ブルーボトルコーヒーの何がアメリカ人の心をつかんだのでしょうか。今夏、米国サンフランシスコで訪れた店舗のレポートも含めて、その魅力にせまります。
◆ブルーボトルコーヒーとは
ブルーボトルコーヒーは、米国カリフォルニア州オークランドで2002年に創設されました。アメリカでは14店舗が展開されており、ファストフードも含めて多くのコーヒーショップがあるなかで、行列ができるほどの人気店となっています。日本の喫茶文化に影響を受けたという、創業者のジェームス・フリーマン氏。シリコンバレーに代表されるベイエリアならではの自由で開放的な文化と合わさって、現在の形が完成したといいます。
ブルーボトルコーヒーは、「サードウェーブ(第3の波)」と呼ばれるコーヒー界のムーヴメントをけん引する存在でもあります。サードウェーブコーヒーの特徴は、単なる国やエリアだけでなく“誰が、いつ、どこで、どのように作ったのか”を大切にした「シングルオリジン」の豆が使われているため、ワインのように豆の違いからくる味わいを楽しめること。豆の品質にとことんこだわっているのです。
“質”を追求する姿勢とサステナビリティ(持続可能性)が支持され、2012年には約20億円、2014年には約25億円もの資金調達に成功しました。出資者の中には、シリコンバレーを長らく動かしてきた IT 系の人々も多いのだとか。
◆サンフランシスコの店に行ってみた
ブルーボトルコーヒーのこだわりは、“「品質の高いコーヒー」を提供するために、コーヒー豆を厳しく選別し、焙煎から48時間以内のものだけを使ってハンドドリップで淹れる”こと。えん食べ編集部が訪れたサンフランシスコのフェリービルディング店では、コーヒーが好きな店員さんたちが、1杯1杯丁寧にコーヒーを淹れ、ラテを作り、笑顔でお客さんと接しているのが印象的でした。
この店舗では、ブレンド豆を使ったコーヒーを販売する“一般向け”のメインカウンターと、シングルオリジンのコーヒーを販売する“リピーター向け”のカウンターが設置されています。深煎りで苦みが強いコーヒーが多いシアトル系(スターバックスなど)と違い、豆に合わせて焙煎度合いを変えるなど豆の個性を味わうことができるのも、リピーターをひきつける魅力のひとつといえそうです。
◆なぜ清澄白河に?
海外初、日本初の店舗がオープンするのは、東京都江東区の「清澄白河」。隅田川の東側にあり、北は両国、南は門前仲町に挟まれた静かな街です。コーヒーショップやカフェの新店となると、表参道や原宿が選ばれるイメージなのですが、なぜ清澄白河(深川エリア)なのでしょう。
フリーマン氏は、「日本初上陸の場所としては、清澄白河はユニークに映るかもしれませんが、生産拠点として最高の場所です」とコメントしています。焙煎したての豆を使って新鮮なコーヒーを提供するためには、生産拠点=ロースタリー(焙煎所)が必要だったのです。
実際に、清澄白河の店舗には、カフェエリアの3倍ほどあるロースタリーが併設されます。オークランドにあるロースタリーと同じように毎日豆が焙煎され、そのコーヒーに合ったペストリー(クッキーやグラノーラなど)とともに、カフェで提供されるそうです。
この店舗は、清澄庭園、東京都現代美術館、門前仲町駅の中間地点に位置しています。美術館帰りにコーヒーを飲んでほっとひといきつくける、新たなスポットとなるかもしれません。
◆2号店は“大人の街”青山に
2号店のオープンもすでに決定しています。2号店は3月7日、南青山にオープンする「青山カフェ」。こちらはカフェスペースのみで、清澄白河で焙煎されたコーヒーが使われます。
「東京の多彩な顔を反映した、この2つの異なる店舗をオープンすることを大変嬉しく思います」とフリーマン氏。アメリカのようにリピーターに愛され、“わざわざ行きたいコーヒーショップ”となり、日本でも大きな「波」を起こすのでしょうか。
清澄白河ロースタリー&カフェの店舗所在地は、東京都江東区平野1-4-8。営業時間は8時から19時までの予定。青いボトルのシルエットがお店の目印です。