看板メニューの串焼きは、日によって違う“オススメ串”がセットになったコースのみ(手八鳥コース 2,300円~)。串を単品で注文することはできません。その理由は「当日に仕入れたこだわりの素材を、自信を持って提供したいから」だそう。ほう…その強気のアティテュード(姿勢)、嫌いじゃないぞ!
というわけで、ある日の会社帰り、スエヒロガリに潜入してみることに。
お店は、東急東横線・日比谷線の中目黒駅から歩いて1分ほどのところにあります。「スエヒロガリ」の文字がどこにも見当たらないので一瞬通りすぎそうになるのですが、「正下」と書かれた看板を目印に。なぜ「正下」かというと、5画の「正」と3画の「下」を足して8画になるので、「8=八=スエヒロガリ」なんだとか。ユニーク!
店内にはメインとなるカウンター席と、奥にテーブル席も用意されています。一人で来ても、カウンター越しに職人さんとおしゃべりしたり、隣に座ったお客さんと仲良くなったりできそう。
●オススメの串焼きを食べてみた
さっそくオススメの串焼きをオーダー。すると、目の前で職人さんが串をていねいに焼いては、コース料理のように1本ずつ順番に出してくれます。この日のラインナップは、つくね、白レバー、かわ、皮付きフィレ、手羽先オス・メス、しいたけ。
外はパリッと香ばしく、中はアツアツぷりぷりな皮付きフィレや、ホックホクのうずらのたまごが入った手羽先(メス)など、どれもこれも感動的においしかったのですが…今回の優勝は何といっても「白レバー」。
レバーって、ねっとり舌に絡みつく感じが筆者はあまり得意ではなかったのですが、この白レバーはくちどけの軽さが絶妙!食べた瞬間よぎった感想は「これ、ティラミス?」でした。濃厚ながらも舌に残らない、スッと消えていくはかなさ。次のひと口が止まりません!
●フレンチメニューもいただく
スエヒロガリのメニュー表には、焼鳥屋さんらしからぬカタカナの料理名もずらり。せっかくなので「名物 焼鳥屋のテリーヌ」(780円)と「小ぶりなオムライスとモツ煮の合盛り」(590円)を食べてみることに。
焼鳥屋のテリーヌは、鶏のいろんな部位をぎゅぎゅっと合わせてテリーヌに仕立てたもの。胸肉、ハツ、レバー、砂肝、ぼんじり、きんかん(お腹の中のたまご)、軟骨、もも肉が一皿で味わえるという贅沢なメニューです。みずみずしい淡路島産の玉ねぎと、マスタードが添えられています。
その味をひとことで表すと、まさに「鶏1羽分のうまみが凝縮されたおいしさ」。めまぐるしく変わる味と食感は、まるで魔法のようです!あっさりした味、こってりした味、塩気、甘み…さまざまな味が舌の上を転がり、サクッとしたり、むにゅっとしたり、プリッとしたり、コリッとしたり、いろんな食感が混然一体となって口の中は狂喜乱舞!食べていてこんなに楽しくなるメニューは初めて!
一方、小ぶりなオムライスとモツ煮の合盛りは、ケチャップライスにふわふわの半熟玉子をのせたお茶碗サイズのオムライスと、お味噌とデミグラスソースで煮込んだモツ煮が別々で提供されます。お好みでもつ煮をオムライスにかけて、スプーンでいただくのです。
とろける玉子と濃厚なモツ煮をまとった、ふっくらとしたケチャップライス。味噌の辛みとデミグラスの酸味、玉子のまろやかな甘みが折りなす三重奏。今この瞬間、私の最後の晩餐がこれに決定しました…!
●〆には「しょうゆ団子」を
和と洋の見事なコラボレーションに胃袋は満たされ、最後は甘いもので締めたいところ。と、お店のオススメのひとつに「しょうゆ団子」があるというので、ならば本日のデザートはそれに決定!
焼鳥と同じ焼き台で焼き上げられたしょうゆ団子。パクッと口に放り込むと、まるでマシュマロみたいなふわっふわの口あたり!しょうゆが焦げた香ばしさが広がり、しょっぱさの後から団子のほのかな甘みが追いかけてきます。モチモチなのにサクッと噛み切れて、歯にまとわりつかないので食べやすい!
ちなみに同行したスタッフは「団子は苦手だったはずなのに、これは一瞬で食べ終わるほどおいしい」と衝撃を隠せない様子。冗談抜きで、筆者もこれならいくらでも食べられると本気で思いました。価格は8本入り960円(お土産用)、コースにも最後の甘味として付いてきます。
1品1品のボリュームがちょうどいいのと、本格的な味が楽しめるのに価格が手ごろなところにガッチリと心掴まれました、スエヒロガリ。友人と、同僚と、恋人と、そしてたまには一人でも。中目黒の楽しい夜が、ここから始まりそうです。
店舗所在地は、東京都目黒区上目黒3-6-4。営業時間は17時~24時です。