食品偽装問題が次々と発覚し、一時世間が騒然としたのはまだ記憶に新しい。また、食品添加物や放射能汚染など、近年食の安全に対する関心が高まっているのも確かだ。だが、原材料表示や産地といった「目に見えるもの」にだけ注意を払うことは果たして正しいのだろうか?

2月27日にアスコムから発売された「まだまだあった!知らずに食べている体を壊す食品」(手島奈緒著)には、“安全”な食品を選ぶためのヒントが詰まっている。

「まだまだあった!知らずに食べている体を壊す食品」/手島奈緒
「まだまだあった!知らずに食べている体を壊す食品」/手島奈緒

「見ただけではわからない食べものの不安要素はいくつもある」と、著者で食料ジャーナリストの手島さんは指摘する。その知識がなければ、知らず知らずのうちに口にしてしまうことが多いのだ、と。本書には、「今すぐこの食品を止めないと病気になる」という脅し文句が書かれているわけではない。私たちが当たり前に口にしている食品がどのように作られ、または育てられているかを明示することで、食について考えるヒントを与えてくれる内容となっている。

●見た目重視こそ危険?

真っ赤でおいしそうなリンゴ
真っ赤でおいしそうなリンゴ

たとえば、果物屋に並ぶ真っ赤でおいしそうな「リンゴ」。収穫までに30回以上(※)も農薬が撒かれているケースがあるそうだ。

日本は高温多湿な気候のため、乾燥して雨の少ないヨーロッパなどと比べて病害虫の発生率が高くなる。現在の果樹産地でおいしい果物が食べられるのは、「まさしく農薬のおかげ」と言わざるを得ないのかもしれない。農薬にはもちろんメリットもある。だが、この数字は意外と知られていない事実ではないだろうか。

※数字は農薬の散布回数ではなく、農林水産省のガイドラインのもと農薬に含まれている成分ごとに「1回」とカウントする。


●牛はどう育てられている?

もうひとつ、私たちの食卓に欠かせない飲み物「牛乳」の例を見てみよう。

乳牛といえば、CM やパッケージなどの影響もあり、牧場でのんびりと育てられているイメージが強い。だが、実際日本でホルスタイン種を代表とする乳牛が放牧されることはほとんどないそうだ。基本的には牛舎に入れられ、時折運動させてもらいながら、朝から晩まで食べては搾乳されているのが実態だという。

日本では敷地確保の観点から放牧が難しいのが現状
日本では敷地確保の観点から放牧が難しいのが現状

また、牛はそもそも草を食べる動物でありながら、現在は穀物飼料を食べさせているところがほとんど。本書によるとそうした牛の飼料であるトウモロコシや大豆かすなどの多くが、現在、遺伝子組み換え作物らしい。特に、安い牛乳ではその傾向が顕著だとか。この話には筆者も少なからず動揺を隠せなかった。

本書を読むと、自分や家族が口にするものを全て完璧に安心・安全なものにすることが、現代社会でどれほど難しいかが分かる。手島さんは同著の執筆にあたり、「食べものの実態を把握し、不安なものを極力避けて、本当に自分の体によいものを買ってもらいたい」としている。