
Unger さんは Farm 432 を開発した動機を次のように述べている。
「Farm 432 は、自分の手でタンパク源となる昆虫を養殖することで、機能不全に陥っている現在の食肉生産システムに背を向けることを可能にする新しいシステムだ」
Unger さんは「ブラックソルジャー」というハエの幼虫(ウジ虫)を養殖して観察。その分析結果をもとに、ブラックソルジャーが卵から孵化して成虫になるまでの成長過程を家庭内で再現できる養殖キット「Farm 432」を開発したという。
「私はウジ虫を購入し、ハエのコロニーを作り、プロセスが機能するかを検証した。ウジ虫がサナギとなり、そこからハエが現れ、交尾し、卵を生む様子を観察するのは、とてもエキサイティングだった」
Farm 432 では、ウジ虫は装置上部の小部屋に入れられる。ウジ虫は成虫(ハエ)となり、下の主室に移動。交配し、卵を産む。卵から孵った幼虫は、「子どもの遊び場」エリアで成長し、「収穫箱」で捕獲される。この捕獲したウジ虫を、食用に利用するという仕組みだ。



捕獲されたウジ虫のいくつかを、装置上部の小部屋に入れれば、養殖プロセスを繰り返すことが可能となる。
ところで Unger さんは、なぜ養殖対象にブラックソルジャーを選択したのだろうか?
ブラックソルジャーの成虫には口がない。幼虫は、成虫してから必要となる活動エネルギーとして、体内に大量のタンパク質を貯め込んでいる。Unger さんは次のように説明してる。
「ブラックソルジャーの幼虫は、もっとも効果的よくタンパク質を生み出すことができる昆虫の1つだ。幼虫は最大で42%のタンパク質、多くのカルシウム、そしてアミノ酸を含んでいる」
ブラックソルジャーの卵1グラムが孵化して幼虫になれば、およそ2.4キログラムのタンパク質となる。Unger さんは Farm 432 が普及すれば、世界中の家庭で、一週間に500グラムの幼虫が生産できるようになると期待している。これは、およそ成人2回分の食事に相当する。
ところで、ウジ虫はどのような味がするのだろうか?
「私が養殖したウジ虫は、独特の味がした。調理中には、ジャガイモのような匂いがする。食感は、外は固く、中は柔らかい。味は木の実のようだが、少しだけ肉の味がした」
Unger さんオススメのウジ虫料理は、ウジ虫を使ったトマトリゾットだそうだ。
「パセリとバジルを載せれば、完璧な食事になる」

Farm 432 のシステム