そのメカニズムが気になったえん食べ編集部は、専門家に質問すると同時に、2個のモモを使った実験をスタートさせました。1個は、何も包まずに“裸のまま”冷蔵庫へ。もう1個はアルミホイルで包んで(以下、便宜上“武装”といいます!)冷蔵庫へ。
(画像は冷蔵庫に入れた日のもの。ハリがあっておいしそう)
約2週間経過時点では、裸の方はかわいそうなほどしわくちゃになってしまいましたが、武装した方は固さが残っていました。
それからさらに2週間、冷蔵庫に入れてから1か月。2個のモモはいったいどうなったのでしょうか。
◆ 見た目が明らかに違う
まず裸の方を見てみると、ただでさえしわくちゃだった約2週間前より、明らかにしわが増えて黒ずみも目立っていました。さらに、1か月前の初期状態と比べると明らかに小さく、しぼんでしまっているのが分かります。

一方、武装させておいた方。2週間前も固さが残っていることは確認していたのですが、再び軽くさわってみると前回と変わらないように思います。おっ、これはいけるかも!期待をこめてアルミホイルをはがすと、ピンとハリが残ったままの皮が現れました。黒ずんでしまっているものの、大きな傷みは見られません。
◆ いざ、皮をむかん!
武装させていたほうに包丁を入れると、面白いくらいするするする~と皮がはがれていきます。手でもむけそうなくらいなめらか。よく熟したモモをむいているような、そんな感覚です。半分むいたところでストップ。果肉をよく見てみると、ところどころあたってしまっているところはありますが、やはり表面上に大きな傷みはありません。
しかし、果肉を割った瞬間、私(筆者)は負けを悟りました。芯を中心に、中が完全に傷んで黒っぽく変色してしまっていたのです。ヤラレタ…!
念のため、かろうじて変色していない表面を削って食べてみましたが、とても食べられたものではありません(生産者さんごめんなさい…)。食感に違和感はないのですが、舌の上にピリピリと残るような刺激、そして渋みがあり、あのおいしかったモモの名残をみじんも感じられませんでした。完全なる惨敗です。
◆ これで終わりではないぞ!
期待が大きかっただけに(1か月も待ったんだ!)、“アルミホイル武装”の失敗はえん食べ編集部に大きな落胆をもたらしました。しかし、ここで思い出しましょう。あの、しわくちゃなモモの存在を…!こちらも一応むいてみました。
水分が抜けてしまっているためか包丁が入らず、ものすごくむきにくい。時どき厚さ1cmほどの皮を作ってしまいながらも半分むき、割ってみると…。見た目はいつもと変わらない、きれいな果肉が現れたのです!
つまんだ感触は熟れたイチジクのようなイメージ。食べると、モモならではのとろりとした食感は失われており、ぐにゅっと歯切れの悪いコンニャクのようでした。でも、モモらしい味わいは健在。みずみずしさはありませんでしたが、あの独特の甘みは残っていました。やや渋みもあるものの、食べられないほどではありません。
◆ アルミホイル武装は万能ではない
“食べられる状態で維持できたかどうか”をみると、結果的には、裸のまま保存したほうが成功していました。水分が抜けてしわくちゃなうえ、フレッシュ感はなかったけれど。
ただ、アルミホイルで包んだほうも、“水分保持”の点では成功していたのではないでしょうか。筆者が素人目で見た限りでは、芯から傷んでいるようだったので、もともと痛みやすい個体だったのかもしれません。裸の方のモモを包んでいたら、結果は違っていたかも…?アルミホイルと冷蔵庫、過信してはいけませんね。やはり、新鮮なうちにおいしく食べる努力をした方が良さそうです。