海底に眠るワイン。どうです、この一文、興味をそそられませんか。ロマンの香りがしませんか。…え、しない? そんな寂しいこと言わないでください。一人でテンションを上げている自分が可哀想になってしまいます。

海底20m に眠る6,000本のワイン―Venus プロジェクト発足
海底20m に眠る6,000本のワイン―Venus プロジェクト発足

お酒の熟成と海の不思議なエピソードは多々あり、例えば沈没船から引き揚げられたシャンパンがおいしく飲めたり、大航海時代に港から港へ運ばれ酒がまろやかになったり、といったことが過去にはあったのだそうです。へええ。


コモンセンスでは様々な酒類の海底熟成実験を行い、ワイン、日本酒、各種蒸留酒など、通常の貯蔵方法と比較して多くの酒が、異なる味わいの変化をきたすという結果を得たそう。中にはあきらかに味の落ちるものもあったそうですが、その中で、最も素晴らしい熟成をみせた酒は、果実を凝縮させた貴品種で仕込んだ赤ワインだったとのこと。なるほど、面白いですね。

このデータを基に、同社では6,000本の赤ワインを、南伊豆の海底20m に沈め、熟成させる「Venus プロジェクト」を発足。幾多の国々の赤ワインの中から、国際的評価も高い南アフリカ CLOOF 社のシラーズ種の赤ワインを海底へ持っていくワインとして決定しました。

6,000本がこのようにして海の底に沈みます!ギッシリ!
6,000本がこのようにして海の底に沈みます!ギッシリ!

しかし、通常のワインをボトルのまま沈めると、水圧によりコルクがボトル内に押し込まれてしまいます。それを防止するためのに深度100mでも海水の浸透がないシーリング方法を確立、ほかにもコルク臭汚染の予防に最新の DIAM コルクの使用、ラベルは海水により剥がれてしまうため、サンドブラストでの刻印を行うなどの工夫が施されています。惜しみなく注がれる努力です。

実験ではこんな感じだったそう。
実験ではこんな感じだったそう。

沈める場所は国立公園に面し、ありのままの自然が残され、伊豆有数の透明度を誇る奥石廊崎、賀茂郡南伊豆町中木沖。綺麗な海に眠る南アフリカの赤ワイン。…うーん、ステキ。

奥石廓崎、美しいですね
奥石廓崎、美しいですね

こちらのワイン、11月の5~9日に海底ワインセラーへと貯蔵される予定。引き上げ時期は熟成の度合いを見ながら、来年2013年の3~6月を予定しているそうですよ。果たして味はどのように変化するのでしょうか? ロマンが感じられるこのワイン、是非とも飲んでみたい…!