◆ モモ専門家によると…

続いて、モモについて研究している、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所専門員の吉岡さんにお話を伺いました。


吉岡さんによると、実は何にも包まずに冷蔵庫に入れた場合でも、見た目だけなら1か月ほどもつことはあるそうです。でも、水分が抜けたり、肉質や味が落ちたりと、おいしくなくなってしまうのだとか。保存するとしても「1週間が限度では」と、吉岡さんは話します。

繊細なところも愛おしいんだ
繊細なところも愛おしいんだ

今回の件について「はっきりとした因果関係は分からない」としながらも、「モモの外側をぴったりと覆ったことで適度な密閉状態になり、モモの呼吸がおだやかになって酸素濃度が下がった結果、軟化が遅れた可能性が考えられる」といいます。いわば睡眠状態になったため、長もちしたのではないか、というのです。ちなみに、エチレンとの関連を考えた場合、外からのエチレンの影響を受けにくくなったかわりに自身が発するガスの逃げ場もなくなってしまい、逆に軟化が進む可能性もあるのでは、とのことでした。

◆ 実際に試してみよう!

アルミホイルメーカー、モモの専門家、どちらの回答からもはっきりとしたメカニズムは分かりませんでした。でも関心はあるようで、特に吉岡さんは、「確実に保存できる方法があるなら、私が知りたいです」とまでおっしゃっていました。

モモの保存方法について検索してみると、「ラップやポリ袋で密閉する」といった趣旨の方法をおすすめしている生産者が複数いました。アルミホイルに限らず、“ぴったりと果実を覆う”ことにポイントがあるのかもしれません。ただし、水分には要注意。特にアルミホイルの場合、「水分に弱い性質がありますので、長期間湿気などにさらされるとアルミが腐食という酸化現象を 起こし、変色したり、溶けて穴が開いたりしますので湿気の多い場所での長期保存には向いていません」(東洋)とのこと。包む前にしっかりと水分をふきとるなど、念入りに準備した方がよさそうです。

なお、柔らかくなるスピードは、モモの品種や購入時の状態などにより大きな差があります。やはり、新鮮なうちに食べてしまうのがよいのでしょう。そりゃそうか。

とはいえ、天国のようなモモ生活をあきらめきれないえん食べ編集部。「川中島白桃」(やや固めの品種です)を買ってきて、1か月間保存できるかどうか実験してみることにしました。そのままのモモとアルミホイルで包んだモモを冷蔵庫に入れて、半月が経ちました。“裸”の方はかわいそうなほどしわくちゃで、柔らかくなってしまいましたが、アルミホイルで“武装”した方には固さが残っています。これは期待できるかも!

試してみた結果は、後日、えん食べでご紹介する予定です。果たしてどうなっているのでしょうか!

半月前はぴちぴちだったのに…
半月前はぴちぴちだったのに…