桃を1か月保存できるだって!?
桃を1か月保存できるだって!?

先日、「桃の保存方法を実践した結果」という話題がインターネット上で盛り上がりました。「アルミホイルでぴっちりと包んで冷蔵庫に入れると、1か月くらいは保存できる」というものです。もしこの方法が有効なら、モモ生活が天国のようなものになるに違いない!一人暮らしでも箱買いできるかも!

でも、どうして傷みやすいモモを長期間保存できたのでしょう。気になったえん食べ編集部は、そのメカニズムを確かめるべく、専門家にお話を伺いました。


◆ モモのおいしい食べ方

本題に入る前に“モモのおいしい食べ方”について確認しておきましょう。

とろりとした食感と、えもいわれぬ甘さが楽しめるモモですが、スーパーで買ったばかりのものを食べるとイマイチだった…なんて経験がある人もいるはず。

モモはとてもデリケートな果物。特に完熟したものはちょっと傷がついたり負荷がかかったりするだけで傷みやすくなってしまいます。そこで一般的には、少しでもリスクを減らすべく、熟しきる一歩手前で収穫した固めものを流通にのせます。消費者の手に渡る頃にはまだ固く、食べごろでないことも多いのです。(近年は、固めの食感を楽しむタイプのモモも人気があるようですが…。)

そんなときは、新聞紙などでそっと包んで(ネットのままでもOK)、冷暗所に置いておきましょう。“追熟”して柔らかくなります。完熟していないモモを冷蔵庫に入れっぱなしにすると、追熟しにくくなるうえ糖度も落ちてしまうため、冷やして食べたい場合は食べる直前に2~3時間冷蔵庫へ入れるとよいのだとか。

◆ 長期間保存できたのはアルミホイルのおかげ?

さて、追熟が起きる原因のひとつとして、植物ホルモン「エチレン」の影響があげられます。エチレンは植物の一生のうちでさまざまな働きをするのですが、特に収穫後の果実については、その実を軟化させる役割を持ちます。“固いキウイとリンゴを一緒に置いておくとキウイが柔らかくなる”のも、このエチレンのおかげ。モモは自身が生み出すエチレンが多いうえ、その影響を受けやすいので、すぐに柔らかくなり、やがては“傷んで”しまうのです。

今回の“保存方法”を受けてエチレンに注目した人もいたようで、アルミホイルで包んだことがエチレンに何らかの作用を及ぼしたのではないか、といった声もありました。そこで、アルミホイルを製造しているメーカー2社(東洋アルミエコープロダクツ/以下東洋、UACJ製箔/以下UACJ)に問い合わせてみました。

アルミホイルのおかげ?
アルミホイルのおかげ?

「アルミホイルがエチレンに何かしらの影響を及ぼすことはあるのか」尋ねたところ、「直接作用することはない」(東洋)、「当該資料はない」(UACJ)という答えが返ってきました。アルミホイルで包んだことで外気とともにエチレンを遮断できた可能性があるものの、それが直接関係しているかどうかは分からないとのこと。

アルミホイルは一般的に、光や湿気(水分)、空気、ガスをほとんど通さないといった機能を持つため、食品などの包装材料によく使われます。今回の場合だと、エチレンとの関連性については判明しなかったものの、それ以外の要素が関係しているのかもしれません。
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