漫画好きと飲んでいる時に、必ず盛り上がる話題があります。

「食べてみたい『漫画の料理』ってある?」

私にとってそれは、松本零士さんの「男おいどん」に出てくるラーメンライス。ただのラーメンとライスなのですが、超貧乏浪人生の主人公にとっては唯一のごちそう。これをまた、なんとも美味しそうに食べるんです!大人になったら食べてみたい“憧れのメニュー”として、子供心に強烈に刻まれました。

…ちょっとマニアック(?)な例でしたが、人はそれを「マンガ飯」と呼ぶそうです。
 

これはどの「マンガ飯」?

これはどの「マンガ飯」?


■「いつか食べてみたかった!」を再現した「マンガ食堂」

ところがこのマンガ飯、実際に具現化してる人がいました。本日ご紹介する梅本ゆうこさんの「マンガ食堂」は、漫画の中に出てくる料理を徹底再現したレシピ本。「ドラえもん」「あしたのジョー」など様々な漫画に登場する料理を独自に研究して、かなり忠実に再現。かつ、読者も作れるようそのレシピを載せてくれています。
 

マンガ食堂 / 梅本ゆうこ

マンガ食堂 / 梅本ゆうこ


■マンガ飯を作っているのはごく普通の女性

梅本さんは、会社員であり旦那様と2人で暮らす主婦でもあります。そう、料理のプロではなく一般女性。マンガ飯を作り始めたきっかけも、マンネリ化しつつある毎日の食卓に、漫画の料理を取り入れてみたことから始まったそうです。

「日々の家事や食事が、エンターテイメントになった気がした」という梅本さん。作品が好きすぎて、コスプレしたり、舞台になった場所に実際に行ってみたりする人っていますよね?彼女によると、マンガ飯もそんな「フィクションの世界を現実で追体験したい」というファン活動の1ジャンルとなるそうです。

本書には、全49品のマンガ飯が登場します。知っている作品が出てくるのも楽しいし、ストーリー紹介や料理シーン前後のエピソードも載っているので、読んだことが無い漫画も「今度読んでみようかな」と思わせてくれます。


■編集部が今回選んだのは「子ランチ」

というわけで、すっかりマンガ食堂のとりことなった筆者。せっかくレシピも載っているので、実践してみました!

今回のメニューは、ブログや書評でも「本当に不味そう」と話題になっている「伝染るんです。」の「子ランチ」。不条理ギャグ漫画というジャンルを確立し、アニメ化もされた吉田戦車さんの本作は、懐かしい人も多いのではないでしょうか。

子ランチは、作中に登場する“シュール過ぎる”お子様ランチ。「子どもをあまり好きじゃない」コック長が提供するメニューです。その内容は、メインにモツ入りのケチャップライス、トッピングにめざしとさつまいもが刺さり、国旗の代わりに“首”と書かれた旗がはためく、子供のトラウマになりそうなもの。作中でテーブルに運ばれてきた時の、お父さんの何とも混乱した表情が筆者も印象に残っています。

子供が泣きながら噛みしめる子ランチ、果たして大人は耐えきれるのでしょうか?!


■子ランチ、作ってみた

まずは、モツ入りケチャップライスを作ります。豚のモツとニラ、ニンニク、麦飯を炒めて、塩コショウとケチャップで味付けします。
 

スタミナ満点の匂いがします
スタミナ満点の匂いがします


そして盛り付け。グラスにおまけのミニカーを沈め、軽く焼いためざしと、蒸かしたさつまいも、しなびた大根の葉を差します。デザートのバナナを輪ゴムで留め、「首」の旗を飾れば完成!ああ、なんということでしょう…
 

これが「子ランチ」だ!!
これが「子ランチ」だ!!
 

ちなみにこれは梅本さん作「子ランチ」(出典:マンガ食堂)
ちなみにこれは梅本さん作「子ランチ」(出典:マンガ食堂)


レシピの完成度の高さに、思わずテンションが上がる編集部。甘いバナナの香りと魚やニラの強烈な匂いが混ざり、食欲がみるみる遠のいていきます。その味について、梅本さんは本書の中でこのように表現しています。

「口の中でニッチャニッチャといつまでも噛みきれない豚モツ。何てワイルドで獣くさい風味。ケチャップの甘さと臭みのあるニラが合いそうで…全然合わない!目刺しのほろ苦さを、さつまいもの甘さが中和してくれ…ない!シナシナした大根の葉が、漬けもののようなお口直しに…ならない!」

筆者はなるべく新鮮なモツを買ってきたつもりですが、まあケチャップと合わないこと!食材ごとに別々にこなしながら、何とか完食しました。

「一言でまとめると、大変不味かったです」

梅本さんがそう断言したこのランチ。まったくもってその通りですが、完成時にはかなりアドレナリンが放出されました。筆者からのアドバイスは、なるべく孤独に作らずに、みんなで共有して楽しむこと、です。


■マンガ食堂は今日も営業中

本書は、私たちと等身大の正直な視点で書かれた文章も共感を誘うポイント。梅本さんの挑戦はもともとブログから始まったもので、随時更新されています。本だけで物足りなくなった人は、是非チェックしてみて下さい!