ジンジャエール。懐かしい響き。

素晴らしい飲み物だが、子供か猫のものという気がして長い間遠ざかっていた。「ジンジャーエール買って飲んだ こんな味だったけな」という歌があったな。そう、思い出のなかの飲み物。

ジンジャエールを語るなら、まずこれを飲め!「ウィルキンソンだ」

ジンジャエールを語るなら、まずこれを飲め!「ウィルキンソンだ」

猫が飲むのか? ハインラインの「夏への扉」に出てくる猫だったか? 名前は…… そんなことをライブハウスの轟音にまみれつつ話していると、俺の耳元で「ジンジャエールを語るなら、ウィルキンソンを飲め!まずはそこからだ」と誰かが叫ぶ。

ちょうどカウンターにいた俺は、ジンジャエールをオーダーする。メニューにはない。バーテンダーは無言で濃い緑色のガラス瓶を置く。何も言わず、目で「分かってる客だな」とだけ語る。

栓は開けてあった。瓶から直接飲む。こんな飲み方は何年振りだろう。俺の舌に絡みつく炭酸の刺激とほどよい甘さ。そして、甘味のなかから生姜の味が浮かび上がる。これでこそジンジャエールだ。その名前の意味を思い出させてくれる。

確か奴はウィルキンソンって言ってたな。「おぃ、どこで……」とバーテンダーに聞きかけて、口をつぐんだ俺。そんなことを教えてもらおうとしても「RTFM!」と無愛想に言われてお終いだ。しかたない、自分で調べるか。

公式サイトはすぐ見つかった。「“ジンジャエールはウィルキンソンで”多くのお客さまから、そうご支持をいただいています。あの味わいは、ウィルキンソンじゃないと出せないんです」と絶賛するプロの声が載っている。これはうなずける。早速買ってきた。

ウィルキンソン ジンジャエール

ウィルキンソン ジンジャエール

これだこの味だ。普段は甘い物など避ける俺だが、辛みと強い炭酸に促されてすぐ1本飲んでしまった。何せガラス瓶で王冠だからな。すぐ気が抜けちまう。もう1本は「ドライ」。もっとハードな味を期待したら、ソフトでフルーティじゃないか。なぜだ。まぁいい。ペットボトルの奴は、残しておこう。

公式サイトをザッピングしていくと、ビデオを見つけた。「『100年、タンサン』だと? 炭酸ではないのか?」。無闇にイカしてる。炭酸の瓶を開けたときに湧き上がる泡のように、興味が出てきた。

100年、タンサン

100年、タンサン

「WILKINSON'S STORIES」というページを開くと、ウィルキンソンの歩みが分かった。ドライの方が甘い理由もわかる。歴史は、1889年に英国人のジョン・クリフォード・ウィルキンソンが宝塚の山中で偶然発見した炭酸鉱泉までさかのぼる。これほどのものならば、「Since」と付けても恥ずかしくない。いや、誇らしい話だ。そして…… 歴史は公式サイトに任せよう。俺はお勉強が苦手だ。とにかく、歴史がある。

ウィルキンソンの歴史

ウィルキンソンの歴史

タンサンについても、プロの声で「タンサンといえばイコール、ウィルキンソン。他は入ってくる余地がない」という。こっちも早速買ってきた。

ウィルキンソン タンサン

ウィルキンソン タンサン

飲む前から炭酸の強さがわかる。ペットボトルのキャップを少し緩めただけで、中身が噴き出しそうになった。ふぅ、危なかったぜ。そして一口。プロが絶賛するのも納得だ。お子様にはご遠慮願おう。これを知らなかったとは、俺も迂闊だった。

ウィルキンソンを知ったとしても、ハードボイルドを気取って蘊蓄で口説こうなど思わないことだ。インターネット以前の時代ならいざ知らず、イマドキこんなことを話して得意になっても「公式サイトでもう読んだわ」と切り返されるのがオチだ。それよりも、公式サイトのレシピをマスターし、黙って1杯出せばいい。すべて語ってくれる。幸運を祈ろう。

レシピ

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