ひさしぶりに直球ストレートなB級グルメとの出会いがあった。東京・目黒の「駒八 目黒さんまセンター」でときどきランチに注文できる「さんまスパ」はスパゲッティにさんまフライを載せ、デミグラスソースをかけた一品。なぜかご飯と小鉢までついてくるのだ。
駒八 目黒さんまセンターは和食居酒屋だが、立地にちなんで、さんま料理を大きく打ち出している。定番の塩焼きから刺身、なめろうなど多種多様だが、その中でもやや異彩を放つのが「さんまスパ」だ。日替わりランチの献立の1つとして時たま登場する。
そもそも和食居酒屋でパスタとは不思議だが、ちゃんとご飯や小鉢つきで定食として仕上がっている。炭水化物の主菜に米を添えるという発想がもう、好きだ。
B級グルメのすばらしさの1つは、普段の固定観念から自由になれるところ。スパゲッティの上に大きなさんまフライがのっかっている姿を見ているだけで、にやにや、わくわくしてしまう。
さんまスパのスパゲッティは、いわゆるアルデンテよりはやわらかめ。麺も太くゆで上がっていて若干もちっとしている。昔かたぎの喫茶店のよう。皮のパリパリしたさんまフライとともに口に入れるとなかなか食感が良い。
どっさりかかったデミグラスソースとも合う。ソースはパスタとあえてもいいし、フライの味つけとしてたっぷりつけてもいい。量は十分にある。
ちなみにフライは噛むと、さんまの脂がじゅわっと出てくる。「すっきり」や「あっさり」といった言葉と無縁だが、青魚の香りがむんむんして、やみくもにもっともっと食べたくなってくる。
大皿に載ったフライとパスタを食べ終わるころには、お腹はすっかり満腹になっている。だがまだ終わりではない。次はご飯と小鉢の番だ。漬け物、和え物、冷奴はそれぞれおかずとしての量は十分。白米一椀を平らげるおかずとしては申し分ない。
すべてを腹に収めるころには、さすがに頭がぼうっとしてくるが、食後にはドリンクがもらえて一息つける。アイスコーヒーを飲みながらしばし休息。この体験から、うまくすると有名な落語「目黒のさんま」の新バージョンが作れるかもしれないな、とぼんやり考えるのだった。
駒八 目黒さんまセンター
東京都品川区上大崎2-13-35 KIビル2F
住所:東京都品川区上大崎2-13-35