世界最大のチョコレートの祭典「SALON DU CHOCOLAT PARIS(サロン・デュ・ショコラ)」で数々の受賞歴があるオーナーシェフの小山進氏ですが、2014年は「C.C.C(Club de Croqueurs de Chocolat)」最高位の「ゴールドタブレット+☆」とともに、外国人ショコラティエとして最も栄誉のある「Excellence chocolatier etranger」を W 受賞したそう。
お披露目会では、「ゴールドタブレット+☆」を獲得した4作品と、以降に手がけた新作から3作品のチョコレートが来場者にふるまわれました。
◆あらゆる“SENSE”がテーマの「C.C.C」受賞4作品
今年「C.C.C」に出品した作品のテーマは“SENSE”。“おいしい”、“嬉しい”、“楽しい”など小山氏の50年の人生で生じた様々な感情を背景に、五感の全てでキャッチした感覚の集大成だそうです。
まずはシエラネバダとトゥマコ、それぞれ女性と男性をイメージさせる2種のカカオが使われた「2colombie(ドゥ・コロンビー)」。食感の異なる2層のコントラスト、苦味と酸味のバランスが絶妙で、食べ終わってすぐにもう1つ食べたい!と思わせるチョコレートです。
続いては「桜の葉&フランボワーズ」。散り始めた桜から、“美しくもはかなげな後ろ姿の着物の女性”をイメージして作ったそう。口に入れると、桜の香りが風船を割ったようにぱっと広がります。塩を使わず仕上げているそうで、全体的にやさしい味わいがはかなげ。一瞬で過ぎゆく春の情景が浮かび、ちょっぴり切なくなりました。
「こがし醤油」は、鉄板で熱せられた醤油が焦げる直前に放つ香りをショコラに応用したというチョコレート。といっても“和風”が前面に押し出されているわけではなく、醤油のまろやかさと香ばしさがチョコレートへ自然に溶け込んでいて、口に含むと濃厚なキャラメルのように広がっていきます。トッピングにあしらわれた「料亭の粉しょうゆ」がスパイシーなアクセントになっています。
4作品の最後は「抹茶&パッションのプラリネ」。プラリネが口の中で水分を含み、味覚を得るまでの時間差を活かしたストーリー性のあるチョコレート。抹茶の苦味から最後のフルーティーな酸味まで、一粒がとても長い時間楽しめるように感じます。
◆新作3種は斬新なフレーバー
残りの3粒は、「International Chocolate Awards」アメリカ大会で金賞を受賞し、世界大会へ出品中の作品。どれもチョコレートではあまりイメージできない斬新なフレーバーです。
中でも筆者が印象的だったのが「コブミカンの葉」。生クリームにフレッシュな葉の香りを移し、「アゲハの幼虫になった気分で作った」とか。摘みたての山椒の葉を叩いた時のような鮮烈な香りが広がり、それがチョコレートの甘さを絶妙に引き立てます。確かに子どもの頃育てていたアゲハのイメージが浮かんで、とても面白い体験でした。
◆バレンタインに向けた新作は20種以上
2015年のバレンタイン向けには、今回ご紹介したチョコレートのアソート商品をはじめ、20を超える新作アイテムを展開。12月からバレンタイン・ホワイトデーにかけて順次販売されるそうです。
「バレンタインは男女関係なくチョコレートが好きな人のためのイベント」と小山氏。筆者はコンクール審査員のように味や技術の評価はできませんが、食べた時に心象風景が浮かぶチョコレートは初めてでした。小さな一粒から広がるイメージを皆さんも自由に楽しんでみてください!
※表記価格はすべて税込