2013年12月、東京・広尾に、最高のフレンチフライを追求し、厳選した芋をこだわりの製法とスタイルで提供するお店「AND THE FRIET(アンド・ザ・フリット)」がオープンした。ちなみに「FRIET」というのは、フレンチフライ発祥の地・ベルギーの言葉で「フレンチフライ」の意味だそう。

要するにフライドポテト専門店なのだが、今回は敬意を込めて “フレンチフライ” と呼ばせていただく。なぜなら、筆者は感動しているのだ。どこで食べても同じだと思っていたフライドポテト、もとい、フレンチフライに、こんなにも種類や味の違いがあっただなんて...!


フレンチフライに謝りたい
フレンチフライに謝りたい

ということで今回は、どれも一緒だと思っていたフレンチフライへの見方が180度ガラッと変わってしまった筆者の経験と、その実録をお届けする。

■「AND THE FRIET(アンド・ザ・フリット)」は、広尾商店街にある

「AND THE FRIET」は、広尾駅から徒歩約5分、広尾商店街の一角にある。

外国みたいなオシャレな看板
外国みたいなオシャレな看板

そもそもフレンチフライって、専門店ができるほど種類なんてあるの?と半信半疑のまま、午後2時45分頃お店に到着。すると、そこにはすでに長い行列が!オープンから1か月経ってもこの人気ぶり。ジワジワと期待値が高まる。

お店の中だけではおさまらず、店外にも続く行列
お店の中だけではおさまらず、店外にも続く行列

店内は小スペースのため、外に並んで待つ。凍てつく冬の午後、手足もかじかんできた。が、店外にまであふれ出すフレンチフライの香りが、筆者を胃袋ごと掴んで離さない。この試練の先には、きっと並んででも食べたい芋たちが待っているに違いない。

待つこと20分、ついに中へと案内された!暖かい店内には、その場でイートインできるスペースもあるのだが、おそらく4~5人が限度。テイクアウトが主流のようだ。

あの奥でイートインできるらしい
あの奥でイートインできるらしい

 
ここからさらに10分ほど待ち、ようやく筆者の番へ。

■お好みの組み合わせでフレンチフライを注文

外よりもさらに濃厚な香りに胃袋を刺激されながら、カウンターで注文する。まずは FRIET(単品)か、ボックス(セット)を選択。今回筆者は FRIET で、サイズはレギュラー(500円~)をチョイスした。ちなみにラージサイズは600円~だ。

あと少し...ゴールまであと少しだ...
あと少し...ゴールまであと少しだ...

続いて、いよいよフレンチフライを選ぶ。メニューは全部で12種類。6種の芋の中から好きな品種を、さらに好きなカット方法も選ぶことができる。フレンチフライだけで、こんなに種類があるなんて...!が、悲しいことに今日はすでに8種類のメニューが完売とのこと。ガーン... ならば、今あるやつ全部ください!ということで、「ビンチェ(ストレート 7mm カット)」「ビンチェ(カントリーカット)」「北海こがね(ストレート 12mm カット)」「マチルダ(ハーフカット)」の4種を注文した。

今あるやつを全部くれ!
今あるやつを全部くれ!

最後に、塩あり・なしと、ポテトに付けるディップソースを選ぶ。筆者はすべて塩あり(プレーンソルト)で、ディップソースには「自家製マヨネーズ」「特製トマトケチャップ」「ハラペーニョ サルサ」「ハニーマスタード マヨネーズ(期間限定)」の4種を注文した。

店員さんのオススメは、マヨネーズとトマトケチャップ
店員さんのオススメは、マヨネーズとトマトケチャップ

会計が済むと番号札が渡され、ポテトが揚がるまでしばし待つ。その間、喉が渇いたためカウンター横にあるケトルに手を伸ばした。すると、紙コップに注がれたその液体はなんと水ではなくショウガ湯!冷えた身体もほっこり温まる、さりげない心遣いを感じた。

黄金色に輝くこの液体は、まさかのショウガ湯
黄金色に輝くこの液体は、まさかのショウガ湯

「4番でお待ちのお客様ー!」

そしてついに、筆者はフレンチフライ4種を手に入れた!総待ち時間は30分、空腹ももう限界だ。それではさっそく、揚げたてサクサクを食べてみることにしよう。

袋がシュール
袋がシュール

■食べてみた

袋を開けると、中から幸せの香りがふわり。全ての FRIET に、お口直しのピクルスが添えられている。

まずは、ベルギー産の品種「ビンチェ(ストレート 7mm カット)」を食べてみる。見た目は、ファストフード店などで食べるフライドポテトと同じだ。

ピクルスが彩りのアクセントに
ピクルスが彩りのアクセントに

 
その味は、まさにザ・フライドポテト!程よい塩味がきいていて、最高だ。冷めてもカリッとしたままなので、最後までおいしく食べられる。遠方から来る人のテイクアウト用にもオススメだ。

続いて、同じ品種でカット方法が違う「ビンチェ(カントリーカット)」を試食。コロっと丸みを帯びた形がかわいらしい。

ホクホク感、伝わるでしょうか?
ホクホク感、伝わるでしょうか?

これ、筆者的に今回の MVP(Most Valuable Potato)!外側は香ばしくカリッとしていて、中はとろ~り。舌触りもなめらかだ。ストレート 7mm カットとは、食感が全然違う。また、サッパリとした味の芋なので、どのソースとも良く合う。

次に、国産の季節限定芋「北海こがね(ストレート 12mm カット)」を食べてみる。フレンチフライ用に開発されたというこの品種、いったいどんな味がするのだろうか?

超自然派なビジュアル
超自然派なビジュアル

これは...甘いっ!甘いぞ!!芋の甘さが強く感じられる!きめ細かい繊維に、ぎゅっと詰まったじゃがいものうまみ。冬の野菜は糖度が高く甘いといわれているが、北の大地で力強く育ったこの芋も、寒さのおかげで甘みが増したのだろうか。

最後に、小じゃがいも「マチルダ(ハーフカット)」を食べてみる。

皮付きのまま揚げられる「マチルダ」
皮付きのまま揚げられる「マチルダ」

4種の中で、一番じゃがいもらしい味がする「マチルダ」。舌触りはねっとりしていて、粒も粗めだ。食べごたえのある、ホクホクのじゃがいも感を楽しみたい人にはぴったりのメニューだろう。

■ディップソースを甘く見るな

「AND THE FRIET」のメインメニューはもちろんフレンチフライだが、ディップソースも主役級の役割を果たしている。

左上から、マヨネーズ、トマトケチャップ、サルサ、ハニーマスタード
左上から、マヨネーズ、トマトケチャップ、サルサ、ハニーマスタード

まず、店員さんもオススメしていた「自家製マヨネーズ」。酸味とまろやかさのバランスがちょうどよく、コショウのアクセントもたまらない。マヨネーズというよりは、フレンチドレッシングのような味わい。どの芋にも合う万能ソースだ。

「特製トマトケチャップ」は、トマトをそのまますり潰して作ったような、もったりとしたピューレのようなソース。いわゆる「ケチャップ」とは違い、トマト感がすごい。香辛料で、風味にアクセントが加えられている。

見よ、この重厚感!
見よ、この重厚感!

「ハラペーニョ サルサ」は、具だくさんのピリ辛ソース。辛さはそれほど強くなく、安心して食べられる。ハラペーニョがゴロゴロ入っているので、断面が大きいハーフカット系のフレンチフライにのせて食べると良いかもしれない。

ホクホク芋と、ピリ辛ソースが相性バツグン!
ホクホク芋と、ピリ辛ソースが相性バツグン!

期間限定のソース「ハニーマスタード マヨネーズ」は、甘みと酸味のバランスが絶妙。マスタードがピリッときいて、爽やかな後味が残るので、飽きずにいくらでもフレンチフライが食べられそうだ。

■フレンチフライ革命が起こった

最初は半信半疑だった筆者も、こうして食べ比べてみると、本当に味の違いがわかった。芋の品種によってはもちろん、カットの仕方が違うだけでも、舌触りや味わいは全くといっていいほど変わってくる。これぞまさに、フレンチフライ革命や!!

しかし今回筆者が実食したのは、ほんの4種。まだまだ革命の序章にすぎない。えん食べ編集部によるフレンチフライのあくなき追求は、これからも続いていく。

革命的フレンチフライを
革命的フレンチフライを


召し上がれ!
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