東南アジア随一の経済都市シンガポール。複数の民族が混ざって成立しているため、さまざまなルーツを持つ料理を食べられるグルメ大国でもあります。せっかくならおいしい店を食べ歩きたい!

今回えん食べ編集部は、現地の“B 級グルメ”本「Makansutra(マカンスートラ)」編集部や、人気ブロガーがオススメする「屋台グルメ」を巡る24時間サバイバルツアーに参加。数あるストール(店)のなかでも、現地の“プロ”がおすすめする絶品料理を食べ歩いてきました。

この記事は、シンガポーリアンの台所、ホーカーズ センター(以下ホーカーズ)にあるショップを中心にご紹介する、前編です。(後編もどうぞ)

◆ホーカーズって何?

ホーカーとは屋台のこと。かつては路上のいたるところに屋台がありましたが、衛生上の問題から1か所に集められました。これがホーカーズ センター、いわば屋台村です。正式には Food Centre(フード センター)といい、政府によって管理されています。店頭に大きく掲示されているアルファベットは、政府の衛生検査の結果を表示したもので、A が最高位。清潔=おいしいってわけじゃないけれど、お店選びの参考にしてみて。

このほか、コーヒーショップやコピティアムと呼ばれる、フード センターのようなものも。こちらは、個人経営の店舗の中に屋台が集まっているものを指すようです。また、ショッピングセンターの中に設置されているものはフードコートと呼ばれています。冷房がきいているから…と、特に若者に人気があるのだとか。

1.王道「チキンライス」は天天で!

チキンライスは、レストランでもホーカーズでも大人気!
チキンライスは、レストランでもホーカーズでも大人気!

シンガポールに来たらコレを食べずには帰れない!ゆでた鶏肉とゆで汁で炊き上げたご飯を一緒に食べる Chicken Rice(チキンライス)は、ホーカーズの定番メニューです。

チャイナタウンの巨大ホーカーズ「Maxwell Food Centre(マックスウェル フードセンター)」にある「天天海南鶏飯(Tian Tian Hainanese Chicken Rice)」。日本のガイドブックでも多数紹介されている有名店は、食通たちも認める味です。平日の15時過ぎという中途半端な時間に訪れたにも関わらず、10人ほどの列が途切れることはありませんでした。もちろんお昼どきには大行列ができるそうです。

回転は早いけど、行列が伸びるのも早い
回転は早いけど、行列が伸びるのも早い

鶏肉とご飯を、ショウガやニンニクの効いたソースや、甘辛い醤油ソースで食べます。この料理が生まれた土地 海南島では、何もつけずに食べる人が多いのだとか。また同店では、カラメル色に焼き上げられた“焼き鶏”バージョンもあります。好みでお試しあれ。

ちなみに、すぐ近くにある「阿仔海南鶏飯」は、パクリ店ではなく、天天海南鶏飯のトップシェフだった人が開いた店なのだそう。どちらの店も冷凍肉を使わず、生肉を使っているのが特徴なのだとか。食べ慣れている人は、出て来たチキンの骨の色を見ると冷凍肉を使っているかどうか分かるそうですよ。

2.ザ・シンガポール料理「ラクサ」

さまざまなハーブの香りがたまらないラクサ
さまざまなハーブの香りがたまらないラクサ

これまた、シンガポールの代名詞ともいえる有名麺料理「Laksa(ラクサ)」。シンガポールのラクサは、ココナッツミルクベースのピリ辛スープに、米を使った太麺が入っているのが特徴です。現地ガイドによると、ダリ、ジンジャー、レモングラス、チリ、ガーリック、ニンニク、キャンドルナッツなどなど、多様な材料がたっぷりと入っているのだとか。

私たちが訪れた Ye Lai Xiang Laksa がある Woodlands Centre Road 沿いのフードセンターは、マレーシアにいちばん近いホーカーズです。すぐそこがマレーシアとの国境。ここには、国境を越えてシンガポールへ働きに来ている工場労働者が、朝食に、昼食に、夕食にと、たくさん訪れます。ほかのホーカーズとはちょっと違う、独特の空気がただよっています。

3.売り切れ必至の「キャロットケーキ」

このキャロットケーキ、昼で完売することも珍しくないそう
このキャロットケーキ、昼で完売することも珍しくないそう

Carrot Cake(キャロット ケーキ)は、ニンジンが入った甘いケーキ…ではなく、細かく切った大根餅や漬物などが入ったオムレツ。広東語では大根のことを「ホワイトキャロット」と呼ぶことから名づけられたといわれています。

下町 Toa Payoh にあるホーカーズ Toa Payoh West Mkt&Food Court の Chey Sua Carrot Cake は、シンガポーリアンにも大人気の店です。ほどよく効いた塩分と、少し甘めの醤油が絶妙なバランス。しっかりと焼いてあるのに、口の中でほどけていくから不思議。大人気すぎて売り切れてしまうことも多いそうなので、訪れるなら午前中のうちに。朝早くから営業しています。

4.屋台の定番「ホッケンミー」

屋台料理の定番中の定番、Fried Hokkien Mee(フライド ホッケン ミー)は、太い卵麺「福建麺(Hokkien Mee)」を炒めたもの。焼そばみたいで親しみのある味です。食感の変化を生むために、ビーフンも入っているのが一般的で、具は豚肉やシーフード。好みでサンバルチリとライムを混ぜて食べます。

たっぷりスープを吸った麺がポイント
たっぷりスープを吸った麺がポイント

キャロットケーキの店と同じホーカーズにある、Tian Tian Lai Hokkien Mee のフライドホッケンミーは、甲殻類のダシがしっかりと麺にしみこんでいるのが特徴なのだとか。シンプルだからこそまた食べたくなる味です。

5.「フィッシュボール」は“生のすり身”で作るからおいしい

魚肉団子のぷりぷり食感が絶妙すぎる!
魚肉団子のぷりぷり食感が絶妙すぎる!

私が今回、もっとも感動した料理のひとつが、Fishball Noodles(フィッシュボール ヌードル/Fishball Mee という場合もあります)でした。魚肉団子が入った麺とスープのセット。チリソースがかかった麺をざくざく混ぜて、好みでスープをかけて頂きます。肉団子がスープに入っている場合や、初めから麺とスープが一緒になっている場合もあります。

豪快に混ぜて召し上がれ
豪快に混ぜて召し上がれ

リトル インディアと呼ばれるエリアの近くにあるホーカーズ Golden Mile Food Centre(ゴールデン マイル フードセンター)。日本ではあまり有名ではないそうですが、ローカルフードがたくさん集まるホーカーズです。そこにあるのが、Fishball story。ここのフィッシュボール ヌードルは、ある意味“屋台らしくない”繊細な味。生の魚肉で作ることにこだわる団子は、ぷりぷり食感と風味を感じられます。しっかりと出汁のきいたスープも雑味がなく、すっと体になじみます。店主のお兄さんは、ホーカーズ界でも注目されている若手料理人のひとりなんだとか。

◆独自の伝統食「プラナカン料理」

シンガポールは周辺国から来た移民によって成り立つ国です。もちろんイタリアンやフレンチ、日本のラーメンなど、海外から入った料理もありますが、ホーカーズで販売されている料理のほとんどは、中国やマレーシア、インドにルーツをもつもの。

中国系の料理は日本でもおなじみ。シンガポールでは福建系や潮州系など、南方系のものが多く見られます。醤油を使った料理が多いでしょうか。筆者は、「漢字が書いてあれば中国系」と思うことにしています。マレー料理は、ココナッツミルクやチリをたっぷりと使うのが特徴。またインド料理は、おなじみのスパイス「マサラ」が多く使われます。

そして、シンガポールで生まれた伝統食が「プラナカン料理(ニョニャ料理)」。プラナカンの女性(ニョニャ)がつくる=ニョニャ料理とも呼ばれます。ラクサはこの代表格。中華の食材にマレー料理のスパイスを合わせるといったような、“中国料理とマレー料理の融合”が特徴。現地ガイドは“醤油とココナッツミルクが結婚した料理”と表現していました。黒いナッツでチキンを煮込んだ Ayam Buah Keluak(アヤム ブアルクア)、ニョニャ風チリソースでエビを炒めた Sambal Prawn(サンバル プラウン)などがあります。

アヤム ブアルクアの一例
アヤム ブアルクアの一例

プラナカン料理を出すレストランは、プラナカン文化が色濃く残るカトン エリアに多いそうです。またオーチャードホテル(Orchard Hotel)にあるオーチャードカフェでは、プラナカン料理を中心としたビュッフェが楽しめます。加えて、シンガポール名物チリクラブ、マレー料理、中国料理、インド料理…さまざまな料理を食べられるので、滞在期間は短いけどシンガポールグルメを堪能したい!というワガママをきっと叶えてくれるはず。

シーフードは食べておきたい
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マレー系のお菓子ニョニャ クエは見た目も華やか
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