芋焼酎の本場、鹿児島県にある酒造会社「本坊酒造」から、とんでもない焼酎が販売されている。ハバネロが入った「薩摩の覇王 RAAA(ラー)」(酒税法上はスピリッツ)だ。鹿児島県の食品を集めた試食コーナーで見かけて気になり、試飲させてもらった。

とんでもない焼酎に出会ってしまった…!
とんでもない焼酎に出会ってしまった…!

RAAA は、タバスコの約10倍辛いと言われる唐辛子「ハバネロ」を、芋焼酎に約1か月漬け込んだもの。ハバネロの辛みや香りがたっぷりと染み込んでいるのだそう。


商品の注意事項には「想像を超える辛さですので、飲み過ぎにはくれぐれもご注意ください」とまで書いてある。と同時に、「原料こそ我が命!危険なのに安全を重視!」の文字も。

どうやら、使用している材料の安全性について伝えたいらしい。ハバネロの原産地はアマゾン周辺地域と言われているが、同商品に使われているハバネロは南九州産。契約農家から仕入れているという。芋焼酎にも、南薩摩産のさつま芋が使われているそうだ。

それにしても、一体どんな刺激が待っているのか。すでに試飲したという周囲の方に生ぬるく見守られながら、筆者も一口飲んでみた。

液体の色はほんの少し黄色く色づいている程度で、全く辛そうには見えないのだが…。飲むために顔を近づけると、唐辛子特有の香りがツンと鼻をつき、“激辛焼酎”を飲もうとしていることを思い出させる。

勇気を出して、ほんの少しなめてみると…たちまち舌にとんでもない刺激が訪れた!芋焼酎の香りはするものの、いつまでも辛さが残るのだ。さらに、アルコール度数が34度と一般的な焼酎より高いこともあり、まさしく喉が焼けるかのような感覚。生ぬるい視線を送りたくもなるのも頷ける。

34度だってよ
34度だってよ

これは飲み物ではない。調味料と言われても納得してしまいそうだ。だが不思議なことに、飲み始めると止まらなくなる。ハバネロをつまみに焼酎を飲んでいるかのような気分にもなるぞ。とは言え、20ml 程度でギブアップ。なかなか手強い一品である。

ちなみに本坊酒造は、明治5年(1872年)創業の歴史ある酒造会社。主力商品のひとつ「あらわざ桜島」が、世界的な権威あるコンペティション「インターナショナルワイン&スピリッツコンペティション(IWSC)2013」(英国ロンドンで開催)で金賞とトロフィーを受賞するなど、“辛くない”焼酎も製造している。

なぜ RAAA を作ったのか伺ってみると、「杜氏(作り手)の気まぐれでしょう」と一言。どうしてもハバネロを入れたかったのか、変わった焼酎が作りたかっただけなのか…。真相は分からなかった。

辛いものが大好物だという諸君、同酒造のオンラインショップで購入できるので、ぜひともチャレンジしてみてほしい。ただし、くれぐれも飲みすぎには注意するように。