夏休み真っ最中の原宿で、“家焼き”パンケーキファンの集まるイベント「原宿・夏のパンケーキ自由研究 ~お家でもぶあついおいしいパンケーキ~」が、8月2日~6日の5日間にわたって開催されました。

トークイベント「食べてみよう!パンケーキ粉食べ比べ!」では、『パンケーキ・ノート』の著者・トミヤマユキコさんが選んだパンケーキミックスを使った5種のパンケーキを参加者全員で食べ比べたり、トミヤマさんが“家焼き”のコツやミックス粉の魅力を語ったりしました。

もちろんお店で食べるのもおいしいけれど、アレンジ自在な“家焼き”にも魅力がいっぱい。焼き方のコツやミックス粉による違いなど、“家焼き”派なら大注目のイベント内容をレポートします!
 
 “家焼き”では「粉の食べ比べ」も楽しめる
“家焼き”では「粉の食べ比べ」も楽しめる

◆ブームによって、粉もバリエーション豊かに

膨大なパンケーキ食べ歩き数を誇るトミヤマさんですが、実は“家焼き”も大好き。学生のときから、様々なパンケーキミックスの食べ比べをしていたそうです。しかし、当時は手に入る商品が限られており、「粉に飢えていた」のだとか。

ところがパンケーキブームの到来により、日本で買える海外のミックス粉が増え、日本の大手メーカーからも複数のバージョンが登場したり、地方の製粉会社がミックス粉の開発に乗り出したりと、色々な種類が手に入るようになったそうです。「2013年の日本に生きていて本当によかった」と、トミヤマさん。

トミヤマさんは、「“家焼き”の魅力は、うまく焼けないという問題さえクリアできれば、行列に並ばなくてもいいし、好きな量だけ作って好きな味付けで食べられるところにある」と言います。

◆パンケーキは上品に作るものじゃない?

とはいえ、その“うまく焼く”のがとても大変。インターネット上でも様々な知恵が披露されていますが、トミヤマさんはどのような工夫をしているのでしょう。

まず基本は、「カンに頼らず商品パッケージに書いてある指示通りに焼く」こと。基本をおさえつつ、少し工夫することで、失敗しにくくなったり、さらにおいしく焼けたりするそうです。

生地にほどこせる工夫のひとつは、水分(牛乳)を気持ち多めにすること。しっとりした焼き上がりになり、時間が経っても美味しく食べられるのだそうです。さらに、みりんを大さじ1程度入れると、みりんに含まれているアルコール分が生地に回って、焼き色もよくふっくら仕上がるそうです。“みりん風調味料”ではなく“本みりん”を使うのがミソ。

また、ふっくら焼き上げるために“生地を混ぜすぎない”のも忘れずに。海外では泡立て器を使わず、フォークでざっくり混ぜる人も多いそうですよ。焼くときには、生地を流し入れる打点を高くすると、焼き目が均等についてきれいに焼けるそうです。

そして“最大の敵”は、「空腹時に焼いている」ことにあるとトミヤマさんは言います。早く食べたいからといって1枚目から大きなものを焼いてしまうと、フライパンにまだ熱が回っていないため失敗しがち。1枚目はぐっと我慢して直径5センチくらいの小さなものを焼くと、2枚目からは大きなものでもきれいに焼けるのだそうです。
 
「1枚目はぐっと我慢して!」
「1枚目はぐっと我慢して!」

トミヤマさんによると、「パンケーキは上品に焼くものじゃない」のだそう。分量をきっちり計ったり、しっかり丁寧に混ぜたり、そろっと生地を流しいれたりせずに、ある程度“ズボラに作る”方がうまくいくようです。

◆いよいよ“粉”を食べ比べ!

“家焼き”のコツを学んだところで、ちょうど焼きたてほかほかのパンケーキが運ばれてきました。

この日参加者に配られたのは、トミヤマさん厳選のミックス粉を使ったパンケーキが5枚。それぞれ、ちょっと珍しいものをチョイスしたそうです。
 
見た目もこんなに違う!
見た目もこんなに違う!

まずは、ハワイ土産としても人気のあるTARO BRAND PANCAKE MIX。海外ではメジャーな“タロイモ”入りのミックス粉で、もちもちした食感が特徴です。甘いトッピングと合わせたほうが、生地に含まれる程よい塩気をより楽しめるそうです。つい最近日本でも購入できるようになったので、ハワイアンパンケーキが好きな人は、ぜひ一度お試しあれ。

ウルトラ・ミックスの「黒糖 ROYAL MILK TEA PANCAKE MIX」は、ロイヤルミルクティーの濃厚な香りと、黒糖の優しい甘さが楽しめます。ここまでしっかりと香りのついたものは珍しく、「フレーバー系の中ではイチオシ!」とトミヤマさんも太鼓判を押すミックス粉です。「小さな子どもでも安心して食べられるものを作りたい」と、アルミフリーの膨張剤を使い、着色料や保存料なども無添加。国産バターミルクもたっぷりで、素材本来の風味を感じられます。

お食事系パンケーキが好きな人に試してほしいのが、「LONG TRACK FOODS THE JAR SHOP PANCAKE MIX」。“甘さ控えめ”なんてものじゃなく、お食事系のために作られたとも言える少し強めの塩気がポイント。甘いものが苦手な人にぜひ試してほしい粉です。

また、ビン入りでオシャレなので、お土産にしても喜ばれそうです。ただし、鎌倉にある店舗まで行っても買えないことがあるなど、とても入手が困難なのだそう。見つけときに即購入するのがオススメです。
 
粉にも色々あるわけでして…
粉にも色々あるわけでして…

「スーパーで買えるミックス粉の中で一番美味しい」と、トミヤマさんも大好きないかり芦屋 ホットケーキミックス。関西圏を中心に展開しているスーパー「いかり」のプライベートブランド商品で、パンケーキがブームになる前から販売されているものです。上品な甘みで、焼いたときの生地の“立ち上がり”が良く、初心者でもふわふわに焼けるそうです。

トミヤマさん自身は関西のお土産としてもらって以来、関西へ行く人に買って来てもらったり、大宮にいかりがあったときはわざわざ買いにいったりと、かなりハマったそうです。ちなみに、ちょっと高級系のスーパーなので、関西で育っていても「このホットケーキが家庭の味!」という人は少ないんじゃないかなぁ。

最後は、グレーっぽい生地が特徴の九州パンケーキ。地方で作られているパンケーキミックスの中でも大注目の商品だといいます。オール九州産の材料にこだわり、7種の雑穀やサトウキビで作った砂糖などを使用。雑穀が入るとパサパサしてしまったり味がイマイチだったりと、違和感のあるものが多いなか、このミックス粉は驚くほど食べやすいのが特徴。雑穀入りというポイントをうまく生かして、サンドイッチのように具材をはさんで食べるのもいいそうです。

◆パンケーキの楽しみ方は人それぞれ

今もなおパンケーキブームの熱は冷めやらず、人気店の行列は続き、あちこちで“パンケーキ”の文字を見かけます。しかし、ブームはいずれ終わるもの。熱狂的すぎたとも言えるくらい大きなブームなだけに、過ぎ去ったあとのお店や製粉所がどうなるのか気になります。

トミヤマさんは、“家焼き”を通して、「家で焼くホットケーキが、おいしいものとして定着することで、例えば外出した時にちょっとお店でパンケーキやホットケーキを食べようと思う…みたいな流れができたらいい。せっかくたくさんできたお店や粉が減ることなく、細く長く生き残り続けてくれたらいいなぁ」と言います。

「ブームよ、終わってもいいが軟着陸してくれ(笑)。とにかく、みんなの生活の中にパンケーキが根付いていって欲しいです」と話すトミヤマさん。

ブームとなったことで、これまで見向きもしなかった人がパンケーキを好きになるきっかけとなったり、もともと好きだった人がもっと楽しめるようになったりと、プラスのこともたくさんあったはず。お店にしても粉にしても、せっかく出会えた“一期一会”の味をそれぞれの形で楽しめるといいですね。

“一期一会”もパンケーキの魅力かもしれません
“一期一会”もパンケーキの魅力かもしれません