イタリア料理はいまや世界中で食べられるようになっている。だが、イタリア人の、特に料理人の目から見ると、その多くはイタリア料理とは言えないものなのだそうだ。

世界のイタリア料理を正しい道に導くため、イタリア北部の都市パルマにあるフードアカデミー「Academia Barilla」は、外国人向けのイタリア料理に関する10の掟を発表した。「ホラー」なイタリア料理を生み出さないための手引きとして活用して欲しいそうだ。

その10の掟の中には、日本人としては耳の痛いものもある。いくつか紹介しよう。

「パスタにケチャップをかけてはいけない。これは、イタリア人をひどく不快にさせる行為だ。 Academia Barilla ではこれを、『許し難い罪』であると定義している。イタリア料理に関する多くの著作を持つ Gennaro Contaldo 氏はケチャップの使い方について次のように説明している。

『わたしは良質なケチャップなら好きだ。だが、その用途は、チップスに限定すべきだ』」

ケチャップを大胆に使用したパスタメニュー「スパゲティ ナポリタン」を発明してしまった日本人としては、なんとも耳の痛い忠告だ。

ケチャップがたっぷりかかった「ナポリタン」  『許し難い罪』であるらしい  でも、うまい!
ケチャップがたっぷりかかった「ナポリタン」
『許し難い罪』であるらしい
でも、うまい!

こんなのもある。

「パスタやリゾットは、他の料理のサイドディッシュ(添え物)として提供してはならない。これは、パスタに対する冒とく行為だ。Contaldo 氏は、この件について次のように述べている。

『私は1970年代に初めてイギリスを訪れたとき、パスタやリゾットをサイドディッシュとして使うメニューがあるのを知った。だが幸いなことに、現在ではそのようなメニューはほぼ絶滅している』」

Contaldo 氏が日本を訪れないことを祈ろう。日本では2013年の現在も、スパゲティを「添え物」として使っているメニューがたくさんあるからだ。例えば、ほか弁屋さんでハンバーグ弁当やメンチカツ弁当を買うと、付け合わせとしてスパゲティ ナポリタンが添えられていることが多い。

だって、おいしいじゃないですか
だって、おいしいじゃないですか

筆者は海外で「スパイダー(蜘蛛)ロール」や「キャタピラ(いもむし)ロール」といった奇抜な鮨を見るにつけ、「こんなものは鮨じゃない!」と怒っていた。だが、そんな自分がイタリア料理を冒涜していたとは、まったく気付いていなかった。いやほんと、ごめんなさい。

米国のお鮨屋でよく見かける「キャタピラロール」  日本の鮨屋さんが見たら、多分、怒ると思う
米国のお鮨屋でよく見かける「キャタピラロール」
日本の鮨屋さんが見たら、多分、怒ると思う

もう1つ引用しよう。「スパゲティ・ボロネーゼ」は、世界で最も人気のあるイタリア料理の1つ。だが、ボローニャではスパゲティではなく、タリアテッレを使うのが一般的だそうだ。

日本でよく見る「ボロゼーネ」
日本でよく見る「ボロゼーネ」


正しい「ボロネーゼ」
正しい「ボロネーゼ」

Academia Barilla は次のように説明している。

「細かいことだと思うかもしれない。だが、イタリア料理においては、正しい種類のパスタと正しいソースを組み合わせることが、神聖なことだと考えられている」

同協会が発表した10の掟は次の通りだ。なるほど!と思うものから、なんのことかわからないものまで様々あるが、イタリアに旅行に行くときには、知っておいた方が良いのかもしれない。

1. パスタとリゾットをサイドディッシュ(添え物)にしてはならない。これは、冒涜的な行為だ

前述の通り。耳が痛い…。

2. イタリア料理に、鳥肉を使ったパスタメニューはない

筆者は昨日、コンビニで購入した「鳥肉とキノコの和風パスタ」を食べたばかりだ。イタリアの方々には、本当に申し訳ないことをしたと深く反省している(でも、多分、来週あたり、また食べると思う)。

3. イタリアのレストランに、赤と白のチェック柄のテーブルクロスを使っているレストランなどない

これは米国のイタリアンレストランでよく見かける光景だ。日本ではあまり見ない気がする。


4. パスタを茹でるときに、油を入れてはいけない。油は、パスタの水を切った後に入れるものだ

これも、米国人に向けた忠告だと思われる。米国人には、油を入れて茹でれば、パスタ同士がくっつかないと信じている人が比較的多い気がする。
 
5. 正しいボロネーゼパスタには、スパゲティではなく、タリアテッレを使う
 
前述の通り。でも、最近はイタリア人でもスパゲティを使うことが増えてきたらしい。

6. エスプレッソは、食事の後に飲むもの。カプチーノは朝食時に飲むもの

これは日本人には無縁な気がする。パスタを食べながら、エスプレッソを飲む人を、日本で見たことはない…と、思う。


7. 「フェットチーネ・アルフレッド」という料理は、イタリアにはない

「フェットチーネ・アルフレッド」とは、たっぷりのバターとパルメザンチーズをかけたパスタ料理。確かにこの料理を作ったのは、イタリア ローマのレストラン。それをある米国人旅行者が母国である米国で広めた。だが、イタリアでこのメニューを知るものはほとんどいない。


8. 「シーザーサラダ」というメニューを知るイタリア人はほとんどいない

こちらはイタリア生まれの Caesar Cardini 氏が北米で作ったメニュー。だが、イタリア人でこのメニューを知るものはいない。

9. トマトケチャップ、トマトソースをパスタにかけてはいけない

前述の通り。卵料理に対してケチャップをかけることも、下品とされているそうだ。イタリア風オムレツは、ケチャップをかけるととても美味しい。でも、我慢…。


10. イタリア料理の伝統に敬意を払って欲しい

イタリア料理の伝統に敬意を払い、イタリアのマンマの言うことには従って欲しいそうだ。

マンマはおばあちゃんから、おばあちゃんはひいおばあちゃんから、そしてひいおばあちゃんは、ひいひいおばあちゃんからの教えを受け継いでいる。この教えは、何百年にも渡って試され、実証されてきたものばかり。教えに従っていれば、まずい料理ができるはずがない。これが、イタリア料理の肝なのだという。

最後に、Academia Barilla は外国人に向けて、次のメッセージを送っている。

「イタリア料理を大事な人と一緒に食べて欲しい。それが人生の意味であり、家族を愛するということの意味だからだ」