白だしは、白しょうゆや薄口しょうゆをベースに、かつお節や昆布などからとっただし、砂糖、みりんなどを加えて作る和風液体調味料。料理に応じて希釈したりそのままかけたりできるため、濃縮めんつゆのように割と万能な調味料だ(と思われる)。
我が家では「創味のつゆ」が長年その位置にあり多用されているのだが、これだけでは料理がほぼ同じような味付けになってしまう。そこで今回、白だしをオススメされたので新しく取り入れてみることにした。なお、もちろん出身地に関係なく広く知られている調味料だと思うので、記事では筆者が“意外な発見”と感じたレシピを中心にご紹介する。
◆ 「使ったの1回きり」にはしたくない
筆者の経験上、使い慣れていない調味料は“1回きり”の出番となりかねない。これで過去にナンプラーや謎のハーブをダメにしてきた。
それではあまりにもったいないので、テキストとして「ヤマキの割烹白だしレシピ」(幻冬舎ルネッサンス)を用意し、ちょうど増量していた「割烹白だし」も購入した。これで万全…のはず。
まずはそのままなめてみると、黄金色の液体から芳醇なだしの香りと塩味が感じられる。何にでも合いそうだが、どこかつかみどころがない感じでもある。さて、どうやって使うのかな?
◆ 初めて自分の作ったゴーヤチャンプルーに納得した
レシピ本をぱらぱらと見ていると、ゴーヤチャンプルーがあったので手始めに作ってみる。味付けは白だし(大さじ1)のみ。すると、驚くほど本格的な仕上がりに!今までどうしても沖縄で食べた味にならないと思っていたのに、こんなに簡単だったの!?と拍子抜けするほどおいしい。ほんのりダシが効きながらもしょっぱすぎず、素材の味がしっかりと感じられる。今夏の強力なご飯パートナーの誕生だ。
◆ 和食以外にも使える!「和風ラタトゥイユ」
白だしというと茶碗蒸しや煮つけなどバリバリの和食に使うイメージが強いが、同レシピ本によると和食以外にも合うらしい。
その中からフランスの野菜煮込み料理「ラタトゥイユ」をアレンジした「和風ラタトゥイユ」を作ってみた。ひと口大に切ったなす、ズッキーニ、玉ねぎ、鶏肉を炒め、トマトと白だし(25ml)、水(50ml)を加えて5~6分フタをして煮込む。白だしは料理に色が付きにくいので、見た目は色鮮やかなラタトゥイユそのもの。なのに、味はだしの効いた和風の煮込み。特にスープがしっかりしみ込んだとろけるなすが絶品!ほんのり甘くさっぱりしていて、食欲のない時にも良さそうだ。
◆ 時間も材料もないときは、ちゃちゃっと和風ペペロンチーノ!
何かささっと作って食べたい時も、白だしがあればひと味違った和風パスタが作れる。ペペロンチーノを作る要領で、刻んだにんにく、鷹の爪(輪切り)とオリーブオイルを弱火で熱し、キャベツを炒めてゆでたスパゲッティを加え、最後に白だし(大さじ3)で味を付ける。
こちらもキャベツが色鮮やかな仕上がり。シンプルながらコクとうまみが加わり、居合わせた家族からも非常に評判が良かった。
◆ スープにも使える
暑い夏の朝におススメしたいのは、「冷たい豆乳のスープ」。豆乳(300ml)に白だし(大さじ1)を加えて混ぜ、彩りに刻んだパプリカやズッキーニを散らすだけ。豆乳にほのかなだしの香りが加わって、そのまま飲むよりも飲みやすかった。
以上、いくつかのレシピを紹介したが、共通して言えるのは“白だしだけで味が決まる”ので非常に調理がラクだということ。家族からも「これほんとに使ってるの白だしだけ?」と何度も聞かれたが、白だしが素材のおいしさも上手く引き出すからこそ、奥深い味わいになるのだろう。使い切る心配をするどころか、冷蔵庫内で新たなレギュラーポジションを獲得しそうだ。すでに使いこなしているという人も、使い方次第でさらにレパートリーが広がるかもしれない。
※記事中の分量はすべて2人分