イギリス、特にロンドンでは、和食人気の高まりとあいまって、日本発祥の「カツカレー」が人気を博しているらしい。それだけならいいのだが、どうしてそうなったのか、ロンドンのスーパーには「カツカレーペースト」なるものまで売っているという。怪しい。怪しすぎる。まさかカツカレーをすりつぶしたというのか!?
偶然、知人がロンドンを訪れるというので、実際に買ってきてもらった。恐ろしく緊張しながら食べてみたところ、予想を裏切るモノだった。
入手したのは「KATSU CURRY PASTE」という瓶入りの商品。スーパーマーケット「TESCO」が販売しているもので、同社の通販サイトによると、約2ポンドで購入できるらしい。
中身は案外普通だ。おそるおそるなめてみたところ…すっぱ! やたらと酸味がきいている。一方で、後からじわじわくるスパイスの香味。じんわりと汗ばむくらいには入っているようだ。
だが、恐れていたカツカレーの残骸もどきは見当たらない。ザラリとした舌ざわりの何かはあるものの、カツらしき肉くささ(?)は全くない。
成分表示を見てみると、mirin rice wineやsoy sauce―つまり、みりんやしょうゆが使われている。あとは、トマトペースト、濃縮レモンジュース、タマネギピューレ、菜種油、各種スパイスなど。おかしい。カツ要素が全く見当たらないではないか!
と、パッケージにレシピが書いてあったので開いてみた。作るものは「Chicken Katsu Curyy」。そう、カツカレーペーストは、チキンカツカレーを作るための材料だったのだ。
なんというか…商品名に「カツ」をつけずとも、「カレーペースト」でいいではないか! 「カツカレー味のペースト」をどう食べるか悩み続けていたこの数日を返してほしい。勝手に勘違いしただけだが、なんだか騙された気分だ。
ところで、ロンドンでは、「KATSU」を頼むとチキンカツが出てくることが多いらしい。ブームの中心にあるといわれるアジア食レストランチェーン「WAGAMAMA」で提供されているカツカレーも「チキンカツカレー」(しかも、カツの上にご飯がのっている!)だ。
カツが豚肉でなく鶏肉なのにはさまざまな事情があるだろうが、日本のカレーといえばカツカレーであり、カツカレーといえばチキンカツカレーなのである。
予想を裏切る結果にガッカリしたものの、もしかすると、カツカレーが劇的においしくなる味付けなのかもしれない。ということで、TESCO推奨レシピでチキンカツカレーを作ってみよう。