目の前で職人さんが握ってくれると、寿司はもっと美味しく感じられるもの。しかし、そんな楽しみに水を差すような動きがカリフォルニア州で起きています。

素手を使ったらペナルティ?  (出典:change.org)
素手を使ったらペナルティ?
(出典:change.org)

米国メディア Los Angeles Times によると、カリフォルニア州は今年1月に新しい衛生基準を導入。飲食店の従業員が「“ready-to-eat-foods(すぐに食べられる食品)”を素手で触る」ことを禁止しました。これにより、寿司やパン、果物などを扱う際は、トングなどの道具や使い捨ての手袋を使用することが義務付けられたのです。


食品衛生の強化を目的とした規定ですが、困ってしまったのは寿司職人たち。ロサンゼルスで日本食レストランを営む Niki Nakayama さんは、手袋をつけて寿司を握ることは困難と指摘。「手袋にシャリが付着するし、手の感覚が失われて適切な力で握ることができず、味を損なう」と懸念を示しています。

ビニール手袋で寿司を握るなんて...  (出典:Food Safety News)
ビニール手袋で寿司を握るなんて...
(出典:Food Safety News)

寿司の愛好家たちも黙っていません。彼らは署名運動専用の Web サイト「change.org」で、反対キャンペーンを展開。「伝統的な方法により素手で握られた寿司は、ビニール手袋を使用するよりも衛生的である」として、規定の廃止を訴えています。

そのほかにも、「従業員が手を洗わなくなる」「使い捨ての手袋は環境に悪い」「病院にいるような気分になりそう」など、様々な声が寄せられている同規定。飲食業界からの猛反発を受けた行政側はついに、規定内容の見直しを発表しています。

同規定は今年6月まで“試用段階”とされており、まだ罰則は適用されないとのこと。7月以降の本格的な実施に向けて、関係者の間で調整が続きそうです。