注目される「昆布の力」、その魅力とは
注目される「昆布の力」、その魅力とは

「和食」が世界遺産に登録されたこともあり、改めて“出汁の力”が注目されています。出汁といっても様々な種類がありますが、今回取り上げるのは「昆布」。高視聴率を記録した NHK の朝ドラ「ごちそうさん」でも、東京から大阪に嫁いだ主人公が、慣れない昆布出汁と奮闘する場面が描かれていました。

そう、昆布出汁といえば大阪。実は大阪は、昆布を取り扱う店舗数、しかも専門店が日本一多いと言われています。昆布の生産地のほとんどは北海道であるにも関わらず、大阪の百貨店やみやげ物売り場には、数多くの昆布加工品が並びます。どうして昆布は大阪の“名産品”となったのでしょうか。

えん食べ編集部は、大阪で約150年続く昆布加工店の老舗・長池昆布で、社長の天野元次郎さんに昆布のアレコレを伺いました。

約150年続く老舗「長池昆布」
約150年続く老舗「長池昆布」

◆なぜ大阪に昆布屋が多いの?

大阪は、古くから物流の中心地として栄えてきました。昆布の場合は、日本海を通る「北前船航路」を使って北海道の南端から北陸に入り、内陸を通って大阪まで運ばれていたそうです。大きな川に沿った天満橋界隈には昆布の卸問屋が軒を連ね、長池昆布のある淀屋橋エリアには昆布の加工店が多く集まったといいます。表面を薄く薄く削り取った「おぼろ昆布」「とろろ昆布」や、じっくり煮込んだ「塩昆布」といった加工品は、大阪で誕生したという説もあるほどです。

天野さんによると、昆布の加工品が発展した背景には、刃物作りが盛んな大阪南部のまち、堺の存在も大きかったそう。堺の高い技術があったからこそ良い道具が入り、繊細な「おぼろ」「とろろ」が作れたのだそうです。

繊細な舌ざわりの「おぼろ昆布」
繊細な舌ざわりの「おぼろ昆布」

◆種類によってどう違うの?

昆布にも色々な種類があります。たとえば、大阪で昔から好まれている「真昆布」。北海道南部でとれる質の良い真昆布は、肉厚で甘みと旨みのバランスがよく、出汁用にも加工用にも適しているのだとか。

このほか、高級昆布として知られる羅臼昆布は、正式名称を「りしり系えながおにこんぶ」といい、濃厚でコクのある出汁が特徴とのこと。利尻昆布は、いい出汁が出るものの肉が硬く、炊くのに時間がかかるため、加工用には好まれないそうです。流通量の多い日高昆布は別名「早煮え昆布」とも言われ、小さくて火が通りやすいそう。

昆布で出汁を取るには、調理をする3時間ほど前に水に入れておくだけで OK。複数の昆布を使い、出汁の違いや味の違いを比べてみるのも面白いかもしれません。

◆昆布の出汁は世界一

最後に「昆布の一番いいところ」を天野さんにたずねたところ、「出汁に限る」との答えが返ってきました。昆布があるからこそ、かつおとの合わせ出汁は香り高くコクが出るし、塩昆布や佃煮も旨みのある味に炊き上がる。そして、塩昆布を炊いたあとに残った煮汁を利用して山椒の花を炊き上げた「花山椒」が密かな名物商品になっていたりと、最後の最後まで使いきれる点が魅力だといいます。

昆布は、あますところなく利用できる
昆布は、あますところなく利用できる

関東ではなじみの薄い昆布出汁や昆布加工品ですが、百貨店の催事に出店していたり、インターネット通販で販売している店も多くあります。また大阪に行くと、お土産品としてたくさんの種類が販売されているので、ぜひ一度手にとってみて下さい。

改めて“昆布の力”を感じた筆者。しっかり昆布から出汁をとる生活に挑戦してみようと思います。