、刺身がウマすぎて麺の存在を忘れる--金乃武蔵第5弾

また、ヤバイ1杯に出会ってしまった

人気ラーメン店、麺屋武蔵の20周年記念企画「金乃武蔵」。各店舗持ち回りで1年かけて特別メニューが提供されるもので、第5弾として「鯨ら~麺(クジララーメン)」が、5月26日から麺屋武蔵武骨外伝(東京・渋谷)で販売されます。

…と、これを見て、「クジラだやったー!」とテンションのあがる人は、割と少数派だと思います。むしろ、臭そうとか、そもそも食べたことないとか、そんな人の方が多いのでは。

実は筆者(お嬢)もあまり得意ではありません(取材時は秘密にしていましたが…)。どうもあの独特の鉄のようなにおいが苦手で。

でも、試食して一番感動したのは「刺身」でした。それも、おいしすぎて麺の存在を忘れるくらいに。

史上最高の“クジラの刺身”

麺からどんとはみ出して、器に鎮座する刺身。「尾の身(おのみ)」といい、希少かつ高価な霜降りの部位です。マグロでは大トロに当たるそうで、刺身で提供されることが多く、食通をうならせる一品なのだとか。

それにしても、このびろんと平べったい状態ではまず見かけないでしょう。この一切れで約80g。なんて贅沢なんだ!

でかい。長い。
特別に、この形に切ってもらっているそうです。

口に含んだとたん、感動の嵐が止まりません。アブラがあま~くとろけて、口いっぱいに広がる極上のうまみ。臭みは全く気にならず、クジラってこんなにおいしかったっけ!? と、驚いたのなんの。

実は、片面だけを約20秒ニンニクしょうゆにひたし、それをぬぐってから器にのせるというひと手間をかけているそう。このニンニクの香りが、こってりしたアブラの甘みとよく合っているんです。

また食感の変化もポイント。スープと接している面には、ほんの少し火が通り、表面とは少し違った舌ざわりになっています。でも、柔らかさは生のままの表面と変わらないんです。不思議。

スープの熱でどんどん食感が変化していきます

さて、この平べったい形には理由があります。付け合わせの野菜(水菜、ごま油であえた白髪ねぎ、いまが旬の新しょうが)を巻いて食べられるようになっているのです。なるほど、だから全部、野菜が同じ長さに切りそろえてあるのか!

好きな薬味をのせて

くるくる巻いてパクリ。だめだ、おいしすぎて涙が出そう。日本酒飲みたい。まさか、こんなにもクジラをおいしいと思う日が来るなんて!

どの野菜も刺身と相性ばっちり。なかでも水菜は、「はりはり鍋」でもおなじみの最強コンビ。今回は、芯は食感を楽しめるよう生のままで、葉はおひたしにしてあります。細やかすぎるよ、店長さん。

あまりにゆっくり堪能しすぎて、本気で麺の存在を忘れていました。ああそういえば、これ、ラーメンだった…。
page スープにも感激!

クジラくさくないスープ?

というわけで、麺とスープもいただきます。

スープはもちろんクジラ。自家製クジラベーコンと、生畝須(うねす、ベーコンにする部位の生の状態)からとったスープがベースとなっています。

香りはほんのり“クジラ風味”。でも味は、初めて体験するうまみに満ちています。たぶんこれが“クジラ本来のうまみ”。ここに燻製の香ばしさがのっかって、 複雑な奥深さが生まれています。

“スープ=味の凝縮体”みたいなイメージがあるから、ある程度の臭みを覚悟していたけれど、これなら大丈夫。そしてこのスープがあるからこそ、刺身がよりおいしくなったのでしょう。きっと。

なお、麺はストレートの細麺。歯切れをよくし、スープに負けない香りを出すために、全粒粉を混ぜてあるそうです。

あまりに刺身に夢中になりすぎたせいか、だいぶスープを吸ってしまっていたと思います。が、個人的にはむしろこれがおいしかったので、結果オーライ。

全粒粉のツブ、分かります?

なんだかんだ言いながら、あっという間に完食。自分のなかのクジラ史が塗り替えられました。ありがとう、麺屋武蔵さん!

「鯨」と「武蔵」

そもそも日本では、古くからクジラを食べる文化がありました。終戦直後には貴重なタンパク源として重宝されていたこともあり、給食で竜田揚げを食べた記憶のある方もいると思います。しかし捕鯨を制限する動きもあり、現在では食べる機会が少なくなりました。

今回、鯨ら~麺を開発した渋谷店の店長(北海道出身)は、幼い頃から家でクジラを食べていたそうです。その経験から、“クジラを食べる文化”を体験してほしいと、「クジラ嫌いでも食べられるクジララーメン」を目指して開発に励んだとか。

もっとも苦労したのはスープ。身のほとんどは血といわれるクジラ、赤身を使えば臭くなりすぎるし、クジラベーコンだけだとクジラならではのうまみが薄い。そこで、ベーコンと畝須のスープを1対1であわせる、という結論を見出したそうです。

“文化”つながりでもう1つ。歌川国芳の浮世絵に「宮本武蔵の鯨退治」という作品があります。荒れ狂う海のなかで、画面いっぱいに描かれた迫力あるクジラ。その背では、麺屋武蔵の名の由来となった剣豪・宮本武蔵が、いまにもクジラを退治せんとしています。

奇しくも渋谷では、国芳の作品が並ぶ展示会が開催中。「鯨」と「武蔵」、まさに、これ以上ないタイミングで結びついたともいえるのではないでしょうか。

だから、紙にも国芳
ちなみに展覧会には、この作品は出ていないようです

鯨ら~麺の提供は、5月26日から5月29日まで、1日10食限定です。価格は1杯2,000円(税別)。クジラが大好きな人には、あえておすすめしません。苦手な人にこそ食べてほしい1杯です。
ご当地タグ  :
東京
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