シャレオツな街、銀座。そのちょっと裏通りに、大きな青い旗が印象的なお店があります。入り口前の看板には“只今プレオープン中”と書いてあり、お店に近づくとチョコレートの甘い香りが。へえ、こんなお店ができたんだ…と横目に見ながら通り過ぎたのが、3月のことでした。

気づけば夏になり、たまたま近くを通りかかったのでふと立ち寄ってみると、看板には“只今プレオープン中”の文字が。…あれ?まだプレオープン?
 
 「プレオープン」の謎が気になる!
「プレオープン」の謎が気になる!

いつまでも“プレオープン”のままの不思議なお店の名前は「銀座ベーカリー」。プレオープンの謎を解明するため、取材させていただきました!

◆あの「ギンビス」のカフェだった

実はこのお店、「アスパラガスビスケット」や「たべっ子どうぶつ」などが有名なビスケットメーカー「ギンビス」のカフェ。

 アスパラ、大好きです
アスパラ、大好きです

1930年創業のギンビスですが、1945年より銀座の地で「銀座ベーカリー」という名前のレストランを開いていて、お菓子も物販コーナーで販売していたそうです。その後お菓子事業に特化し、社名も「銀座ベーカリー」から「ギンビス」に変更。ビスケットを中心とする現在の形になったそうです。

そんなギンビスが大切にしている言葉が『真心込めて食生活に貢献すること』。この言葉を受けて、お客さんに良い商品を届けるだけでなく“直接”提供する場と位置づけ、カフェ形式のお店を出店することとなり、当時レストランのあった銀座一丁目を選んだそうです。

思い出の地、銀座にカフェを
思い出の地、銀座にカフェを

◆オシャレだし入りにくい訳じゃないんだけど…

ふわっとただよってくるチョコレートの香りは、店頭に置いてあるフォンデュタワーから。このタワー、香りのためだけに置いてあるのだそうです。食べられないわけではないけれど、販売はしていないとのこと。もったいないような気もしますが、春は桜色など、色や香りを変えて季節感を出すアイテムとしても活躍予定なんだとか。
 
 店頭にはフォンデュタワーが!
店頭にはフォンデュタワーが!

1階はカウンターのある販売スペースで、2階は14席のカフェスペース。大通りから少し中に入ったところにあるため、ヨーロッパのような雰囲気の明るい席で、ゆったりとした時を過ごすことができます。

 明るい2階客席
明るい2階客席

…が、もともと人通りの少ない通りに面しているためか、まず通る人が少なく、立ち止まった人も看板を見るだけで通り過ぎていってしまうのです。2階から眺めていると、何だか悲しい気持ちになってきました。

◆迷走(?)する絶品スイーツたち

「気になってはいるけど、入る勇気がなかった」。その気持ちもわかるので、悲しい気持ちを払拭するためにも、商品を紹介していきましょう!

現在販売されているのは、「カステラビスケットサンド」「スティックセサミ」「アメリカンクッキー」の焼き菓子3種と、コーヒー(アイス/ホット)、アイスラテ、カプチーノ。これらをカウンターで購入し、カフェスペースで楽しめます。
 
商品はどれも絶品
商品はどれも絶品

「カステラビスケットサンド」(300円)は、イートイン向けのメインメニュー。プレーンとラムレーズンの2種があります。

ビスケットサンドアイスのような見た目ですが、ビスケット部分はしっとりしていて、口に入れるとほろほろと崩れていきます。サンドされているクリームは、ミルク感たっぷりでコクのある味わい。でも甘さはしつこくなく、キレのあるさっぱりとした後味です。ビスケットとクリームが同時に溶けていく食感は、初体験でした。クリームがやわらかくなってしまうので冷たいうちに食べるのがオススメ。

ちなみにギンビスでは、創業当初はカステラを作っていたそうです。ビスケットだけじゃなかったんですね。
 
  ビスケットとクリームが一緒に溶ける…!
ビスケットとクリームが一緒に溶ける…!

セサミ、枝豆、ポテトの3味が用意されている「スティックセサミ」(525円)は、発売当初(1968年)の「アスパラガスビスケット」の配合にし、当時の固さを再現したもの。“1本でも食べ応えがあるように”と、長めに作られています。じゃがいもをベースとしながらノンフライで、ギンビスらしく、ビスケットと同様に焼いて作られたお菓子です。

レストランなどでもスタイリッシュに提供できる“おつまみ”を目指し、味もお酒に合うよう工夫。見た目もキレイなので、ホームパーティーなどで出すと喜ばれそうです。
 
 絶妙な塩加減で、おつまみにピッタリ
絶妙な塩加減で、おつまみにピッタリ

日本人に合うよう甘さ控えめに作られた「アメリカンクッキー」(1枚250円)は、約50種の試作品から選ばれた10種が販売されています。オススメは、圧倒的な人気で残ったフルーツフレーバー「パイナップル」。生地のさっぱりした甘みとパイナップルの酸味がクセになります。ほか、「チーズバター」「レーズンオートミール」など、香りを楽しめるフレーバーがラインナップされています。

その食感はしっとりとしていて、ミックスされた具材の香りを強く感じられるのが特徴。生地を寝かせることで具材と生地がなじみ、独特の食感と香りを出せるそうです。
 
ティータイムに嬉しい優しい味わい
ティータイムに嬉しい優しい味わい

どれも、一度食べたら「あそこのアレが食べたい!」となりそうな味。事実リピーターも多く、「スティックセサミ」を毎週のように買いにくるご夫婦もいらっしゃるそうです。さらに、よりおいしい味わいを求めて、まだまだ商品の改良を続けていくとのこと。

◆なぜオープンしないの?

オシャレな店内で、商品の味もリピーターが居るほど本格的。さらに、みんなが知っているギンビスのブランド力。これだけのものが揃っていながら、なぜプレオープンの状態が続いているのか…。それはひとえに、「味にこだわりすぎる」ためだったのです。

プレオープンしたのは2013年2月23日。当初、4月頃には正式にオープンさせる予定だったのですが、開発中のメイン商品が納得のいく味に仕上がらなかったため断念したというのです。このメイン商品は、「ビスケット」をイートイン仕様に仕上げたものとのことですが、取材の日にも「納得できていないから」と見せてもらえず。

では、この商品が完成して正式にオープンするのはいつ頃になるのか訪ねてみると、まだまだやりたいことがたくさんあるから…との返事が返ってきました。

内容を聞いてみると、手土産用のセット商品をつくる、カフェのドリンクを充実させる、ドリンクセットなどカフェ用メニューをつくる、などなど…多すぎやしませんかね(笑)。でも、店長さんのお話を伺いながら、私も一緒にワクワクしてしまいました。

ともかく、正式なオープンは秋になる予定とのこと。具体的な日付が決まったらぜひ教えてくださいね!

◆誰からも愛されるお店に…

「人通りが少ない場所なので、商品の味を知って頂く機会を増やしたい」と店長さんはおっしゃっていましたが、取材の間も、かつてのレストランを知っているというお客さんがいらっしゃったり、ふらっと立ち寄ったお客さんがのんびりスタッフと話していたりと、どこかほっこりとする空気が漂っていました。創業の地でオープンさせたからこそ、地元・銀座に愛されるお店であって欲しいなぁと感じた筆者です。

その強すぎる味へのこだわりと、スタッフのギンビスへの愛に当てられた(?)えん食べ編集部は、全力でこの「銀座ベーカリー」を応援します!値段は決して安くないですが、他では味わえない焼き菓子は手土産にもオススメ。ギンビスを知っている人も知らない人も、ぜひ一度訪れてみてほしいお店です。

一度食べたらやみつきに!
一度食べたらやみつきに!

店舗所在地は、東京都中央区銀座1丁目5-5。営業時間は、11時から20時まで(日曜のみ18時まで)で、不定休。