
普段は公開されていない社員食堂に入れるなんて機会はそうそうない。というわけで、筆者も連休まっただ中の日曜日に潜入してみた。今回予定が合わず断念したという方は、ぜひ本レポートでお楽しみいただきたい。

社員食堂は、東京駅の八重洲北口を出てサピアタワーに入る少し手前を左に折れると、レンタカーショップのさらに奥にある建物の1階にある。
入口に付くと、案内係の方から「ただいま1時間待ちです」と伝えられた。えー!社食に1時間待ち…!やはりみんな、東京駅で働く人たちが普段何を食べているのか気になるのだろう。

並んでいる人は、ざっと30~40人ほど。連休とあってやはりファミリーが多い。筆者も12時45分に並び始める。

しばらくすると、待ち疲れたちびっ子たちが泣き叫ぶ。わかるよ…疲れたよね。おばさんも疲れたよ。でも、大人になるってこういうことなんだ。
そうして待つこと55分、13時40分に筆者も食堂へ入店することができた。

まずはレジで食券を購入。一人で訪れた大人がお子様ランチを注文するにはちょっとばかり勇気が足りず、食堂で1番人気だという「鶏唐揚げ定食」(税込600円)を注文した。

カウンターには、「小鉢・おしんこ」、「定食」、「うどん・そば・らーめん」と書かれたのれんが下がっている。それぞれのカウンターで、小鉢やおかずを一つずつ受け取っていく。


店内を見渡すと、ざっと100人は入りそうなキャパシティ。壁にはレトロな鉄道の絵が額縁に入れて飾られてある。鉄道好きにはたまらないだろう。


さて、店内の雰囲気を堪能したところで、筆者も人生初めて(そしておそらく最後)となる東京駅社員食堂の唐揚げ定食を食べてみた。

カリッと揚がった衣に包まれたチキンは、旨みたっぷりでジューシー。お母さんが作る唐揚げの美味しさだ。ほかほかのご飯がとめどなく進む。唐揚げに添えられた、千切りキャベツとポテトサラダも素朴な味わいでいい感じ。

お味噌汁も、ゆずの香るおしんこも、どこか懐かしい“おふくろの味”だ。
と、時折カタンコトンと足元に揺れを感じた。東京駅に直結しているため、電車が通ると社食の建物も多少揺れるようだ。鉄道の鼓動を感じながら食べる食事…なんとも乙じゃないか。
ふと横を見ると、先ほど待ち疲れてだだをこねていたちびっ子がお子様ランチを食べ終え、お父さんに「外に待ってる人がいるから、早く出ようね」と言っていた。その表情のなんと凛々しかったことか…次世代の東京駅を担うのは君だよ。次はきっと社員になって、お子様ランチではなく唐揚げ定食を食べに来ようね。