東京・五反田にある鶏だし専門店「信濃屋+(プラス)」。澄みきった透明なスープはさっぱり味、と思いきや超濃厚でずっしりお腹にたまる。
五反田「信濃屋+(プラス)」
「信濃屋+(プラス)」は、五反田にある創業65年の鶏肉専門店「信濃屋」の2号店。1号店はおいしいからあげや焼き鳥の入った弁当が手頃で、近所の会社員がよく昼時になると買いに来る。新たな2号店は鶏スープともっとしゃれた総菜が中心。
場所は五反田駅と大崎広小路駅のちょうど中間あたり。どちらからも歩いてすぐだ。広々した雰囲気の店内は、主にテイクアウトの客が訪れるが、窓際には立食できるイートインスペースもある。
さっそくランチに3種のスープのうち日替わりの「鶏団子とレタス・しめじの涼しげスープ」Mサイズ、ごはんセット(600円、税込)を注文する。実は鶏スープで炊いたおこわが人気だが、これはいつもお昼前に売り切れてしまうとのことで頼めなかった。総菜は「鶏皮とゴーヤーのチャンプルー」(180円)をつける。
鶏団子レタスしめじの涼しげスープ
透明なスープからさっぱりした味を連想していると、まったく裏切られる。とてもコクがあり、飲みはじめは薄口に思えても、あとから濃厚なうまみが押し寄せてくるのだ。
塩味はあまり強くないが、それを補ってあまりある鶏の風味が味覚を占領してくる。透明なつゆの中にチキンが全部溶け込んでいるよう。滋養がたっぷりでバテぎみの体にはしみる。
鶏団子をかじると、スープのうまみに負けない肉の味がするし、レタスはすきとおった緑とシャキシャキ感を残しつつ柔らかく火を通してあり、シメジの舌ざわりもかわいらしい。一言であらわすなら「豚汁(とんじる)の鶏版」とでも言ったところ。白いお米にも合う。
はじめはごはんとスープのシンプルなランチではものたりないのではないか、と心配だったが杞憂。むしろお腹いっぱいになる。
鶏皮とゴーヤーのチャンプルー
スープとごはんだけでも十分に腹は満たされるが、折角たのんだ総菜も楽しみたい。鶏皮とゴーヤーのチャンプルーは名前の通り鶏皮がどっさり入っていて、その鶏油で炒ったような卵にしっかり風味をしみこませている。
こってりした鶏皮とかつふんわりした炒り卵に、鮮やかな緑のゴーヤーのほんのりしたにがみが引き立て役になっている。
ただしランチと一緒にひとりで食べきるのはかなりの健啖家(けんたんか)でもたいへん。夕ご飯のおかずに家族とシェアする方が無難かもしれない。
page おみやげには…
ねぎ しいたけゴロゴロ鶏肉スープ
かくして店内で心ゆくまでチキンを楽しんだ、はずだが、テイクアウトのスープも買ってしまった。Sサイズ320円の「ねぎとしいたけのゴロゴロ鶏肉スープ」。
なおスープ容器は保温性が高いが、もし冷えてしまったら温める際は別のお皿に移し替えてから電子レンジを使って欲しいとのこと。
こちらのスープは、シイタケの香りが鶏のうまみに埋没せず主張していて、一味違ったおいしさがある。ネギは火が通っているものの、クタクタになるまで煮込んではいないのが好印象。すぐ売り切れてまた作り直すほど人気があるからできる調理かもしれない。鶏肉もスプーンですくうたびに入ってきてうれしい。
透明なのに濃厚なスープははじめ驚くものの、慣れるとこうして週替わり、日替わりの色々な味つけを試したくなる。信濃屋1号店ともども、2号店も五反田ランチの定番の1つになりそう。
信濃屋+(プラス)
東京都品川区西五反田1-11-5