イチハラヒロコさんとコラボの「お告げぷっちょ」

サエコ:現代美術作家のイチハラヒロコさんって知ってる?

紺崎:胸に刺さる言葉が書かれた“イチハラヒロコ恋みくじ”が有名ですよね


イチハラヒロコ恋みくじ
布忍神社にて

サエコ:そう!イチハラヒロコさんとぷっちょがコラボした『お告げぷっちょ』を見つけたんだ。個包装にことばアートが書かれているんだって

イチハラヒロコさんとコラボの「お告げぷっちょ」

紺崎:最近悩みも多いですし、おみくじ感覚でひいてみましょうか

イチハラヒロコさんとコラボの「お告げぷっちょ」

サエコ:じゃあ私は今後の恋愛について……

「幸せは目の前。」

イチハラヒロコさんとコラボの「お告げぷっちょ」

サエコ:泣いた。最近凹むこともあったけど、幸せは目の前まで来ていたのね

紺崎:強く生きてください。では私も同じく恋愛で……

「枯渇。」

イチハラヒロコさんとコラボの「お告げぷっちょ」

サエコ:もしかしてこれレアの個包装じゃない?

紺崎:一発目からレアをひく強運があるのに枯渇かよ

サエコ:もう一回引いてみて

「控除。」

イチハラヒロコさんとコラボの「お告げぷっちょ」

紺崎:もはや笑うしかない。なんか楽しくなってきたので今後の恋愛とかどうでもいいです

サエコ:そう言わずぷっちょ食べて元気を出して。甘酸っぱいみかん味だよ

イチハラヒロコさんとコラボの「お告げぷっちょ」

紺崎:中にオレンジ色のグミが入っているんですね。このつぶつぶ食感好きなんです

サエコ:食べながら他のことばアートも見てみようよ

紺崎「ふたりとも好き。」……これはあれですね、青春漫画なんかでよくあるやつですね

サエコ:お、またなんか始まったぞ

紺崎:サッカー部の裕人とバトミントン部の詩織は、高校三年間ずっと同じクラス。男女混合グループで遊びに行くことはあれど、ふたりきりで会う機会は少なく、お互いほのかな恋心を抱きながらも肝心の一歩を踏み出せずにいたんです。今の関係を壊すのが怖くて

サエコ:裕人と詩織、どこから出てきた?

紺崎:そんなある日、高校生活最後の文化祭実行委員に偶然ふたりが選ばれてしまいます。「受験も近いのに、大変だね」「最後の文化祭だし、せっかくならいい思い出にしようぜ!」なんて言いながら、放課後も残って作業するわけですよ。『こうして一緒に過ごせるのも、今年で最後なんだな』と、切ない気持ちを静かに噛みしめつつ

サエコ:“文化祭実行委員”って単語が既にエモい……

学校の誰もいない教室

紺崎:誰もいない教室、ふたりきりでの作業中。自然と恋バナの流れになって、詩織が裕人に尋ねるわけです、「好きな人、いるの?」。頷く裕人。「詩織は?」聞き返されて、少し悩んでから「いるよ。でも告白する勇気はない。だってその人は、きっと私のこと“友達”だと思ってるから」裕人の目を真っすぐ見つめながら答える詩織

サエコ:うんうん

紺崎:「……そっか」、黙る裕人。ふたりの間に流れる気まずい空気。(やっぱり言わなきゃよかった。卒業まで隠しておけばよかったんだ)、詩織は滲む視界をごまかしつつ手元の作業に集中します。で、作業が終わって、そろそろ帰ろうかと教室を出て無言で昇降口へ向かう途中、裕人が言うわけです

サエコ:なんて?

紺崎:「けどさ……、そう思ってるのは自分だけで、案外“そいつ”も同じ気持ちかもよ」と。「えっ」、立ち止まる詩織。数歩先を行く裕人が振り返ると同時に投げてきた、小さなピンクの包み。慌ててキャッチした掌をそっと開くと、投げられた『ぷっちょ』には「ふたりとも好き。」の文字

イチハラヒロコさんとコラボの「お告げぷっちょ」

サエコ:ゆ、裕人~~!!!!!

紺崎:勢いよく顔をあげた詩織に、「文化祭が終わったら、ちゃんと言うから。俺の方からさ」と微笑む裕人。手の中の『ぷっちょ』を握りしめて笑顔で頷く詩織。以上、脳内BGMは「flumpool」の『君に届け』でした

サエコ:想像以上の超大作来た

紺崎:昨年の「カルピス夏限定パッケージ」以来の妄想なので、張り切りすぎてしまいました

カルピス夏限定の100周年スペシャルパッケージ

サエコ「できることは山ほどある。」、これはどんなストーリー?

紺崎:幼い頃から画家になるのが夢だった凪。「絵だけじゃ食べていけないじゃない」と親は嘆き、「趣味じゃダメなのか?」教師は肩をすくめます。それらを振り切って進んだ美大で出会う、数々の“才能”。幼少期はただ絵を描けるだけで幸せだったはずが、世界が広がるとともに“自身の限界”が見えてきます

サエコ:それ一番キツイやつ

混ざった絵具と筆

紺崎:描いても描いても、納得のいくものが出来上がらない。「これじゃ駄目だ」、「もっと“いい作品”にしないと」、「やっぱり私には無理なんだ」。次第に自分が何を描きたかったかも分からなくなってしまう。「全部諦めて、田舎へ帰ろうか」。真っ白なまま放置されたキャンバスを前にぼんやり考えていると、ふと外から子どもの笑い声が聞こえてきます

サエコ:やけにリアルだな

紺崎:窓から下を覗くと、チョークで道路に落書きをする子どもたちの姿が。猫に鉄道、怪獣、お花。はしゃぎながら、自由にチョークを走らせる彼らを眺めているうちに、楽しかった当時の感覚が凪の中によみがえってきます。誰の目も気にならなかった、ただ描けるだけで楽しかったあの頃の記憶が

サエコ:大人になると楽しい気持ち忘れちゃうんだよね

紺崎:テーブルに投げられていた筆を掴む凪。真っ白なキャンバスを睨みつけ、勢いよく最初のひと筆を滑らせます。夢中になって描き続ける凪の足元には「できることは山ほどある。」と描かれた『ぷっちょ』が。以上、脳内BGMは「サンボマスター」の『できっこないをやらなくちゃ』です。

イチハラヒロコさんとコラボの「お告げぷっちょ」

サエコ「そこそこええ人生ですやん。」、これは?

紺崎:夢を持って就職したはいいものの、配属先は希望と別の部署。慣れない仕事。気難しい上司。どんどん先を行く同僚。まるで、頑張れば頑張るほど空回りするようで。「俺って、この仕事向いてないのかなぁ」、コンビニで買った缶コーヒーとサンドイッチをつまみながら、ベンチでぼやく新社会人のタケル

ベンチに座るサラリーマン

サエコ:多くの新社会人が通る道だ

紺崎:時折、脳裏にちらつく「転職」の二文字に見えないふりをしつつ、がむしゃらに働く日々。そんなある日、担当の案件で予期せぬアクシデントが起こります。懸命にフォローし、なんとか事なきを得たところで、取引先に言われるわけです。「きみが担当で本当に良かった。これからもよろしく」と。湧き上がる感情をグッと抑え込み、タケルは握られた右手に力をこめます

サエコ:タケル頑張ったな

紺崎:一仕事終えて、いつものベンチで先ほどの言葉を反芻していると、ふらりとやって来て隣に腰かける上司。缶コーヒーをタケルに渡し、「な、悪くないだろ」煙草に火をつけます。受け取ったコーヒー片手に、タケルが煙草の代わりにポケットから取り出した『ぷっちょ』には「そこそこええ人生ですやん。」の一言。「そうかもしれないっすね」答え、タケルは口に『ぷっちょ』を放り込みます。ちなみに脳内BGMは「ウルフルズ」カバーの『明日があるさ』です

イチハラヒロコさんとコラボの「お告げぷっちょ」

サエコ:こうやって“かっこいい大人”になっていくのね。いや~、心に染みたわ

紺崎:勝手に妄想してしまいましたが、人や悩みの数だけ受け取り方があると思います

サエコ:出てきたことばに一人でじっくり向き合うもよし、友達とわいわい語り合うもよし

紺崎:個包装は30種類+レア入りなので様々なことばと出会えそうですね

イチハラヒロコさんとコラボの「お告げぷっちょ」

サエコ:最後にもう1個だけひいていい?今後のえん食べについて……

「できることは山ほどある。」

イチハラヒロコさんとコラボの「お告げぷっちょ」

紺崎:確かに。これからも楽しい記事をたくさん書いていきましょう!

サエコ:読者のみなさま、今後ともよろしくお願いいたします