その1つの例が、NY の朝食の女王と呼ばれる「サラベス」。ここの朝食メニューは、舌の肥えた日本人も十分満足させる味でした。
でも、おいしい朝食店は「サラベス」だけではありません。米国にはまだまだおいしい朝食店が存在しています。その1つが、サンフランシスコの「STACKS(スタックス)」です。

「スタックス」は、サンフランシスコの地元紙「San Francisco Chronicle」や「San Jose Mercury News」などで「Best Breakfast(最高の朝食)」や「Best Brunch(最高のブランチ)」を受賞している、地元民ならだれでも知っている有名店です。
では、「スタックス」とはどのようなレストランで、そこではどのような朝食が食べられるのでしょうか? 「スタックス」のバーリンゲーム店を訪れ、調べてみました。パンケーキやワッフル、フレンチトーストが楽しめる、チェーン店だけど地元の小さなレストランの雰囲気を持ったお店です。
■ 「スタックス」は午後2時30分まで朝食が食べられるレストランです
「スタックス」の営業時間は午前7時から午後2時30分まで。2時頃に訪問しても、朝食が食べられます。



パンケーキが「スタック(山積み)」になったメニューに由来します
■ メニューの多さに圧倒されます!
スタッフの方にメニューを手渡されページをめくって気付くのは、その品数の多さ。ざっと数えただけで、朝食メニューは60種類以上、ランチメニューは40種類以上あります。例えば、スクランブルエッグだけで6種類もありました。
スタッフの方に品数は全部でいくつなのか尋ねてみたところ、「それは誰にも分からない」という回答が。先程のスクランブルエッグを例に取れば、お客さんのリクエストに応えて卵の数を増減したり、トッピングを変更したりできるので、そういったものを含めればメニューの数は無限なのだそうです。
筆者はその無限のメニューの中から、パンケーキの上に、豚肉をバーベキューソースで味付けした「カルニタス」をのせた「Savory Carnitas Pancake(良い匂いのカルニタスパンケーキ)」を選択。日本では食べられないものを試してみたかったからです。さて、この選択は吉とでるでしょうか、それとも凶とでるでしょうか?

日本と違いメニューに写真が無いので
どんな料理かはでてくるまでわかりません
筆者はびびりなので、「カルニタスパンケーキ」を身体が受け付けなかった場合の保険として、一般的な「Breakfast Basics」も注文しました。

やはり品数は多めです
■「カルニタスパンケーキ」の味は?
「カルニタスパンケーキ」は、甘いパンケーキ3枚の上に、甘辛い味付けのポーク、そしてこれでもか!っていうほどの大量のバターとメープルシロップの小瓶一本で構成されたメニュー。日本で食べられるものでこれに一番近いのは、マクドナルドの「マックグリドル」。そう、あれ系のメニューです。

この料理を食べていく上で、バターとメープルシロップは必須です。カルニタスもおいしいし、パンケーキも抜群なのですが、いかんせんこの2つの味しかないのです。バターやメープルをつけて味に変化を持たせないと、単調過ぎて食べ飽きてしまいます。はい、「カルニタスパンケーキ」の選択は、失敗でした。

これに対して「Breakfast Basics」は手放しでおいしいと言えるものでした。プレートにソーセージ、スクランブルエッグ、ハッシュポテト、ベーグルがのっているだけの、本当に「Basic」な朝ご飯。でも、一つ一つのレベルが高いのです。とくにベーグル。食感はさくっと軽く、ベーグルというよりトーストした食パンのよう。でも、味わいはしっかりベーグル。これなら、いくつでも食べられるかも。

■さて、スタックスの良さはどこにある?
今回、筆者はチャレンジングなメニューを選択してはずれをひきましたが、「スタックス」の通常メニューはどれもおいしいものばかり。パンケーキもワッフルもフレンチトーストも、どれも素晴らしいものです。人気店なので、味が良いのは当然と言えば当然。でも、「スタックス」がここまで高い人気を獲得している理由は、それだけではないはずです。
休日の朝、スタックスの店舗前にはいつも長い列ができています。また、その高い人気にあやかり、明らかにスタックスの真似をしたと思われる朝食店が近郊にオープンしたこともありました。サンフランシスコ/ベイエリアの人たちは、なぜ毎週スタックスで朝食を取っているのでしょうか? お客さんに尋ねてみました。
女性客 A さん:「近所の人とおしゃべりできて楽しいのよ。それに、ここで並んでいると、たまに、懐かしい人に会えるの。別の街に引っ越して、もう会えなくなった人とね。その人たちは、別の街に住んでいるけど、ここで朝ご飯を食べるためだけに、ときどき車でやってくる。その人たちと会えるのも楽しみだわ」
男性客 B さん:「新聞を読むんだよ。もう10年以上、日曜版の分厚い新聞を読むのは、この店のこの席と決めているんだ」
男性客 C さん:「犬の散歩の途中に寄るんだ。店の外のテーブルなら、犬も一緒にいられるからね」

どうやら「スタックス」は、こういった地元の人たちのローカルな要求を満たした朝食店のようです。そしてこれらがスタックス成功の秘密だとしたら、日本に上陸して成功するかどうかは、なんとも言えません。日本には日本独自の要求があり、それはサンフランシスコの人たちのそれとは、かなり違っているためです。「スタックス」は「サラベス」とは違い、日本には上陸しないかもしれません。
でも、おいしい朝食店であることは間違いなし。もしサンフランシスコに行く機会があれば、是非「スタックス」にも出かけてみてください。その時には、あまりチャレンジせず、シンプルなメニューを選択することをお勧めします。

昼ごはん&晩ごはんになりました