
少し前から気になっていた、ル・パン・コティディアン表参道店に行ってみた。ベルギー発のカフェ&ベーカリーだ。オーガニック素材にこだわりのあるお店で、味には定評がある。ちなみにル・パン・コティディアンという店名は、フランス語で “日々の糧” という意味だそうだ。

お店は表参道駅から2、3分歩いたところにある。店内に入るとすぐにベーカリーコーナーがあって、棚にはたくさんのパンたちがお行儀よく並んでいる。
今日はカフェの利用なので、筆者は席へと案内してもらう。


さすがはハイソな街、表参道。OL さんやビジネスマンのほか、外国人のお客さんも何組か来店していた。店内に流れるハキハキとしたクラシック音楽や、横文字で書かれたメニューボードともあいまって、すっかり外国気分。
ランチタイムだったので、美味しいと評判のキッシュを注文。スープとパンがセットになっていて、価格は1,480円だ。プラス324円で、コーヒーか紅茶を付けることもできる。

まずは、かぼちゃのスープが運ばれて来た。サラッとした口当たりで、かぼちゃの旨みと甘みがよく溶け込んでいる、優しい味だ。ボウルが深いので、かなり満足のいく量となっている。

そして、メインディッシュのキッシュがやって来た。夏の太陽を切り取って来たような、黄金色に輝く一片。プレートには、サラダとメロンが添えられている。

ナイフとフォークを使ってひとくち切ってみたが、正直、ナイフは必要ないほどの柔らかさ。ふわふわで、写真を撮ろうとするあいだにも、フォークをすり抜けて落ちてしまうほどだ。

キッシュの中には、マッシュルームやほうれん草がたっぷり。そしてまんべんなくチーズがとろけ広がっている。みずみずしくて、卵がジューシー。なのに、ふわふわ。こんなに口当たりの優しいキッシュは初めてだ。それに引きかえ、外側のパイ部分はサクサクと香ばしい。このギャップが何ともたまらない。
セットのパンは、オーガニック小麦のブレッドと、バゲットがひと切れずつ。おかわりもできるそうだ。店内中央のテーブルに並べられているジャムを、自由にトッピングしていいらしい。どちらも小麦の素朴な味で、キッシュともよく合う。

筆者はアプリコットとイチジクジャムを付けていただいた。特にイチジクはおすすめだ。天然のイチジクの味がしっかりするのと、種のプチプチとした食感が心地よい。ほかにも、チョコレート系のジャムやピーナッツバターなど10種類が用意されていた。

しっかり胃袋も心も満たされて、ふと見ると壁に「Don't panic we're organic!」の文字が。慌てないで、わたしたちオーガニックだから――だそうだ。そう、ここでは慌てることなんて何ひとつない。お手洗いが見当たらなくたって、落ち着いて店員さんに聞けば、外に出た先のところにちゃんとあることを優しく教えてくれる。
表参道という場所柄か、「Don't panic~」のおかげか、それともやっぱり食事が美味しかったからか、何だか背筋がシャンとしてきた。たまにはこういうところでプチ贅沢なランチもいいな、と改めて思った。