◆ ソースには地域性がある

場所を移して、串カツをつまみながらお話をうかがった。なぜ串カツなのか、については後ほど。


揚げたての串カツ、マズイはずがない
揚げたての串カツ、マズイはずがない

ゴリラソースの看板商品は、社名にもなっているソースだ。ウスターソース、中濃ソースの2種。串カツをつけて食べると、ソースがきちんとカツを引き立てている。ともすれば主役である“かけられている方”の存在を食ってしまうソースが、すばらしい脇役として活躍している――そんな味なのだ。こだわりのトマトを含む原料を新鮮なうちに加工し、コトコトと煮詰めることで、バランスがよく奥行きのある味わいに仕上げてある。開発担当者自身もこのソース(特に中濃)が非常に好きで、冷蔵庫に入っていないと落ち着かないのだそうだ。

ソースというのは実は、寡占状態のメーカーがない珍しい業界だという。そういえば、兵庫県で生まれ育った筆者は、東京へ来るまでブルドックソースなど知らなかった。先日「ご当地ソース人気ランキング」をえん食べでご紹介した際には、編集部内で「オタフクだ」「イカリだ」「ブルドッグだ」と紛糾したものだ。筆者の「オリバーソース(兵庫県に本社を置くメーカー)」という主張は見事にはねのけられた。それだけ、地域や育った環境によって、親しんできたソースが異なるのだ。(ちなみに、筆者の実家では種類によって愛用ブランドが異なっていた。ウスターソースはイカリ、お好み焼きソースはオタフク。そしてとんかつにはオリバー。用途を限らずに好きなソースを聞かれると、正直、困る。)

話が脱線してしまった。そんな“ご当地色”豊かなソースの世界で、「自由が丘生まれのソース」を目指すべくスタート。そして3年ほど前、「愛情深い生き物で、かつキャッチーだ」という理由からゴリラをトレードマークとし、ゴリラソースが誕生することとなったそうだ。

◆ レストランもある

ソースから始まったゴリラソースだが、現在はさまざまな商品を展開している。それらを一挙に体験できる場所として活躍しているのが、2月、伍利良屋のすぐ近くにオープンした直営飲食店「ごりら横丁」。すし、焼肉、しゃぶしゃぶ、串カツと4つの形態の店舗(駄菓子屋をあわせると5つ)が“横丁”のように1フロアに集められている。ここで筆者は串カツを頬張ることとなったのだ。

この横丁では、別形態の店で購入したメニューを持ち込み、一緒に食べられる。串カツをつまみに焼肉を食べ、シメにすしを…なんてことも可能だ(ちょっと無茶苦茶だが)。それぞれの店舗に、ソースだったりしょうゆだったり酒だったり、ゴリラマークの商品が置いてあり、その味を試せる。

さらに、ごりら横丁の下にあるハンバーガーレストラン(女性グループに大人気)も同社が運営している。ここで食べたケチャップの味を忘れられずに再訪する人や、「どこで買えるのか」と尋ねる人も多いという。言わずもがな、ゴリラマークのあのケチャップのことだ。

両レストランで気に入ったものがあれば、店内に置いてあるので購入できる。伍利良屋へ行ってもいい。高めのものが多いが、いくつもの商品にリピーターがついているという。