【その3】焼酎以外にも“名物”が!?

一般に開放されている志比田増設工場は、同社が運営する複合施設「霧島ファクトリーガーデン」に併設されている。同施設には、ミュージアムやホールなどがあるのだが、この一角にベーカリーやブルワリー(ビール醸造所)が設置されていて、人気があるのだとか。

「霧の蔵ベーカリー」では、焼酎の製造工程で発生する“焼酎モロミ”を使ったパンが販売されている。食パン、惣菜パン、菓子パンとさまざまな種類が並ぶなか、県内の塩を使った「塩パン」(90円)が大人気。中心には高千穂産バターをたっぷりと閉じ込めてあり、温めるとそのバターが溶け出す。底のカリッとした食感、バターの芳醇な香りと塩気がたまらない。焼き上げる分ずつ売れていくというから、その人気はホンモノなのだろう。

じゅわ~っと染み出すバターがたまらない
じゅわ~っと染み出すバターがたまらない

また「霧の蔵ブルワリー」は、地ビール醸造施設とレストラン、ショップが一体となった施設。ここでは同社オリジナルの地ビール「霧島ビール」が楽しめる。焼酎と同じく霧島裂罅水で仕込んであり、ラインナップはブロンド、ゴールデン、スタウト、そして日向夏。どれもキレがよく、すっきりとした後口だった。

個人的にはブロンドが好み
個人的にはブロンドが好み

【番外】地元の人の“白キリ愛”

ご存知の方も多いだろうが、“霧島シリーズ”には黒霧島のほか、「赤霧島」や「白霧島」などがある。このうち白霧島は、「霧島」として80年以上販売されてきたものだが、1月に名称変更とともにリニューアルされた。黒(1999年全国発売)や赤(2003年発売)よりだいぶ先輩だ。しかし多くが県内で消費されるらしいので、県外の人からすると黒霧島のほうが“おなじみ”だろう。

白と黒の違いは、麹(こうじ)にある。白霧島には白麹が、黒霧島には黒麹が使用されているそう。飲み比べてみたところ、白のほうが芋の香りが強くどっしりとしている。飲みやすさは黒が勝るが、(もちろんいい意味で)くさい焼酎が好きな筆者は白が好みだ。地元でもそういった志向が強いようで、特に長年愛飲している年配の方には“白キリ派”が多いらしい。ちなみに、現在の県内での割合は五分五分とのこと。

■実は日本一

9月、2014酒造年度の芋焼酎の出荷量において、初めて宮崎県が鹿児島県を上回り、“日本一”になったとの発表があった。黒霧島の販売量が伸びたこともその一因だという。さらに同社は、焼酎・泡盛メーカーの売上高ランキングでも3年連続で1位を獲得している。誰もが認める大企業だ。

工場は、安定した生産量を確保するために機械化が進んでいるが、製法そのものは昔と変わらないという。人の手のかわりに機械で麹をつくるようになっても、かめのかわりに大きなタンクで貯蔵するようになっても、ひとつひとつ出来は異なる。それを専属のブレンダーが細かく判定し、ブレンドして、市場に送り出すそうだ。

地元の素材を大切にする姿勢、品質を、味を追及する姿勢をしっかりと感じられた工場見学だった。見学後の1杯が格別にうまかったのはいうまでもない。

老舗おでん屋にて、“白キリ”をぐびっと
老舗おでん屋にて、“白キリ”をぐびっと