音楽を聴くとき、多くの人は何かしらの情景を思い浮かべるだろう。この曲で受験も乗り切ったなぁ、とか、これ、むかし彼に借りたアルバムに入ってた曲だ、とか、音楽ってそういうものだ。

そんな風に感情と強い結びつきを持つ音楽と “食” を融合させることで、その経験がより記憶に残るものになると考えたのが、米デトロイトのシェフ Kyle Hanley 氏。彼は、世界で伝説的人気を誇る英ロックバンド Radiohead のアルバム「Kid A」にインスパイアされたコース料理を提供する一晩限りのイベント「A Night With Kid A」を開催するそうだ。米メディア Huffington Post が伝えている。


Radiohead アルバム「Kid A」  (出典:Radiohead 公式サイト)
Radiohead アルバム「Kid A」
(出典:Radiohead 公式サイト)

コースには、アルバム「Kid A」に収録された各曲をイメージして作られた料理が用意されている。たとえば、1曲目「Everything in its Right Place」には「ホタテ貝のゆずゼリーとフライドヌードル添え」、2曲目「Kid A」には「ブラックカプレーゼ(サラダ)」といった具合だ。もちろん料理提供中には、それぞれの料理の “もと” となる曲がかけられる。

また、食事に付くワインやカクテルは、食事との相性ではなく、アルバム曲との相性で選定されたそうだ。メニュー一覧は、公式 Facebook イベントページで公開されている。

それぞれの曲に合った料理を提供
それぞれの曲に合った料理を提供

同メディアによると、シェフになる前は音楽を学んでいたという同氏。音楽と食の融合について、このように話しているそうだ。

「音楽を聴くとき、いつもその曲の “質感と色” を感じる。だから、音楽と食の融合は僕にとって自然なことなんだよ。特に Radiohead はその力が大きいんだ」

なんだか抽象的な表現だが、なんとなくわかる気もする。筆者も初めて聴いたときは衝撃を受けたが、徐々に彼らの持つ世界観と、中毒性のある不思議な魅力に溺れていった。

なお、この Radiohead 漬けのイベントは完全予約制で、2月19日の一晩だけデトロイトの The Elizabeth Theater にて振る舞われるとのこと。チケットを手に入れたラッキーな参加者たちにとっては、忘れられない一夜になりそうだ。