
天麩羅 はちまき
古書店街として知られる東京・神保町。カレーや喫茶店のイメージが強い街だが、文豪らを虜にした天丼を提供する店があるのをご存知だろうか。件のお店は神田すずらん通りにある「天麩羅 はちまき」。昭和6年に創業、昭和20年代からは毎月27日に集まる「二十七会」が店の二階で開催され、数々の文豪が通ったという。現在も多くの著名人に愛されている。




“老舗”というと少々入りにくく感じる人もいるかもしれないが、気取った様子は一切無く、穏やかで落ち着いた雰囲気。カウンターで天麩羅を揚げる男性も、注文を取りにきた女性店員も丁寧で気持ちの良い接客をしてくれる。
注文したのは、江戸川乱歩もハマッた(虜になった)人気商品だという「穴子海老天丼」。価格は1,500円(税込)で、数量限定。味噌汁がついてくる。

穴子海老天丼
6、7分ほど待って運ばれてきた天丼は、どんぶりから具が飛びでた大胆な一杯。海老2本に、穴子1本、野菜の天麩羅が2種のせられている。手前のひょろっとしたものは穴子の骨せんべい。
まずは海老天から。サクッと軽やかな衣にぷりっとジューシーな身!揚げ具合が絶妙で海老のぷりぷり感を存分に楽しめる。これはハイレベルな海老天だぞ…!


野菜はれんこんとピーマン。ほろ苦く瑞々しいピーマンも勿論美味いが、なんといってもれんこん!一口齧って、思わず「わっ…」と小さく声が漏れてしまったレベルで美味。分厚くカットされたそれはほっくり食べ応えがあり、噛むとシャキッと心地よい食感が楽しめる。野菜の天麩羅ってこんなに美味しく作れるものなのか…。



穴子はふっくら肉厚で、さくさくの衣の奥からじゅわっと染み出してくる旨みがたまらない。一口齧るたび、脳内が「すごい…、美味い…」で満たされる。身も大きくどんぶりから飛び出たサイズで食べ応えばっちりだ。


創業以来、継ぎ足しながら受け継がれてきたというタレは醤油が香るさらっとタイプ。柔らかめの白米がそれをたっぷり吸い込んで米単体で食べてもこれまた美味い。1,500円というお値段もこのウマさとボリューム感なら納得、いやむしろ安い方ではないかと思う。

文豪も舌鼓を打った神保町「天麩羅 はちまき」の天丼。書店巡りの腹ごしらえはこちらでしてみては?
■ 天麩羅 はちまき
住所: 東京都千代田区神田神保町1-1-19
住所:東京都千代田区神田神保町1-1-19