SF 映画では、ボタンを押すだけで食事が出てくる装置がしばしば登場する。だがこの装置は近い将来、現実のものとなるかもしれない。

米国 NASA は、3D フードプリンターの開発を支援するため、Systems & Materials Research Corporation(SMRC)に対し12万5,000ドルの資金を提供した。SMRC はこの資金で、フードプリンターのプロトタイプを製造するとしている。そしてこのプロトタイプは、"ピザ"を"プリント"できるものになる予定だ。米メディア QUARTZ が伝えている。

NASA がピザプリンターの開発を支援  (画像はイメージです)
NASA がピザプリンターの開発を支援
(画像はイメージです)

SMRC が開発している3D フードプリンターでは、食事は「Nutrient Storage」と呼ばれるカートリッジに封入されたパウダーやオイルなどを使って"プリント"される。現時点では複雑な形状を持つ食事をプリントすることはできないが、ピザなど、平らでレイヤー構造を持つものへの対応は比較的容易だという。

SMRC が開発している3D フードプリンターの概念図
SMRC が開発している3D フードプリンターの概念図

3D フードプリンターでピザをプリントする場合、まずはカートリッジ内の小麦粉などを使い、"生地レイヤー"をプリントする。次に、カートリッジ内のトマトパウダー、水、オイルを混ぜてトマトソースを作り、これを"生地レイヤー"上に"トマトソースレイヤー"としてプリントする。最後にトマトソースレイヤー上にトッピングがプリントされるが、SMRC ではこのトッピング部分を「プロテインレイヤー」と呼んでいる。プロテインレイヤーでは、肉や野菜など、好みに応じた様々な具材を選択可能だ。

SMRC はこのコンセプトが機能することを証明するために、「チョコレートプリンター」を開発。その動作を動画に収録して YouTube で公開した。チョコレートプリンターでは、クッキーによる"生地レイヤー"上に、"チョコレートレイヤー"がプリントされる様子を見ることができる。


チョコレートプリンターテスト動画

NASA はこの3D フードプリンターを、長期間の宇宙旅行、例えば火星への有人飛行ミッションで、宇宙飛行士に食事を提供するシステムとして利用することを検討しているという。この件について、SMRC の Anjan Contractor 氏は次のように説明している。

「長距離宇宙旅行では、食事は15年以上保存可能であることが要求される。我々のシステムでは、炭水化物、たんぱく質、その他の栄養素すべてが粉末状で保存されるため、少なくとも30年間は保存可能だ」

火星までのロケットによる移動に必要な期間は数か月なので、同システムは確かに利用可能だ。NASA が火星への有人飛行を実施する際には、この3D フードプリンターを火星に持ち込むことになるかもしれない。