東京都に数ある離島。そのグルメを楽しめるアンテナショップ「東京愛らんど」が竹芝客船ターミナルにある。ムロアジメンチバーガーに小笠原ラム、椿の花びらジャムまで、おいしいものが簡単に手に入る。
伊豆諸島・小笠原諸島への玄関
竹芝客船ターミナルは、伊豆諸島や小笠原諸島への高速船、大型客船が発着する、いわば東京の離島への玄関口。
とはいえ海の旅をする予定がない人でも、ふらりと立ち寄れるようになっている。東京臨海新交通臨海線(ゆりかもめ)の竹芝駅を降りてすぐ、1階の広々とした第1待合所の先に「東京愛らんど」がお店を構えていて、島々の特産品を並べているほか、島の食材を生かした料理も出る。
島の食べ物がいっぱい!
物販コーナーにあるのは、八丈島のとうがらし醤油「島とう醤油」や、伊豆諸島の島野菜「あしたば」のお茶などの品々。
特に充実しているのはお酒。コアなファンがいる青ヶ島の焼酎「青酎」はもちろん、小笠原諸島で作るラム酒「小笠原ラム」もそろっている。
それぞれ歴史があり、例えば小笠原ラムは19世紀、小笠原諸島に欧米から移ってきた住民が遠洋をゆく捕鯨船とラム酒の取引を行っていたころまでルーツをさかのぼれるそう。日本の領土になってから「泡酒」や「蜜酒」などとして醸造が進み、戦争での疎開を経て中断したあと、20世紀後半から再びよみがえったのだとか。
小笠原ラムをショットで
奥のカフェでは伊豆諸島、小笠原諸島の食材を生かしたメニューが楽しめる。色々あるが、人気が高いという「ムロアジメンチバーガー」(600円、税込、以下同じ)と、そして気になっていた小笠原ラムのショット(600円)を頼む。
小笠原ラムはグラスに注いで即出てくる。透明な液色は、見た目には水と区別がつかないが、ちょっとでもグラスを揺らすと、甘くしかしひりつくような匂いが50cm以上離れていても分かるほど。
ひとくちすするとすぐに顔が熱くなる。ラムがのどを通ると焼けるようだ。一瞬で暑さが吹き飛び、背筋が寒くなるのに、ほほは火照る。
あたりまえだが、とても辛口。ちびちびなめているうちは、サトウキビからできた蒸留酒らしい風味も楽しめるが、グラスをあおると火を飲んでいるような気分になる。
ぶあついムロアジのメンチ
ムロアジメンチバーガーは、お店の人ができたてをテーブルまで持ってきてくれた。
メンチカツがぶあつい。記者は口が大きい方だが、それでもうまくかじれるかちょっぴり自信をなくしたほど。
周囲を気にするのはやめてあごを開き、むしゃっとかぶりつくと魚の風味が鼻腔に満ちる。一緒にぎっしり入ったタマネギは、ぶあつく切った生のトマトや大きなチーズ、しっかり味の濃いソースがそれぞれ主張しているのに、ムロアジはまったく負けていない。
魚のメンチというのはあまり食べたことがなかったが、意外やハンバーガーにぴったりだった。バンズも皮はぱりっとして中はふんわりした仕上がり。各素材のバランスが上手にとれている印象。
腹ごしらえがすんだところで、物販コーナーに戻ってお土産も買った。1つ目は伊豆大島でとれる椿の花のジャムだ。
page 椿の花びらジャムはきれいな赤
椿の花びらのジャム
伊豆大島の椿も歴史があり、もともとは椿油を採るために育てていたが、最近ではもっと色々な利用方法が広がっているもよう。
購入した「すばる 椿の花びらジャム」(800円)は鮮やかな赤が目を引く。スプーンですくってみると、ゼリー状に加工したすがたは一見して花とは思えない。
ひとくち食べるとほのかに甘いが、くせがなく、後味は残らない。バラの花のジャムのような強い香を想像していたが、まるで別物だ。
紅茶に落としてみると、ほぐれた花びらが広がって美しい。ただし紅茶の味に負けてしまうきらいはある。
クリームチーズに添えてみる。特徴である見た目の鮮やかさも生かせるし、ジャムの淡い味も楽しめる。ヨーグルトに載せても悪くないかもしれない。とにかく真赤な花のいろどりを愛でる気持ちで組み合わせを考えるのがよさそうだ。
小笠原パッション
もう1つのおみやげは、小笠原で育てているというパッションフルーツを使った「缶チューハイ 小笠原パッション」(160円)。
果実をしぼったままの混濁果汁を入れているとかで、なるほどグラスに移してみると半透明だ。一口飲むと、香りははっきりパッションフルーツのそれ、酸味もほどほどにあるが、飲みやすい程度におさえている。
ジュースのような感じでごくごくいける。ほのかに甘いが、後味がさっぱりしているので、肉料理などと合いそう。食事と一緒に気分よく缶を空けられる雰囲気だ。
お土産を食べたり飲んだりするうち、伊豆諸島や小笠原諸島へ行きたい気持ちが高まる。次に竹芝客船ターミナルを訪れる際は、そのまま船に乗って海へ出たいと思いをめぐらせた。
東京愛らんど
東京都港区海岸1-12-2 竹芝客船ターミナル