
かぶせ抹茶とは、お茶を収穫する前に黒い布をかぶせて日光をさえぎり、光合成を抑える方法で栽培されたお茶。こうすることで渋みが抑えられ、より甘みのあるお茶に仕上がるんだとか。

●全国にファンがいる「霧の森大福」
このかぶせ抹茶を贅沢に使った霧の森大福は、1999年にオープンした観光施設「霧の森」(愛媛県四国中央市)から販売されている特産スイーツ。かぶせ抹茶がたっぷりと練り込まれた餅で、中にクリームが入ったこしあんを包み込んであります。
知る人ぞ知る霧の森大福には全国にもファンが多く、1度食べてそのおいしさの虜になり、定期的に地元の人に買って送ってもらっている人もいる(!)という人気ぶり。筆者の友人にも、これまで抹茶は苦手だったけれど、霧の森大福を食べてから抹茶スイーツにハマってしまったという人がいるほど。

●その味は?
ひと口ほお張るなり、惜しみなく使われた抹茶の香りとまろやかな苦みがパッと口の中に広がります。ふっくら柔らかな餅に歯をうずめると、なめらかなこしあんとたっぷりのクリームがあふれ出し、舌の上で混ざり合いながらトロ~リとろけていきます。どちらも甘い素材なのに、不思議とくどくありません。抹茶の苦みがバランスをとってくれているからでしょうか。
抹茶の奥深いうまみを感じながらモチモチ噛んでいると、まるで森の中にいるような爽やかな香りに包まれて…

控えめな甘さと、やさしく消えゆく口どけがとにかく上品。こんなに上品な大福は、生まれて初めて食べました。
●ほかにはない和素材のバランス
霧の森大福の最大の勝因は、かぶせ抹茶のおいしさもさることながら、餅・抹茶・あんこ・クリームのバランスにあると筆者は踏んでいます。互いの存在をリスペクトしながらも、それぞれが自分のアイデンティティーをしっかり主張。しゃしゃり出すぎず、かといって譲りすぎない絶妙なバランスで、霧の森大福という作品の完成度を最大限にまで高めているのです。なんと誇り高き食材たちの絆…!

霧の森大福は現在、愛媛県内でのみ販売されているそう。また、オンラインショップや全国の百貨店で不定期開催される“抽選販売”でも購入することができるそうですが、あくまで「抽選」なので、当選した人だけが手に入れることができるんですって。というのも、人気すぎて製造が追いつかないんだそう。恐るべし、霧の森大福。
そう簡単には手に入らない霧の森大福だけど、みなさんももし愛媛方面へ行かれることがあれば、ぜひ味わってみてくださいね。自然がいっぱいで、ゆったりとした時間が流れる愛媛・四国中央のイメージにぴったりなおいしさが楽しめると思います。