森鴎外の愛した「饅頭茶漬け」

石炭をば早や積み果てつ。中等室の卓のほとりはいと靜にて、熾熱燈の光の晴れがましきも徒なり……から始まる『舞姫』の作者である森鴎外。他にも『雁』や『山椒大夫』など、数々の名作を生み出してきた彼だが、実はかなりの甘党だったことをご存知だろうか。

森鴎外の長女である森茉莉のエッセイ『貧乏サヴァラン』では、鴎外がもらった葬式饅頭を茶漬けにして食べていたと記されている。茶漬けに饅頭って…。味が予想できるようなできないような…。気になったので実際に作ってみた。


■饅頭茶漬け
用意するものは、饅頭、飯、煎茶、以上。

饅頭茶漬けの材料
饅頭は大きめのものをチョイス

温かいご飯に割った饅頭をのせ、熱々のお茶をかける。中央を軽く混ぜ、饅頭の皮がほぐれて餡がお茶に浸ったら完成だ。

森鴎外の愛した饅頭茶漬け

恐る恐る一口。…あれ?うまい?うん、うまい!意外とうまいぞこれ!正直、食べる前は「濡れた饅頭って不味そう」と思っていたのだが存外うまい。

毛利鴎外の愛した饅頭茶漬け

お茶を吸い込んだ饅頭の皮はぷるぷるとしたお麩みたいだし、餡の甘さが染み出してお汁粉のような雰囲気が楽しめる。飲み込んだ際、お茶の香ばしさがふわっと香る感じもなかなかだ。

森鴎外の愛した饅頭茶漬け
しっかり混ざった部分を食べよう

しかし、「不味そう…」からの「意外とイケるじゃん!?」というギャップによる感動が大きいのも確か。“めちゃくちゃ不味い”わけでも“めちゃくちゃウマい”訳でもない。あくまで“予想よりはウマい”といったところ。毎日食べたいかといったら…微妙だなぁ。

森鴎外の愛した饅頭茶漬け

■饅頭以外も試してみた
せっかくなので、近所のコンビニまでひとっ走りして饅頭以外の甘味も購入。残ったご飯にのせて茶漬けにしてみた。購入したのは「栗饅頭」「月餅」「スイートポテト」「みたらし」「ふわころ」の全5種。

茶漬けを作るのに用意した甘味一覧
用意した材料一覧

■栗饅頭茶漬け
まずは栗饅頭。割った栗饅頭をのせ、お茶を注ぐ。

茶漬けを作るための栗饅頭
エントリーNo.1

栗饅頭茶漬けを作る様子
お茶をかけて

一言でまとめると、炊き方に失敗した甘い栗ご飯。白餡がなかなかお茶漬けになじまず、水分を吸った皮ももったりと重くなるだけで特に新鮮味がない。よく混ぜたものも食べてみたが感想は同じだった。お互いがお互いの良さを引き出していこうという気力が感じられないのが残念。あまり相性は良くないようだ。

栗饅頭茶漬けの様子
ぱっかーん

栗饅頭茶漬けの様子
微妙

■月餅茶漬け
お次はつやつやと輝く月餅。筆者には甘すぎて単体で食べることは殆どないのだが、茶漬けにすれば食べやすくなるかも…?

月餅茶漬けに使う月餅
エントリーNo.2

お茶の香ばしさが手伝って甘さが若干控えめに。たっぷり詰まったナッツのザクザク感がいいアクセントだ。だが、こちらも皮が甘ったるく重い湿った物体になってしまっているのが残念。どうやら重要なのは皮のよう。

月餅茶漬けの様子

月餅茶漬けの様子
皮がなかなかほぐれない…

■スイートポテト茶漬け
これからの季節にぴったりなスイートポテト。切れ込みを入れてお茶を注ぐ。

スイートポテト茶漬けの材料
エントリーNo.3

スイートポテト茶漬け

芋粥みたいで結構おいしい!皮がべったりしてしまうかと思いきや、きちんと餡と一緒に溶かすことでまるでカットされた芋のような美味しさが楽しめた。

スイートポテト茶漬け
今のところ一番うまい

■みたらし茶漬け
米と茶とみたらし団子。これはわりといい感じになるのでは?

みたらし茶漬けのみたらし団子
エントリーNo.4

うーん、期待に反してそこまでおいしくないというか、一緒にする意味が見当たらないというか…。「みたらし団子もお茶漬けもそれぞれ魅力的でいい奴だけど、寄り添うことでお互いを高めあえる関係性とは言えない」ってとこかな。決して不味くはないのだが。

みたらし茶漬けの様子
目玉親父三兄弟

みたらし茶漬けの様子
別々で食べたほうがいい

■ふわころ茶漬け
“ジェネリック萩の月”と話題になったセブンの「ふわころ」。カスタードクリーム入りの蒸し饅頭だ。

ふわころ茶漬けの材料
エントリーNo.5

ふわころ茶漬けのふわころ

じわっと溶け出たカスタードクリームのなめらかな甘み。洋風の饅頭茶漬けといったところだが、なんだか味がぼけている。生地がふわふわで水をよく吸収するためお麩感を通り越して単なるべちゃべちゃ食感に。これは無理があったようだ。

ふわころ茶漬けの様子
水、吸いすぎ

■結論
・饅頭茶漬けは意外とうまい
・白餡との相性は微妙
・スイートポテトを茶漬けにすれば芋粥(モドキ)になる


人によってかなり好みが分かれると思われるものの、一部にはウケそうな「饅頭茶漬け」。森鴎外の文庫を片手に試してみては?