宮沢賢治「注文の多い料理店」の「WILDCAT HOUSE 山猫軒」
宮沢賢治の童話「注文の多い料理店」にちなんだレストラン「WILDCAT HOUSE 山猫軒(以下、山猫軒)」が、岩手県花巻市にあります。賢治ファンはもちろん、そうでなくてもお話を知っていれば胸が熱くなってしまうようなギミックが、そこかしこに仕掛けられているんです!ここから先は童話のネタバレにもなりますので、読みたくない方はすっ飛ばしてくださいね。
WILDCAT HOUSE 山猫軒
一見、教会のような外観。入り口には「どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません」の看板が。おや、どこかで見聞きしたような台詞。お腹を空かせて足を踏み入れるとまずはお土産ショップがあり、さらに奥へ進むとレストランとなっています。何かあってもすぐ逃げられない3枚ドア仕様。入り口には「注文はずいぶん多いでせうが、どうか一々こらへてください」の文字が。
ふと横を見ると、壺に入ったクリームや塩、香水がテーブルに置いてありました。これを体に塗ったりもみ込んだりするみたいです(お好みで)。
「山猫すいとんセット」と「どんぐりと山猫ランチ」
上着と帽子を取って席に着くと、ご当地食材を使ったおいしそうなメニューが目に飛び込んできました。「イーハトーブ定食」「岩手県産豚ロース定食」「山猫ぞうすい」…などなど豊富なラインナップ。今回は人気だという「山猫すいとんセット」(1,200円)と、数量限定の「どんぐりと山猫ランチ」(1,200円、11/8までの平日限定)を注文しました。山猫すいとんセットは、お店の手づくりすいとんと特製味噌を使った焼きおにぎり、サラダ、漬け物のセット。
お椀の中はしめじ、まいたけなどのキノコやたけのこ、ねぎ、ごぼうなど野菜がたっぷり。すいとんはつるっとなめらかで歯切れよく、噛むほどに小麦のゆたかな香りが鼻をくぐり抜けます。だしのきいたお汁は上品ですがしっかりと濃いめの味つけで、ふるさと花巻の味が胃袋に沁み渡ります。
焼きおにぎりは味噌が香ばしく風味豊かで、ほどよい塩味とうまみが最高!
一方、どんぐりと山猫ランチは、宮沢賢治の童話「どんぐりと山猫」をお膳で再現したかのようなランチセット。白金豚のソテー、きのこのグラタン、どんぐりに見立てた雑穀の味噌焼きおにぎり、そして黒猫カップに入ったデザートとフルーツが付いてきます。
白金豚のソテーはしっとりやわらかくジューシーで、脂の甘みあふれる味わい。海苔が香ばしいどんぐり焼きおにぎりと交互にほおばるのが幸せです。
プリンかと思ったカップデザートはオレンジのムースでした。中にとろりとオレンジソースが入っています。甘ずっぱくてみずみずしくておいしい!帽子風クッキーもサクサク香ばしく、口どけもよくて美味です。
最後はフルーツでさっぱりと締め。スイカと皮ごといけるぶどうでした。
山猫軒は、宮沢賢治記念館の駐車場内にあります。お店を出るとちょうど向かいに記念館が見えますので、お腹を満たしてから足を運ぶもよし、記念館で賢治の世界観に浸ってから山猫軒を訪れるもよし。
ただ、食べ終えて膨れたお腹をさすっていると「これから山猫に食べられるのかな?」という気持ちが湧きあがるので、念のため先に記念館を見ておくと安心かもしれません。(なにが?)
住所:岩手県花巻市矢沢3-161-33