隣人の夕食をのぞく番組や雑誌の「鞄の中味」特集など、他人の生活を垣間見るのは面白い。それが一日の始まりだったらどうだろうか。

学研マーケティングから6月17日に発売された「朝食・朝メシ・朝ごはん」は、“みんなの朝食”をテーマにカルビーが企画し、学研パブリッシングが編集した書籍。同書には、1人暮らしの学生やごく一般の家庭、スポーツ選手など幅広い人々の朝食にまつわる21のエピソードがまとめられている。


「朝食・朝メシ・朝ごはん」/カルビー株式会社
「朝食・朝メシ・朝ごはん」/カルビー株式会社

「誰かのための朝ごはん」という章では、朝食を提供する飲食店や“100円朝食”で話題の立命館大学などがクローズアップされている。たとえば京王プラザホテル スーパーブッフェ グラスコートの佐藤シェフは「その日1日を元気に過ごすために食べるのが朝食」と品数や提供方法のこだわりを語り、また、築地で働く人のために20年以上朝食を作り続けている「とんかつ 八千代」の石塚さんは、豊洲に移転しても変わらぬ朝食を提供することを誓う。誰かの元気の源となっている場所に一度足を運んでみたくなるだろう。

ところでカルビーというとスナックのイメージが強いが、1988年からシリアル事業もてがけており、中でもフルーツグラノーラ「フルグラ」は女性を中心に人気を集めている。だが同社の松本会長は、実は何十年も朝食を食べてこなかったそうだ。その習慣を変えたアメリカのフルーツグラノーラとの出会い、そして「8割9割の人が朝ごはんを食べる今だからこそ、何を食べるかということが重要」と朝食への熱意が語られる巻末インタビューも興味深い。

読み進めるうちに、筆者自身も部活の大会や受験といった大事な朝に母が作ってくれたおにぎりを思い出し、胸が熱くなってきた。一日の始まりにあるそれぞれの想いを知ることで、新しい発見があるかもしれない。