最近、テレビの特集などで「ジンジャラー」という言葉をよく聞く。「とにかくショウガが好きで、手放せない人」のことらしい。朝から晩まで口にするものにはほとんどショウガを入れて食べるそうだ。

「マヨラー」「アムラー」などに比べると語呂が悪い気もするが、それはさておき、ショウガと言えばあくまで薬味、それも1日1かけ使うか使わないかの筆者にとってはジンジャラーの存在はなかなか衝撃的。だが、実はショウガは2千年前から漢方としても存在しているれっきとした健康食材。ジンジャラーたちはショウガの刺激はもちろん、何かしらの効能も感じとっているのかもしれない。
 

■「病気にならない蒸しショウガ健康法」

今回ご紹介するレシピ本「病気にならない蒸しショウガ健康法」も、その名の通りショウガの健康効果に着目し、その作り方やカラダの症状別アレンジレシピなどを掲載している。
 

病気にならない 蒸しショウガ健康法 / 石原新菜
病気にならない 蒸しショウガ健康法 / 石原新菜


最近は“ショウガ入り”を謳う市販食品も多く、ショウガに体を温める作用があることはご存じの方も多いだろう。本書では、「現代人のかかる病気のほとんどが、低体温が原因といってもいいほど」と注意を促し、体温を上げる効果のあるショウガは「唯一の特効薬」になりうると提案している。
 

■なぜ“蒸し”ショウガなの?

ところで、“蒸しショウガ”という単語が耳慣れない。なぜ、生ではなく“蒸し”ショウガなのだろうか?

もともと生姜には、ジンゲロールとショウガロールという2つの薬効成分が含まれている。生のショウガの成分はほぼジンゲロールだが、蒸す(加熱する)ことでショウガオール成分へと変化し、10倍にも増幅するらしい。

生ショウガのジンゲオールが血流を促進して体を温めるのに対し、ショウガオールは、体内の脂肪や糖質の燃焼を促進させて体温を上げる。これにより、体内を温める効果が生食時に比べ、1.5倍に増加するそうだ。

また、ショウガオールがすごいのは体を温める機能だけではない。他にも、血液をさらさらにしたり、コレステロールの低下を促したり、免疫力も高めたりなど現代人に多い悩みのほとんどに効能が現れるとのこと。
 

■これが“蒸しショウガ”だ!

なるほど、ショウガが体に良いとは知っているつもりだったが、加熱するとなお良いのか…。だが、そもそも蒸しショウガなるものを見たことが無いので、イメージが全く湧かない。しかも本書は白黒構成となっており、肝心の蒸しショウガのビジュアルが伝わりにくい。これはもう、作ってその目で確かめろということだろう!と意気込んだ筆者は、早速ショウガを購入し、作ってみた。

“蒸し”ショウガといっても、わざわざ蒸し器を用意する必要はない。もちろん使っても良いが、石原さんは、家庭でも作りやすい“オーブン”を使用した調理法を提案してくれている。

まずはひねショウガ(根ショウガ)を綺麗に洗い、皮付きのまま 1mm 程度の厚さにスライスする。スライサーを使えばあっという間だ。これらを天板になるべく重ならないように並べ、80度のオーブンでおよそ1時間加熱する。温度調整はなるべく100度前後が良いとのこと。この方法では加熱と乾燥が一度に済むので、かなり手間が省けるようだ。
 

ショウガ1パックを購入
ショウガ1パックを購入

薄くスライスしないと乾燥に時間がかかるらしい
薄くスライスしないと乾燥に時間がかかるらしい

 

また、オーブンが無くても、シリコンスチーマーや蒸し器を使う方法もある。要は、ショウガを一度じっくりと加熱し、十分に乾燥させることが蒸しショウガのポイントだ。 そして、出来上がったのがこちら。
 

干からびた感じになったら完成
干からびた感じになったら完成

まるで漢方のようにからからに干からびたビジュアル。テーブルの上で冷ましていたら、家族にまで笑われてしまう始末。めげずに密封容器に保存し、ジンジャラー生活を始めてみた。
 

■いつも持ち歩いて、何にでもささっとかけるだけ!

まずは、小さく刻み、ショウガに合いそうなスープや食事に混ぜ入れるところから始めてみた。1食に入れる量は小さじ半分くらいで OK とのこと。ショウガが水分を含んで柔らかく戻り、良いアクセントになる。また、乾燥することで味がギュッと濃縮され、香りと刺激をより楽しめる印象だ。

なお、本書では粉末状で保存することを勧めており、飲み物に入れる場合や、ショウガがあまり得意でない人にはこちらのが良いだろう。ちなみに、生のままでは保存しにくいショウガも、蒸しショウガにすることで3か月ほど保存できるようになるそうだ。
 

■夏こそ“冷え対策”をしよう

蒸しショウガを朝食べると、編集部のクーラー下でも指先が冷えにくく感じる。だが筆者は何よりも、整腸効果を強く感じた。さすがショウガ、と言えるまで、もう少し検証してみたいと思う。

ちなみに、著者で医師でもある石原さんは「冬より夏の方が体が冷えている」とも指摘。冷房の効いた部屋で冷たいものや水分を摂取したり、運動不足で代謝が低下する夏こそ、冷え対策が重要となってくるとのこと。これから厳しい夏を健康に乗り切るために、ショウガパワーをぜひ見直してみて欲しい。