
海外メディアに“レインドロップケーキ(雨粒ケーキ)”として取り上げられ、一躍有名になった幻の水スイーツ「水信玄餅(みずしんげんもち)」。山梨名菓「信玄餅」でおなじみの菓子店、金精軒(きんせいけん)で、2013年より毎年夏に販売されているものです。

水信玄餅は、名水百選にも選ばれた南アルプス・甲斐駒ヶ岳の伏流水を、ほんの少しの寒天で固めた水菓子。とにかく繊細なお菓子で、賞味期限は30分しかありません!時間が経つと水がもれてきてしまうため、その場ですぐに食べるしかないんです。崩れちゃうので配送もできません。

そんな水信玄餅を求めて、えん食べ編集部は山梨県へと足を伸ばしました!
◆水信玄餅を食べてみた!
「ほぼ水」でできている水信玄餅。南アルプスの水に、ぎりぎり形をとどめるくらいの寒天、そして餅を透明にするための砂糖をほんの少し加えて仕上げてあります。自家栽培の青大豆を使ったきなこと、コクのある黒蜜を添えて。価格はお茶が付いて300円です。安い。
向こう側が見えるほど透き通ったその姿は、まるで大きなひとしずく。いたずらにお盆を揺らすと面白いほどぷるっぷるに踊り狂うので見ていて止まらなくなりますが、揺らし過ぎるとそのうち崩れそうな気がするので要注意です。
さんざん見た目を楽しんだら、いよいよ実食。果たしてお味はいかがなものか。ドキドキしながら表面にスプーンを当て、ぐっと力を込めると…



あ~!一瞬ちょっと押しただけでスプーンがすとんと入っていき、重力だけで餅が勝手にてゅる~んと2分割されました!なんという心もとなさ…

ぷるっぷるでトゥルットゥルの水信玄餅を、そっとすくってひと口。やさしく舌先でつつくと、トロンと崩れてみずみずしい天然水の味が口いっぱいに広がってきました!軟水だからでしょうか、まろやかで喉ごしも良くて、すごくおいしい…!

少しだけ砂糖が入っているのでほんのり甘いんですが、これはほぼ水のおいしさと言ってよいかと。まさに「水を食べている」という今までに体験したことのない感覚です。そして、水ってこんなにおいしいんだと改めて気づかされました。
もちろん、黒蜜やきなこを付けて食べても美味。水のおいしさも際立ちます。

水信玄餅は6月~9月の土日のみ、台ヶ原金精軒と韮崎金精軒で販売されています。今回筆者は台ヶ原金精軒を訪れたのですが、オープン時間の9時より1時間も早くから数十人のお客さんが列をつくり、水信玄餅は2時間ちょっとで完売していました。

手に入れるには少々並ぶ覚悟が必要ですが、並んででも食べる価値ありと個人的には思います。水のおいしさや自然のありがたみを感じられますし。
◆「水を食べる」という発想
金精軒は、先日ご紹介した天然水かき氷と同じく南アルプスの「水の山」プロジェクトに取り組んでいます。水信玄餅も、まさに「おいしい水を食べる」という発想から生まれたスイーツ。
天然水かき氷や水信玄餅をはじめとする北杜市のさまざまな“水グルメ”を通じて、日本を代表するおいしい水と美しい景色がここにあるんだということを、国内外のたくさんの人に知ってもらえたら嬉しいですね!
住所:山梨県北杜市白州町台ヶ原2211