「Bean to Bar(ビーン トゥ バー)」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。いま、世界のチョコレート界で話題になっているワードです。日本では昨年(2015年)のバレンタイン頃から聞かれるようになり、今年はさらに注目度が増しています。

世界を巻き込んだトレンドBean to Bar。でも、正体がよく分からないBean to Bar。そこで、この連載では、日本におけるBean to Barのパイオニア「Minimal(ミニマル)」を例に、3回に分けて“Bean to Barの世界”をご紹介します。

第1回は、基本中の基本、「Bean to Barとは何か」について。
Bean to Barの世界へ…

◆そもそもBean to Barって?

Bean to Barとは、Bean(豆)to Bar(板=板チョコ)、つまりカカオ豆の仕入れから板チョコレートをつくるまで、全ての工程を自社で行なうスタイルのことを指します。

でも、それって普通のチョコレートとどう違うの?と思った方もいるでしょう。筆者もそうでした。そこで、チョコレートづくりの工程から違いを見てみましょう。

店頭でよく見かけるチョコレート菓子やボンボン(一口サイズのチョコレート)、チョコケーキなどは、「クーベルチュール」と呼ばれるチョコレート生地からつくられています。クーベルチュールをつくるメーカー(一次加工メーカーとも呼ばれます)だと、フランスのヴァローナなんかが有名でしょうか。商品に“ヴァローナのチョコレートを使っています”なんて書いてあったりしますよね。彼らは、仕入れたカカオを加工し、タブレットやカレ(キャレ)、そして製菓用チョコレートとして販売しています。

Bean to Barでは、こういった既製のチョコレートを買うのではなく、カカオの仕入れから商品化まですべて自社で行ないます。その多くは、ミルクなどを加えずにカカオと砂糖のみでつくられるので、よりカカオ本来の風味やカカオごとに異なる味わいを楽しめます(詳しくは第2回でご紹介します)。


◆世界中で大ブーム!

チョコレートづくりの歴史が長いヨーロッパでは、カカオにこだわり、こういった作り方をするブランドも古くからありました。

ところが近年、このスタイルが広まったのは、アメリカ発のトレンドがきっかけ。2007~2008年頃からBean to Barという言葉が使われ始めたといわれていて、サードウェーブコーヒー(日本でもブルーボトルの上陸で話題となりました)のように、異業種から参入する人が相次ぎ、大きなムーヴメントとなったそうです。

AppleなどIT系企業がたくさんある米国西海岸では、数年前から「次のトレンドはコーヒーとチョコレートだ」と盛り上がり、コーヒーとBean to Barチョコレートのマリアージュを楽しむのが流行っているという話も。そしてヨーロッパでは、ショコラの品評会や祭典でもひとつのカテゴリとして取り上げられるようになりました。

カカオの魅力を知り尽くした職人がつくるチョコレートは、アメリカとヨーロッパ、双方の盛り上がりが重なって大きな“トレンド”となっているのです。

日本にもBean to Bar業態の店は20以上あるのだとか。“チョコレートマニア”以外の人たちにも知られるようになり、百貨店のバレンタイン催事には専門コーナーも登場しました。

◆見逃せない“トレンド”

2月には、Bean to Barの“本場”、米国サンフランシスコ発「ダンデライオン」の日本上陸も控えています。今年はBean to Barが本格的に広まる年になるかもしれません。見かけたらお試しあれ。

(第2回は1月29日に掲載予定。「シングルオリジンの楽しみ方」についてご紹介します。)