4月21日、東京・渋谷にオープンしたメキシカン・ファストフードチェーン「Taco Bell(タコベル)」。初日は200人以上が行列をつくり、華々しい日本再上陸となりました。あれから1週間。たまたま近くを通りかかったところ、オープン時よりもはるかに短くなった行列に遭遇し、「これなら入れるかも!」と思ったえん食べ編集部は、翌日の開店時間に合わせて行ってみることにしました。

すると、並んでいたのは30人程度。客席は104席あるから余裕じゃないか!と漏れ出そうな鼻歌を我慢しながら並んでいたのですが、商品にありつけたのはなんと、およそ1時間後だったのです。


オープンから1週間。渋谷「タコベル」の行列は今…
オープンから1週間。渋谷「タコベル」の行列は今…

■開店時の待ち人数は30人くらい

実は私(筆者)はタコベル初心者。なんとも不安だったので、アメリカに留学していた頃、タコベルに通っていたというスタッフに同行してもらいました。「久しぶりに食べられる!」と、かなりテンションがあがっているようです。

平日の朝、開店5分前の9時55分に到着しました。初日には山手線の線路まで行列が伸びたそうですが、さすがに1週間経つと表通りにまで並んでいる人はいません。でも細い道に入ると30人ほどの行列を発見。店の入り口に近い第1集団と、後方にある第2集団とに分かれています。

こちらは第2集団。中央の黄色い矢印が、店舗と第1集団の位置
こちらは第2集団。中央の黄色い矢印が、店舗と第1集団の位置

さて、10時になると、ぐっと第1集団が動きました。私たちも入れるぞと思いきや、第1集団に合流する手前で寸止め。その後、前に進んでからもなかなか列は動かず、結局入店までに約25分かかったのです…!そしてやっと入れたと思ったら、レジカウンターの前にまた行列があるという、もどかしい状況が待っていました。しかも、ここから先がまた、驚くほど進まないのです。

ようやく入れても、この人数
ようやく入れても、この人数

■メニューがややこしい気がする

とはいえ、この待ち時間を無駄にはできません。レジ上のパネルを見ながら、注文するものを考えることにしました。

事前に Web ページで予習していたものの、タコベル初心者の私にとっては結構ややこしいシステム。まずメインを選び、お肉を選び、ソースの辛さを選び、サイドメニューを選ぶようです。しかし、(1)「メイン」とはどれか分かりづらい、(2)「メイン」によって選べる「肉」の種類が異なる、(3)コンボ(セットメニューのこと)の実態が分からない、と、私の脳は大混乱。しかも Web ページには価格が掲載されていないときた。

さすがにパネルには書いてあったので、価格もあわせてメニュー(単品価格/コンボ価格)をじっくりと検討します。

まず、「メイン」は、2タコス スプリーム(1コ320円/790円)、ファヒータ ブリトー(500円/760円)、クランチラップ(630円/850円)、ファヒータ ケサディーヤ(630円/850円)、日本限定のシュリンプ&アボカドブリトー(590円/850円)、同じく日本限定のタコライス(530円/790円)の6種類。コンボの場合は、ドリンク(ドリンクバーで飲み放題!)と、サイドメニューとして「メキシカンポテト」または「ナチョチップ」がついています。

メニュー1
メニュー1


メニュー2。コンボは番号での注文も可能
メニュー2。コンボは番号での注文も可能

「肉」は、タコミート(ビーフ)、ポーク、グリルチキンの3種類が用意されています。しかし、3種類のなかから自由に選べるというわけではなく、メニューによって選択肢が限られています。例えば、タコスはビーフかポーク、ブリトーはチキンかポーク、といった具合。また日本限定の2メニューでは選べません。

さらに、選択肢が多くてややこしいのがタコス。“2タコス”というメニュー名ですが、単品の場合は1個単位で。コンボの場合は自動的に2個セットとなるそうです。また、肉だけでなく生地も選択制。カリッと揚げたコーンシェルか柔らかいトルティーヤから選べます。

さらにさらに、レジ前に、「AMIGO SET(アミーゴセット)」(490円)なんてものも掲示されていました。SNACKS(スナック)にラインナップされている「ビーフクランチータコ」か「チージービーフ ブリトー」と、メキシカンポテトかナチョチップ、そしてドリンクがセットになったもの。メインの選択肢は2つだけですが、気軽に注文できるメニューではあります。

こんなのもありました
こんなのもありました

と、いろいろと考えていたところで、ようやく私たちの番がやって来ました。このときすでに10時35分!混乱した頭をなだめつつ注文を終えると、ドリンク用の紙コップと、呼び出し用のベルを渡されました。ドリンクを入れて席についたのは10時40分。開店から40分が経っていました。

コカ・コーラはちゃんと2口あり、中央には Dr.Pepper も  この隣には、オレンジジュースと烏龍茶だけのサーバーがあります
コカ・コーラはちゃんと2口あり、中央には Dr.Pepper も
この隣には、オレンジジュースと烏龍茶だけのサーバーがあります

ざっと周囲を見回すと、表の人ごみはどこへやら、かなり空席が目立ちます。それもそのはず、テイクアウトの人もいたので、店内で食べているお客は20人程度。104席あれば余裕で収まります。タコベルの行列は、注文に時間がかかるから発生した行列だったのです。

実際、私たちも、説明を受けながら注文していたので2~3分はかかりました。各組が注文に2分かかるとすると、レジがふたつあったとしても、30組が注文するには30分必要なのです。同店はセルフ式のため、注文してからでないと入店できません。入り口からカウンターまでの距離が短いこともあり、外に伸びる行列も長くなってしまったのでしょう。これから訪れるという人は、ぜひこの記事でメニューを予習し、スムーズな注文に役立ててください!

■結局55分かかった

席についてから待つこと10分弱。ベルが鳴り、やっと商品を受け取ることができました。時計を見ると10時50分。開店から50分、店に到着してからだと55分かかって、やっと食べ物にありつくことができました。お腹すいた…!

注文したメニューは、ファヒータブリトー(チキン)、タコライス、クランチラップ(ポーク) コンボ、アミーゴセット(ビーフクランチータコ)の4種です。空腹と暑さに限界を訴える胃をなだめ、さっそく食べてみます。

■「懐かしい味ですね」by タコベル経験者

まずは、ずっしりと重量感のあるブリトー。包みを開いて断面を見てみます。中には、カットされたチキン、パプリカやトマトなどの野菜、ケチャップライスみたいな見た目の米が入っていました。この米は、トマトやスパイスとあわせた「メキシカンライス」なのだとか。“あんかけケチャップライス”みたいなビジュアルです。

焼き目もついています
焼き目もついています


あんかけっぽく見えません?
あんかけっぽく見えません?

食べてみると、口の中に広がるのはアメリカンな香り(メキシコ料理だけど!)。スパイスの香りと辛さ、チーズが混ざり合い、バーガー系のファストフードとは違ったアメリカン・ファストフードな味を感じます。ソースは「ミディアム」をチョイス。初めこそはっとする辛さがあるものの、飛び上がるほどの刺激はなく、ブリトーひとつを食べきるとちょうどよいくらいでした。やや厚みのある生地とご飯のおかげで、食べ応えあり。ポテトもセットにすると、ハンバーガーセットの比じゃないボリュームです。

そして、ブリトーと両頭をなす看板メニューのひとつ「タコス」。今回は、ビーフクランチータコを最も辛いソース「HOT」で注文してみました。入っている具はタコミート、レタス、チーズ、ソース。生地はコーンシェル(固いほう)です。私がイメージしていたタコスって、これくらいの辛さだったの!同行スタッフも「この味、懐かしいですね」と嬉しそう。HOT ソース、(いろいろな意味で)おすすめです。

同行スタッフ「この、肉とチーズから染み出た油がタコベルらしくて懐かしい」
同行スタッフ「この、肉とチーズから染み出た油がタコベルらしくて懐かしい」


やっぱりタコスはタコミートがいい!
やっぱりタコスはタコミートがいい!

続いて、日本限定メニューのひとつタコライスを食べてみました。タコライスは、ご飯の上に、タコミートや野菜をのせ、サルサをかけて食べるのが一般的なスタイル。沖縄で発展した料理です。

同店のタコライスは、ブリトーにも入っていたメキシカンライスの上に、千切りレタス、タコミート、生トマトのサルサ、チーズがトッピングされています。いい意味で見た目を裏切らない味でした。

沖縄で食べたなあ、タコライス
沖縄で食べたなあ、タコライス


白米ではなくメキシカンライスです
白米ではなくメキシカンライスです

最後に、その見た目が気になっていたので注文したクランチラップ。メニュー写真では半月状のものが2個積み重ねられていますが、実際は、iPhone5 の長さを上回るほどの直径がある、平たいシュウマイみたいな状態で提供されました。

結構大きい!
結構大きい!

生地が柔らかめなので、具が落ちないように気をつけてパクリ。サワークリームの酸味とチーズソースが絡み、タコスやブリトーとはまた違った味わいです。こちらには生のレタスとトマトも入っています。さらに、トスターダ(トルティーヤ生地を揚げたもの)も入っているので、カリカリ食感も加わっている…はずだったのですが、撮影に時間がかかったせいか、すでに水分を吸って柔らかくなってしまっていました。なんだか悔しい。

紙で包んでくれたら食べやすいのに
紙で包んでくれたら食べやすいのに

今回の4つのなかでは、私はこのクランチラップが一番好みでした。しっかりと食事にもなるボリュームがあるし、日本ではめったに食べる機会のないチーズソースが、「並んでタコベルを食べてやったぜ!」みたいな、妙な高揚感を生じさせるのです。おそらく私だけでしょうが。次に来るときには、生ビール(500円、コンボだとプラス200円)も注文するのを忘れないようにしなければ。

食べきれない分は編集部のお土産にすることにして、店を出たのは11時30分になろうとするころ。店の外には開店前と変わらず、30人ほどが並んでいました。待ち時間はやはり1時間ほど、とのこと。ただし、GW の大型連休中はもちろん混雑すると思われます。先週末(25日と26日)のようすをスタッフに聞いてみると、最大で2時間待ちだったそう。連休中の東京は、ここ2日ほどではないものの暑くなると予想されています。並ぶ人は、くれぐれも熱中症対策を忘れずに!水は必須アイテムです。

ちなみに4月29日、原宿にはオーストラリア発のメキシカン「GYG(グズマン イー ゴメズ)」がオープン。せっかくなら原宿まで足を伸ばして、ワンハンドグルメの食べ比べなんていかがでしょう。

GYG のブリトーもお試しあれ
GYG のブリトーもお試しあれ