世界を巻き込んだトレンドBean to Bar。でも、正体がよく分からないBean to Bar。そこで、この連載では、日本におけるBean to Barのパイオニア「Minimal(ミニマル)」を例に、3回に分けて“Bean to Barの世界”をご紹介します。
最終回の第3回は、Bean to Barメーカーのなかでもユニークな「Minimalのチョコレートづくり」について。
カカオ豆と砂糖だけでつくられることが多いBean to Barチョコレートでは、よりカカオの個性を味わえるといわれています。カカオの品種や産地、作り手によって、異なる世界を楽しめるのです。
◆発酵から自分で
チョコレートの原料はカカオですが、収穫されたばかりのカカオの実って、チョコレートとは全く異なる味がするそうです。“チョコレートの味”を出すための鍵は“発酵”。チョコレートは、納豆やチーズと同じ発酵食品の仲間ともいえるのです。
一般的なチョコレートメーカーでは発酵させ乾燥させた豆を輸入することが多いなか、Minimalは発酵から自社で手がけています。そんなMinimalだからこそつくれる“同一豆の発酵違い”を楽しめるセットが誕生しました。
◆“発酵違い”を味わう
発酵違いのチョコレートをセットにした「テイスティングセット-フィリピン産カカオ、オリジナル発酵5種セット-」は、フィリピン産の単一農園の豆1種類を買い取り、酵素を変えるなどしてアレンジした5つの発酵方法でつくったというもの。No.1からNo.5まで用意されています。
No.1は従来の方法で発酵させたもの。まろやかな甘みを感じるチョコレートです。これに対してNo.2は、より酸味を生成するよう発酵。少し香ばしくなります。またNo.3はアミノ酸の生成を意図したそうで、はじめに柑橘っぽいジューシーな“果実味”を感じました。
乳酸により渋みを減らして酸味を生ませたというNo.4は、舌に残る苦みが少なくあっさりとした甘み。こんなにすっきりとしたチョコレートを筆者は初めて食べました。「味が薄い?」というスタッフも居ましたが…渋みが弱まるだけでこんなに印象が変わるものかとビックリ。そして最後のNo.5は、発酵そのものを活性化させているそう。「あ、発酵してる!」という爽やかな甘酸っぱさでした。
“豆違い”だけでなく“発酵違い”も楽しめるBean to Barチョコレート。よりつくり手の顔が見える、Bean to Barらしい楽しみ方のひとつではないでしょうか。
◆カカオを味わうBean to Barの世界
世界のチョコレート界をにぎわすトレンド「Bean to Bar」。日本にもじんわりと広まってきています。ショコラティエのセンスが光るチョコレートスイーツもいいけれど、Bean to Barを知るともっともっとチョコレートが好きになるはず。出会ったら、じっくり“レシピ”を聞いて、五感で味わってみて。豆への愛情がぎゅっと詰まった1枚が、新たな世界を見せてくれます。
(第1回「世界をトリコにする製造スタイル」、第2回「シングルオリジンの楽しみ方」もあわせてご覧ください。)