世界3位のステーキを味わう
世界3位のステーキを味わう

10月、“世界で一番おいしいステーキ”を探す旅を描いたドキュメンタリー映画「ステーキレボリューション」が公開されました。監督のフランク・リビエラ氏が、パリ一番の精肉店の店主・ブルドネック氏とともに、2年かけて20か国を訪問。有名店から無名店まで200以上のステーキレストランを食べ歩いた記録です。

作中では、監督がおいしいと思った牛肉トップ10が紹介されており、日本の「築地さとう」が3位に選ばれました。これを記念し、築地店(東京都中央区)では“前菜からデザートまで牛肉づくし”の特別コース「レボリューションコース」が提供されています。

世界のあらゆる牛肉を知るブルドネック氏をもって「これは別格」とうならせたステーキとは。えん食べ編集部は、このスペシャルなメニューを実際に食べてきました。間違いなく、筆者史上最高のステーキでした。

■風格ある肉にほれぼれ

築地さとうは、但馬牛の血統を飼育した国産の銘柄黒毛和牛(雌牛)を、その道のプロであるオーナーが質を見極め、買い付けています。今回のコースのメイン「最優秀ロースステーキ」は、三重県は松阪にある契約指定農家から仕入れた、月齢36か月以上の処女牛です。これを1~3か月ねかせて旨みを引き出しているのだとか。

オーナー自らが持ってきてくれた肉を見てみると、きれいな白色のサシが入り、表面はなめらか。素人目にもいい肉なんだろうと思わせる風格が漂っています。これを後ほど、映画でも紹介された江原シェフが目の前で焼いてくれるそうです。楽しみ!

オーナーが直接、肉の説明をしてくれました
オーナーが直接、肉の説明をしてくれました

なでると脂がサラリと溶けるそうです
なでると脂がサラリと溶けるそうです

■香りがごちそう

コースは全5品で構成されています。

前菜は「牛もも肉のローストビーフ雲丹巻レフォールのソースで」「牛すね肉と牛すじの香草ジュレ寄せ」「牛とうがらし肉の赤ワイン煮クロケット仕立て」の盛りあわせ。なかでも、個性の強いウニが、不思議なことに肉のうまみと絶妙にマッチするローストビーフのウニ巻には驚きました。続く「牛ミスジ肉の冷製ポトフとゆとり米のサラダ仕立て」。リゾットの上に蒸したミスジ肉をのせてあります。サラサラのリゾットに入ったトウガラシなどが、シャキシャキと食感のアクセントになっています。

もちろん前菜からすべて肉!
もちろん前菜からすべて肉!

肉もコンソメで蒸しているそうです
肉もコンソメで蒸しているそうです

さあ、いよいよメインのステーキの番。静かに登場した江原シェフが黙々と作業をこなしていきます。カボチャとマッシュルームを手際よく焼いたら、先ほど見せてもらった肉を鉄板の上へ。のせた途端に鳴るジューという音(鉄板焼きの醍醐味ですよね!)、煙もすべて吸い込みたくなるような香り。極上の時間です。

カボチャを並べ、
カボチャを並べ、

恐ろしく器用にマッシュルームをカットし、
恐ろしく器用にマッシュルームをカットし、

牛肉をどーん!
牛肉をどーん!

目も耳も鼻も幸せ
目も耳も鼻も幸せ

片面を焼いたらフタをしてしばらく置き、ひっくり返して焦げ目をつけて。端の脂身を落とし、鮮やかな手つきで肉を一口大にカットしていきます。取り分けてくれた肉の何と綺麗なこと! 表面はこんがりといい焼き色。内部は適度に溶けた脂と相まって、濃いピンク色にツヤツヤと輝いています。

すすっと切って(ものすごく速い)、
すすっと切って(ものすごく速い)、

目の前のお皿へ
目の前のお皿へ

「言葉にならない」ってこのことか!
「言葉にならない」ってこのことか!

付け合わせは、岩塩、黒コショウ、フルーツベースの甘めのたれ、野菜ベースのさっぱりしたたれ、しょうゆと酒をあわせたたれ、そして薬味が用意されています。「一口目は塩で」とのシェフの言葉通り、ちょちょいと塩をつけていただきます。

ひとたび噛んだその瞬間、口の中に広がる甘い香り。絶妙な柔らかさで歯切れがよく、舌の上でするっと溶けた脂がのどをサラリと流れていきます。繊細な旨みと甘みが織り成す絶妙なバランス。とにかく「おいしい」の一言に尽きます。恐らく、この口の中で感じた幸福を、一生忘れることはないでしょう。食べきるのがもったいなくて涙が出そうでした。まあ、温かいうちにおいしくいただきましたけれども!

この幸せな香り、思い出すだけでお酒を飲める…
この幸せな香り、思い出すだけでお酒を飲める…

■デザートも牛肉です

ステーキを堪能した後は、シメのご飯ものとデザートを。

牛茶漬は、特製しょうゆにくぐらせた牛もも肉のたたきをご飯にのせ、湯気の立つカツオだしをかけていただきます。薬味とカツオだしでさっぱりいただくお茶漬け、ほっと安心する味です。

だしをつーっとかけて
だしをつーっとかけて

デザートは「牛もも肉のキャラメリゼ・カルダモンのアイスクリーム添え」か「生姜のブランマンジェ・グレープフルーツのソルベ添え」から選べます。迷ったらぜひ前者をお試しあれ。なんてったって、牛肉をデザートに仕立てたメニューだからです。

右側のチョコみたいなやつ、牛肉なんだって
右側のチョコみたいなやつ、牛肉なんだって

見た目は薄いチョコレートプレートみたい。でも、食べると確かに牛肉の味。牛もも肉にカルダモン、ナッツ、プラリネをまとわせ、キャラメルでコーティングしてあるのだとか。カルダモンが香るちょっぴりスパイシーなアイスと一緒に食べると、不思議なおいしさが広がります。

もう一方のデザートは、ショウガ感たっぷりのブランマンジェと爽やかなグレープフルーツのソルベが、さっぱりと口の中を流してくれます。しっかりとショウガが効いているので、ショウガ好きにはオススメです。

さっぱり派にはこちらがオススメ
さっぱり派にはこちらがオススメ

提供は、11月11日まで。1日8名限定(2名から注文可能)です。2万1,600円(税込、サービス料別)と少し高めですが、それだけの満足感は与えてくれるはず。確実に食べたい方はお店への電話予約をお忘れなく。

ところ変われば牛変わる

ステーキレボリューションでは、ただレストランでステーキを食べるだけでなく、各国の精肉店や生産者の元にも訪れています。(各国の牧場と牛がたくさんでてきて、動く牛図鑑を観ているよううな気分でした。)なぜこのステーキはおいしいのか、どうやってこの肉がつくられたのか。そこには気候だったり牛の品種だったり料理の文化だったり、さまざまな事情が関係しています。一口に牛肉、ステーキといっても、これだけ違うものなのかと驚きました。

この映画を見るときっとステーキが食べたくなるはず!なのですが、どんなお店へ行くか迷ってしまうかも。NY発「BLT STEAK」など、各国のスタイルで楽しめるレストランが日本には多くあります。内容をじっくりとかみしめながら食べ歩いてみるのもアリかもしれません。もっとも、筆者の懐具合では、そう何軒も行けないのが悲しいところです。