2015年、かまぼこは900周年を迎えた。盛大に祝ってもいいはずだ。しかし全国かまぼこ連合は、“祝ってる場合じゃない”とKAMABOKO ROAD TO 1000なるWEBサイトを公開した。

いやいや、ちゃんと祝おうよ。900年だろう!?
いやいや、ちゃんと祝おうよ。900年だろう!?

かまぼこの起源についてははっきりと分かっていないが、初めて文献に登場したのは1115年(永久3年)。平安時代の書に宴席料理として「蒲鉾」が紹介されている。それから900年。おめでたい席での食べ物などとして家庭でも親しまれてきたが、食生活の変化などから、かまぼこを含む水産ねり製品の消費量は年々減少している。1000周年を迎えるときに無くなってしまっていては意味がない――。そんな危機感から、「祝ってる場合じゃない」とこのキャンペーンを実施するに至ったそうだ。

右下あたりに「蒲鉾」の文字が見える  (『類聚雑要抄』より)
右下あたりに「蒲鉾」の文字が見える
(『類聚雑要抄』より)

KAMABOKO ROAD TO 1000のトップ画面では、100年後、つまり1000周年を迎えるときのかまぼこをイメージしたアニメーションを、LUMINEの映像を手がけて話題となったアーティスト、シシヤマザキさんが製作した。コンテンツのひとつ「かまぼこは地球を救う」のトップに相当するアニメーションでは、SFの世界よろしく近未来的な街を颯爽とかまぼこが走り抜けるさまが描かれており、なんだかかまぼこが格好よく見える。

なんだか格好いい
なんだか格好いい

展開されているコンテンツにも工夫をこらしてある。それぞれが、100年後のかまぼこを見据えた“目標”に基づいているのだ。

例えば「100年後、かまぼこ職人はハリウッドスターより人気になります。」では、かまぼこ職人がさまざまな“ねりもの”を仕上げるようすを動画で紹介している。鮮やかな手つきで板付きかまぼこを成型するようす、2色の生地をヘラだけで「なると」にするようす。なぜか12分割された画面により、くるくる動く手元だけや、淡々と解説する職人さんの顔だけ、背後の微動だにしない機械と壁だけなど(たまに職人さんが通り過ぎる)、それぞれの映像をじっくりと見られる。もちろん一斉再生するとひとつの動画のように見えるのだが、どうしてもちょっとしたタイムラグができてしまい、わずかずつずれるのだ。それもまた面白い。

さらに、同サイトでは、文献を参考に900年前のレシピを再現して作った“最古のかまぼこ”を数量限定で販売している。魚肉に塩を加えて練り、蒸してから焼くだけ。きりたんぽのように串に刺されたそれは、現代のように“くさみ抜き”がされておらず、“野暮ったい味”だったらしい。おいしいかどうかはともかく、どのような味がするのか気になる。きっと我々が知るかまぼことは違う食べ物なのだろう。

真ん中が「再現蒲鉾」。左は古代風ちくわ、右は同焼き板
真ん中が「再現蒲鉾」。左は古代風ちくわ、右は同焼き板

そういえば筆者自身も、めっきりかまぼこを食べなくなった。まさにおせち料理の紅白かまぼこを、ちょっとつまむくらいである。実家にいる頃はよく食べていたのだが。よくかまぼこ板で工作をしたのはいい思い出だ。最近ではDIYの材料としても活躍しているらしい。もしかまぼこが消えてしまったら、この便利な材料もなくなってしまうのだろう。

残念ながら筆者は1000周年を祝えないと思われるが、せめて、かまぼこが格好よく走り回る未来を想像しながら、今夜は板わさでもつまみに飲むことにしよう。