●“白い牛肉”のソーセージ

リムーザン牛のおいしさに感動したのもつかの間、タルタルソーセージに更なる衝撃を受けました。このソーセージ、牛肉100%なのに真っ白なんです。

麺屋武蔵20周年「金乃武蔵」、6月の「リムーザン牛ら~麺」のタルタルソーセージの焼く前
焼く前のソーセージ。
照明の関係でうっすらと赤く見えますが、牛肉とは思えない白さです

それは“白い牛肉”を使っているから。母乳のみで育った子牛の肉なのですが、ほかのエサから鉄分を摂取しないため、赤くならないそうです。フランスではこれを、生のままタルタルにして食べることが多いのだとか。


そこから着想を得て作られたのがタルタルソーセージ。ごろごろの粗挽き肉をハーブ類とともにつめ、あえて燻製にせず生の状態から低温でゆで、こんがり焼き目をつけて盛り付けられます。

食べた第一印象は「ハンバーグ」。豚肉っぽいけど確かに風味は牛肉で、まさに粗挽きハンバーグなのです。タルタルにそのまんま火を通したもの…そう表現してもいいかもしれません。素材を生かすソーセージ、あっぱれ!

●店長はソーセージマニア

ところで、吉祥寺店の看板メニューは、店舗で手作りしている大きなソーセージがのったつけ麺。ソーセージにハマった店長さんは、まったくの素人状態からさまざまなところで修行を重ね、ソーセージづくりの腕を磨いてきたそうです。ラーメン屋さんなのに!

「まちの惣菜屋さんよりも経験はつんでいると思います。1日に200本ほどのソーセージを作っていますから!」。そう話す店長さんいわく、粗挽き肉をうまくソーセージに仕立てるのはとても難しく、温度管理や力加減など、細かいワザが必要となるそうです。

ひとたびソーセージの話題をふると止まらない止まらない! おかげでソーセージへの理解が深まりました。ただ詰めただけ、じゃおいしいものはできないんですね。

●まるでスープパスタ

ラーメンに戻りましょう。

おいしい肉たちを受け止めるスープは、子牛の骨や筋肉と香味野菜をじっくり煮込んでつくる、フランス料理の“だし”的存在「フォンドボー」風。リムーザン牛やノルマンディ地方の子牛、国産子牛の骨や肉をフォンドボーと同じように煮詰めたものがベースとなっています。

味はしっかりとフォンドボー。さまざまな素材のうまみが絡み合い、複雑なうまみを生み出しています。

麺屋武蔵20周年「金乃武蔵」、6月の「リムーザン牛ら~麺」のスープ
フォンドボーだけどラーメンスープ

麺は、フランス産の牛肉にあわせ、パンによく使われるフランス産の小麦粉を使用しているそう。一般的な麺より小麦の風味が強く、イメージはカッペリーニ(カペッリーニ)みたいな極細パスタに近いでしょうか。

フォンドボーに入れたパスタ。スープパスタを食べているような気になります。でも、ちゃんとラーメンらしさもあるから不思議。麺と一緒にすすればラーメンスープ、肉と合わせれば欧風スープ。なんだこれは!

肉のうまみをじっくりと堪能できる“牛ラーメン”。ぜひ、スープに肉をひたすという方法もやってみてください。じんわりスープをまとった肉、ものすごくおいしいです。

●ワインとあわせたい

欧風料理のエッセンスが散りばめられているためか、はたまたおいしい牛肉のおかげか、ぜひワインと楽しみたくなります。ワインに合うラーメンって考えたこともなかったけど、これはワインを一緒に飲みたくなる! と、何回も社長さんにお伝えしてきたので、店舗に用意してくれないかな。

麺屋武蔵20周年「金乃武蔵」、6月の「リムーザン牛ら~麺」
飯テロのためにも、もう1度写真を貼っておきますね

リムーザン牛ら~麺の提供期間は、6月23日から6月26日まで、1日10食限定。価格は1杯2,000円(税別)です。牛肉だけの値段と考えても遜色ないほどお値打ちな1杯。心して挑んでください!