バッタネズミにとって“サソリの毒”は「鎮痛剤」であることがわかりました。米ミシガン州大学の研究チームがその研究結果を公開しています。また同大学のホームページには、バッタネズミが果敢にサソリを追い詰めむしゃむしゃと食べる動画が掲載されています。

むしゃむしゃとサソリを食べるバッタネズミ
むしゃむしゃとサソリを食べるバッタネズミ

バッタネズミとは、アメリカやメキシコに生息する食虫ネズミ。米ミシガン州大学の助教授 Ashlee Rowe 氏率いる研究チームは、サソリ毒がバッタネズミにとってどのように作用するのか実験を行いました。


まず研究チームは、バッタネズミがサソリ毒に対して痛みを感じるかどうかを調べました。ネズミに少量のサソリ毒と無毒の生理食塩水をそれぞれ注射し、その反応を観察。すると驚いたことに、ネズミはサソリ毒よりも生理食塩水に対してより痛みを感じる反応を示すことがわかったのです。

次に研究チームは、バッタネズミの神経細胞とナトリウムチャネルに対し、サソリ毒がどのように作用するかを調べました。その結果、サソリ毒はネズミの痛み関連細胞の中にあるナトリウムチャネルと結合することで「鎮痛剤」として作用し、神経細胞が脳に“痛い”という信号を送るのをブロックすることを発見したのだそうです。

ちなみにこの研究チーム、実験のために砂漠へと繰り出し、自らバッタネズミとサソリを採集して来たのだとか。何という情熱...! Rowe 氏は、この研究が将来人間に処方する鎮痛剤の発展に貢献できるとし、引き続きナトリウムチャネルに関する実験を継続していくようです。

同大学のホームページには、毒針を刺そうと必死にもがくサソリをバッタネズミが取り押さえ、むしゃむしゃと食べ始める動画が掲載されています。食事をしているバッタネズミの姿は可愛らしいので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。季節は食欲の秋、ですね!


猛毒のサソリも、バッタネズミにとっては美味しい食事