信州みそ発祥の地といわれる、長野県佐久市の安養寺。日本にみそ作りを広めた鎌倉時代の僧・覚心の遺志で創建されたことに由来しているという。これに関連して提供されている佐久市のご当地グルメが「安養寺ら~めん」。「安養寺みそ」を使った“みそラーメン”である。

だが筆者は、市内のラーメン店で見つけてしまったのだ。「安養寺ら~めん」の名を冠した醤油ラーメンを。醤油味のみそラーメン?それともみそ味の醤油ラーメン?そもそも“醤油+みそ”のラーメンって…。気になったので食べてみると、新ジャンルとも呼ぶべきラーメンと出会うことになった。

みそラーメンの地で出会った「醤油味」のラーメンとは
みそラーメンの地で出会った「醤油味」のラーメンとは

筆者が佐久市を訪れたのは、バレンタインの週末。軽井沢へ行くついでに、昼食をとるべく足を伸ばした。向かったのは、佐久市役所の近くにある「七代目 助屋」。有名店のひとつらしい。

安養寺ら~めんの有名店らしい
安養寺ら~めんの有名店らしい

店内に入って券売機へ。もちろん安養寺ら~めんを食べるつもりだったのだが、下の方に「安養寺ら~めん 醤油味」なるものを発見してしまった。気になってしまったので、通常の安養寺ら~めんは同行者にゆずり、筆者は醤油味を食べてみることにした。

ん?醤油味?
ん?醤油味?

運ばれてきたラーメンは、醤油ラーメンっぽい見た目。スープも半透明で黒みがかっている。

これが、安養寺ら~めん 醤油味だ!
これが、安養寺ら~めん 醤油味だ!

まずはスープをひとくちすする。…醤油だ。煮干しの風味がしっかりと効いた醤油スープ。コクも感じられるので、何かしらの動物系スープも合わせてあるのだろう。

少しにごりはあるが、醤油っぽいスープ
少しにごりはあるが、醤油っぽいスープ

麺はやや細めで黄色みがかっており、スープと合わさると中華風。あっさりめの醤油ラーメンだ。柔らかくてシャキシャキ食感もあるメンマ、香ばしい焼き目のついたチャーシューも、スープによく合っている。だが、これだけではよくあるおいしい醤油ラーメンだ。安養寺ら~めんの“みそ”はどこへいった!?

コクがありながらもあっさりとしていて、食べやすい
コクがありながらもあっさりとしていて、食べやすい

食べ進めるうちに変化に気づいた。みその風味が強くなってきたのだ。試しに底のスープをすくうと、みその風味を感じる。みそはスープより重いため、底に沈んでいたようだ。このみそがまた、まったく塩辛くなく、非常にまろやか。みそ汁を飲んでいるかのような安心感があり、すっと体になじんでいく。

みそは底に沈んでいたらしい
みそは底に沈んでいたらしい

つまるところ、安養寺ら~めん 醤油味は、醤油味のみそラーメンでも、みそ味の醤油ラーメンでもなかった。みそと醤油、そして出汁が絶妙なバランスで組み合わさった、新ジャンルともいえるラーメンだ。

それにしても、なぜみそラーメンに醤油を合わせることになったのだろう。店員さんがくれた冊子によると、覚心は紀州(現在の和歌山県)に渡ったときに、「たまり醤油」を作るきっかけを与えたといわれているらしい。みそと関係の深い醤油を使った一品を…ということで、安養寺みそをブレンドした醤油ダレが開発され、これを使ったラーメンが「醤油味」として提供されているそうだ。

安養寺ら~めん 醤油味は、市内にあるほかの店でも提供されている。ほかの店ではどのようなラーメンが食べられるのか、気になるところだ。提供期間は3月8日まで。終了までにもう一度訪れるべきかもしれない。

詳しくは、冊子をご覧あれ
詳しくは、冊子をご覧あれ

ちなみに、通常の安養寺ら~めんは、スープの口あたりのよさが印象的だった。みその濃厚さはあるのだが、ただ濃いだけでなく、大豆の甘みを感じられてコクがある。京都の白みそともまた違ったまろやかさ。これが安養寺みその味なのだろうか。

そしてチャーシュー、メンマとともにトッピングされているのは、挽き肉のピリ辛炒め。混ぜて食べると絶妙なアクセントになる。

こちらが通常の安養寺ら~めん
こちらが通常の安養寺ら~めん

2つを比べると、やはり醤油味の方があっさりとしている。濃厚なみそラーメンを食べたいときは、ノーマルな安養寺ら~めんの方がいいだろう。だが、味の濃さでは表現できないラーメンが、安養寺ら~めん 醤油味。佐久市を訪れた際はぜひ試してみてほしい。