麺屋武蔵神山「フォアグら~麺」

人気ラーメン店、麺屋武蔵の20周年記念企画『金乃武蔵』。各店舗持ち回りで月1回、1年かけて特別なラーメンが提供されます。第10弾は、神田・神山(かんざん)「フォアグら~麺」(2,000円)です。

黄金に輝くスープの上で存在感を放つフォアグラ、見るからに贅沢です。が、このフォアグラは脇役。スープに浮かぶ“黄金の油”こそが主役でした。


“フォアグラチャッチャ”!?

ラーメンのジャンルのひとつ「背脂チャッチャ」。仕上げに、網にのせた背脂を丼の上から“チャッチャ”とふりかけることから、こう呼ばれています。

こってりラーメンが大好きな神山の店長さん、いつかフォアグラでチャッチャしたいという野望を抱いていたそう。『金乃武蔵』で念願がかない、器いっぱいに黄金の“フォアグラのアブラ”がきらめく1杯が完成しました。

カモを味わいつくすラーメン

フォアグら~麺には、スペイン産とハンガリー産の合鴨のフォアグラが使われています(フォアグラといえばフランスですが、鳥インフルエンザによって輸入停止中…)。その量およそ200g!そして、あわせるスープとトッピングはカモ。もはや“カモラーメン”といってもいい“かも”しれません。

麺屋武蔵神山「フォアグら~麺」
カモラーメンかも~

中央にはカモ肉のコンフィ(油につけ、低温でじっくりと加熱調理したもの)が並んでいます。これ、フォアグラをじっくりと湯せんして漉した「フォアグラ油」で調理してある、“フォアグラをまとったカモ”。

麺屋武蔵神山「フォアグら~麺」
下にたまっているのがフォアグラ油
残ったフォアグラはまかないになるそうです(うらやましい)

このコンフィを、片面焼きグリル「サラマンダー」でこんがりと。焼き目のついた肉の、そそること、そそること…!

麺屋武蔵神山「フォアグら~麺」
泡立つアブラがたまりません

コンフィの周りに散らしてある、フォアグラのポワレ(フランス料理のソテーの一種)は、フォアグラ2切れをフォアグラ油で焼き、みりん入りのソースで豪快にフランベして仕上げます。

麺屋武蔵神山「フォアグら~麺」
※ラーメン屋の厨房です

麺屋武蔵神山「フォアグら~麺」
※ラーメン屋の厨房です

器に麺とスープを入れたら、テリーヌにしたフォアグラをチャッチャ! 四角く切った白ネギを散らし、カモのコンフィをどん! フォアグラのポワレをどん! 最後に、白髪ネギをこんもりと盛り、ブラックペッパーをふりかけたら出来あがり。

麺屋武蔵神山「フォアグら~麺」
フォアグラをチャッチャ!

麺屋武蔵神山「フォアグら~麺」
ひゃ~~~

麺屋武蔵神山「フォアグら~麺」
できあがり

温度管理がとにかく大変

スープは、鴨ガラスープでスープを仕込み、カモのミンチ肉を加えて透明に仕上げる…という“3段仕込み”で、フォアグラに負けないうまみを持つ味わいに。

すすってすぐに感じるのは、しょうゆのコクとカモの濃厚なうまみ。後から、チャッチャしたフォアグラの香りがすっと入り込んできます。そのバランスが絶妙。油(フォアグラ)たっぷりなのに重すぎず、意外とすいすい飲めてしまいます。

これをたっぷりとまとった麺は、スープにひたしたパンみたい。チャッチャのアブラのおかげか、しっかりとスープが麺にからんで、口いっぱいにカモのうまみが広がります。

スープにつかってクタクタの白髪ネギも食感と味わいのアクセント。実は、麺と麺の間にも白髪ネギが入っていて、最後まで飽きさせません。

麺屋武蔵神山「フォアグら~麺」
歯ぎれがよいけど弾力のある“包丁切り麺”と、大量のネギ

麺屋武蔵神山「フォアグら~麺」
底にはユズの皮も

カモ肉のコンフィは、ほんのり香ばしさがありつつも、上品な味わい。またフォアグラのポワレは、みりんのおかげかしょうゆのスープとめちゃくちゃ合う! 時間が経つと、スープの温度でじんわりと食感が変わっていくのですが、それもまた面白いのです。

フォアグラを使っているため、とにかく温度管理が大変なのだそう。例えば、フォアグラのテリーヌは温度が高すぎるとパサパサになるし、アブラたっぷりなぶん、提供時の温度が低いとまずくなってしまう。ちょうどいいバランスを見つけるのにとても苦労したそうです。

カロリーを気にしたら負け

今回、フォアグラを取り扱うにあたり、フレンチシェフを招いて下処理の仕方を教えてもらったのだとか。おかげで「フォアグラのテリーヌを作れるようになりました!」と店長さん。あくまで、麺屋武蔵はラーメン屋です

「フォアグら~麺」の提供は10月27日から30日まで、1日10杯限定です。良質なフォアグラとはいえ、やはりアブラのカタマリ。体調を整え、心して挑んでください。